小説『ローズヒップは事件の香り』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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…10分後、私は推理を話し終えた。
こいつに話をすると一つ一つ質問が帰ってきて鬱陶しい。偶然までも何故と聞き返す。それに疲れたのか正治と来井も他の刑事と中に入っていってしまった。
そうだ。私も聞きたいことがたいことがあったんだ。私は井原に尋ねた。
「…井原さん、一つお聞きしてもいいですか?」
「え?あぁ、どうぞ〜?」
「あなたは先ほどビルで推理をぶつけ合ったとき、机の上に置いてあった食事を夕食とおっしゃった。ですが、本来は昼食のはずです。あの間違いは何故起こったのでしょう?」
「フッ…花茂芽さん知らないんですかぁ?夕方に出す料理は夕食って言うんですよぉ?」
…呆れた。私は自分のまぶたに手をあてた。
「…はぁ…もういいわ。聞いた私が馬鹿だった。かろうじて使ってた敬語ももうやめるわ…」
「え?どういうことですかぁ?だって夕方に出てたじゃないですかぁ〜」
「花蓮、いい?あれはお昼に出されたご飯がそのまま置いてあったの。じゃあお昼に出されるご飯はなんていうの?」
「…昼食。」
「よろしい。じゃ、中行くわよ。」
「…はぁ〜い。」
私はうなだれる花蓮を連れて出版社の中へ足を踏み入れていった。

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