小説『ローズヒップは事件の香り』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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「…違う!嘘だ…そんなのデタラメなんだよ!」
…なんだろう。術にかかった人間は大抵人格崩壊するのだろうか?
「あれ?さっきまでのふてぶてしい女々しさはどこ行ったの?」
「うるせぇよ!あんなの上っ面だけさ。あんなのに騙されてたのか?ハッあんたも所詮馬鹿ねw」
「うるさいのは君だよ?そろそろもう一つの証拠をつぶしてその口を閉じてやろう。」
「やれるならやってみろよ!オレは完璧なんだ!」
またカードが浮かんだ。だが今度は悪魔だ。
「アリバイがない…これも最初の動機と一緒だ。ほかの人には動機があったのか?」
「もちろん!そんなのも確認しないと思った?バッカじゃないの?」
「君は全ての可能性を検討したっていうんだね?」
「もちろん!」
勝ち誇った顔をする井原。だがその前にある来井の顔も不敵な笑みを崩さない。
「そうかい…で、君が確認したのはいつ?」
「あんた本物のばか?被害者が死亡した時間に決まってるじゃない!」
「…じゃあ君の方が馬鹿だ。僕が死体を見た限り、被害者は即死じゃない。まぁ死ぬのはほぼ確定してたけど。じゃあどういうことか、わかる?」
「…ッ!アリバイの時間が…ズレる!?」
「そう!やっとわかった?あの傷は複雑っていうかおかしな傷だったらしいね?そんな複雑な傷口なら色んな可能性が考えられる。その一つが即死ではないということだ。その可能性を考えられなかったんだねw残念だ。」
「…う…うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」
ボっとカードが燃えたのとともに空間がパリンと割れた。
よっぽど負けたのが悔しかったのか、井原は発狂して叫び出した。

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