小説『ローズヒップは事件の香り』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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「まず事件を最初から振り返ってみるよ?まぁ春さんを犯人と仮定してね。」
「わかったわ。」
「まず架令は現場、会見会場へ現れる。でそこに春さんが夕食を持って登場。ここを兎螺君が目撃したんだろうね。中に入った春さんはその夕食の盆に置いてあったフォークで架令を一突き。それが見事に心臓に刺さった。そしてしばらくして、架令はこときれた。このとき多分春さんはレインコートを着ていたんだろうね。それで返り血を防いだんだ。これをバッグの中にしまって現場を立ち去ったんだろうね。」
「でもそれはあり得ない。だって春さんはハンカチを持ってなかったのよ?どうやって指紋を拭ったっていうの?」
「そんなの服でだって拭えるよ?」
「…春さんはもともと返り血がつくのがいやでレインコートを着てたのよね?じゃあそんなことしたら服に返り血がついて、レインコートの意味ないじゃないの。」
「そうだねwじゃあ春さんは犯人じゃない。」
「やっぱりね…」
と、そこで来井が冷酷な声で私の言葉を遮った。
「…本当にハンカチがなければ、ね。」
「どういうことよ?」
「あれはあくまで天木さんの言葉でしょう?それが本当とは限らない。」
「あの俺、思ったんだけどさ…」
正治が口を挟んできた。
「…どうしたの?」
「いや、いくら春さんを慕ってたからってハンカチのことまで知ってるのは妙だな…って。」
「そうね…」
「いや、それ俺が言おうとしてたんだけど…まぁいいやwそういうことで、いますぐ確認しに行こう。」
「そうね。じゃあ行こうか。」
私たちは飲みほしたカップをごみ箱に捨て、春さんの控室に向かった。

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