小説『ローズヒップは事件の香り』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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「まず一つめ、あなたはこう書いた。人間関係がうまくいってない。これは確かに動機としては完璧だ。」
そう来井が言うと井原の頭の上に一枚のカードが浮かんだ。
これは…悪魔のカード?どちらかというとトランプのジョーカーのようだが…
だが、やはり井原は何の疑問もないようだ。やはりこの空間は見えていないのか?
「そうですねぇ。認めちゃうんですかぁ〜?」
「うん。それはあってると思うな。花茂芽の事情聴取で秋桜さんが言ってたからねwでもさ、本当に動機ってそれだけなのかな?」
「…どういうことですかぁ〜?」
「やっぱりわかってないみたいだね。今回の問題図書の事件で殺害の動機を持ったのは彼女だけではないと言うことさ。」
「えぇ〜そんな人いないですよぉ〜仮にいたとして、それは誰なんですかぁ〜?」
「君の語尾を伸ばす癖、うっとうしいね…まぁいいや。とりあえず、動機を持った人間それは出版社の人物だ。架令がOKサインを出したことで出版社の人物は痛手を負うはずだ。その風評被害で同じ出版社の作家さんもね!」
すると井原の頭の上にあったタロットカードがボッと火を出して燃えた。
これが正解と言うことなのだろうか?
「…なるほど。そういうことですか…でもまだあるんですよぉ〜?私が書いたのはそれだけではないはずです。じゃあ〜凶器!これについてはどう説明するんですかぁ〜?」
「…いまいち意味がわかんないんだけど?」
「そうですねぇ〜あなたのその頭じゃわからないですよねぇ〜」
「…早くしてもらえないかなぁ?苛々してきたんだけど?」
「凶器はフォークですぅ。これは秋桜さんの夕食に出されたものですぅ。そのフォークを手に入れることは難しいかと?」
するとまた彼女の頭の上にカードが浮かんだ。これは…隠者?
「…馬鹿かい?君は。ちゃんと彼女に聞いたのかい?」
「もちろんですぅ。秋桜さんは『なくなった』なんて言っていましたねぇでもそれは嘘ととることができますぅ」
「そうかい…ではこうは考えられないかい?考えを変えてみてね。「なくなったのは嘘」じゃなくて「なくなる可能性は?」こう考えてみてよ。」
「で、どうなるんですかぁ?」
「簡単なことだよ。彼女の部屋に入ってそのフォークを奪えば…これはどうだい?」
「それは無駄ですぅ仮にそうだとしても証明できませんもん」
「そうだね。それは無駄だ。見てる人もいないかもしれないしねwじゃあこれはどう?彼女がその人にフォークを渡した。もしくは部屋から持ち出した。これならどう?」
「…!?どういうこと?」
井原の口調が変わった。やはり彼女も動揺しているのだろうか。でもこの考えは私にもなかった。
「彼女がフォークを…いや、夕食を部屋から持ち出したとしたら?これは裏がとれてる。さっきあった男の子が教えてくれたんだ。女の人がハンバーグとかがのったお皿を運んでたと。」
「…!?そんな馬鹿な!」
またカードがボッと燃えた。
後一回。私はつばを飲んで二人を見つめた。井原に今までのようなふざけた表情はない。彼女も本気になったと言うことだろうか?

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