小説『ローズヒップは事件の香り』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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―染月探偵事務所 花茂芽―
私達は一旦事務所に戻った。外はもう暗くなり、現場に行ったとき少し出ていた太陽も完全に沈んだ。
だが…一体どういうことだ?呼び出された二人、血のついたハンカチ、異常なまでの春に対しての天木の執着…
全て納得いかない。
「困ってるようだね?花茂芽。」
来井はそう言って私に近寄ってきた。正治は車の運転に疲れたのかソファーでぐったりしている。
「…そうね。いまいち整理できないの。今回の事件…複雑っていうか…難解っていうか。」
「そう…じゃあ使う?俺のタロット。」
…!そうだ!あいつは色んなタロットを持っていると言っていた。
「使えそうなのあるの?」
「もちろん!そうだね…これとかどうかな?」
するとポケットから来井が取り出したのは「塔」のカードだった。
それを床に落とした途端、また空間は変化した。
ここは…どこだ?古城のようだが…
「それじゃはじめようか。」
来井は私と真ん中にある円盤状の台をはさんで向き合う形で立っていた。
始めるとは、一体どういうことだろうか…私は来井の説明を聞くことにした。

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