―厨房 花茂芽―
「ねぇ、花茂芽。なんでさっきから俺の力無視なの?」
来井がどこかで聞いたようなセリフを言っている。
「…こっちのほうが重要だから。」
「あ、なるほどね!だから俺は無視で…」
来井がウジウジと何かいっているが無視しておこう。
「でもさ、花茂芽。本当にここに重要なことってあるの?」
今度は正治だ。
「ええ。何?あんたまで私のこと信用してないの?」
「いや、そういうことじゃないんだけど…ここで事件に関係あるのって須照美さんくらいじゃない?」
「何言ってるのよ!もう一人大切な人を忘れてるでしょ?あのが一番重要なのよ…」
「あの子ってまさか…」
私は髪を一度振り払い、笑みを含んで答えた。
「そう。兎螺君。彼が一番この事件のカギとなる人物よ。」
「…でもあの子、事件現場に入っていく犯人を見ただけじゃん。関係はもうないよ?」
「いや、あるはず。私の仮説が正しければ、ね。」
私はそうとだけ答え、厨房の須照美を探した。