小説『ローズヒップは事件の香り』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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―染月探偵事務所 花茂芽―
探偵事務所はいつもどおりだ。やっぱりあんな空間が見える私たちっておかしいのか…?
そういえば。私はロジックノ塔で感じた疑問について来井に尋ねた。
「ねぇ来井。今回の事件…本当に偽造工作なんてあるの?」
「…それはどういうことかな?」
「あんたのタロットの効果はわかった。でもその事件の流れはいつでも当てはまるのかな…って思って。」
すると来井は難しいそうな顔で少し悩み、答えを返してくれた。
「そうだね…時には当てはまらないかもしれない。ただ今回の事件…ただ普通に終わってくれなさそうな気がするんだ。あくまで勘なんだけどねw」
…つまりこいつのただの妄想か…ただ私もそんな感じがする。気のせいだといいのだが…
それより、捜査方針がわかったら次の捜査に向かうべきだな。
「…正治。」
「…zzz」
「正治!」
「うわっ!なんだよ…もうおわったのか?」
「ええ。車を出してくれる?そうね…紅葉出版社まで。」
「えぇ!なんで?さっきの俺の力完全無視かよ…」
来井が嘆いている。
「それも重要なんだけど、私はもっと疑問に思うことがあるの。犯人はあらかた予想はついてる。だけど動機がね。」
「…花茂芽、それは本当かい?犯人に目星がついてるって。」
来井が痛いような鋭い目で睨めつけてくる。
「えぇ…多分間違ってはないと思うわ。ただ…私の憶測だけどね。それを突き止めるために出版社に行きたいの。車出してくれる、正治。」
「…わかった。すぐに行こう。」
正治はポケットから鍵を取り出し、私たちは事務所の外に出た。

だけど…あの人が犯人だとしたら…厄介だ。
その覚悟はしておかないと…

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