小説『ローズヒップは事件の香り』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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私は部屋を見渡した。
怪しそうなものは…たくさんある。
まずこの場にふさわしくない甲冑、西洋の鎧のようだ。
この鎧が持っているレイピア…殺傷能力はありそうだが、剣先は一つ…傷口が一致しない。
きれいに上を向いている。
そして燭台。これは先が三つに分かれているが…傷口はこれほど広くはなかったはずだ。
ということはやはりあのフォークが凶器…?
あいつを否定するわけじゃないけど、どうも引っかかる…
まぁこれはこれでいいのかな?
あと怪しいのは…机?いや、何か物入れのようだ。人が入れそうなくぼみができている。
人が入れる…?じゃあもしかして…
「ねぇ来井、ちょっと死体の位置に立ってくれる?もしよければ向きも最初と同じようにたってほしいのだけど…」
「え?あぁ、うん。いいよ。」
来井はそう言うと死体の足ののところに自分の足を置き、体をそのまま起こしたように立った。そして私はその物入れに入る…
「どう?その位置から私見える?」
「いや?見えないけど…これはなんだい?」
「…!そう。じゃあいいわ。私はもしかしたらこの事件、計画的殺人じゃないかと思ってるの。何となくなんだけど…でもこれだったら簡単に殺すことができる!」
「…!そうか!あ、でもそれじゃ一番疑わしいのって…」
「…秋桜さん…ね。ごめん…」
…せっかく喜んだのに、どうやらぬか喜びだったようだ。

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