厨房の中へ入っていくと、そこにはまた椅子に座った須照美がいた。
「あの、天木さん。」
「え?ああ、はい!なんでしょう?」
「兎螺君って今どこにいますか?それをお伺いしたくて。」
「あ、今は春さんに預かってもらってるはずですが…」
「そうですか。ありがとうございます。それではまた。」
私は軽く礼を言い、厨房を出た。
―春の楽屋 花茂芽―
春の控え室に着くと、そこには楽しく遊んでいる春と兎螺がいた。
「あ!おねえちゃん!」
「あ、花茂芽さん。捜査は進んでいますか?」
「えぇ、順調に。もしかしたら、あともうちょっとで。今日中にかもしれません。」
「え?本当ですか?もう夜ですよ?こんな短時間で…」
「ただ…もう一人だけ話を聞きたい人物が。兎螺君、ちょっといいかな?」
私は兎螺の方に笑顔を向けた。
「なぁに?」
「あのね、お昼にお姉さん見たって言ってたでしょう?本当はもう一人いたんじゃないかなぁって。」
「あ、見た!もう一人いたよ!」
「本当!?それはどんな人だった?」
「帽子を深くかぶってて、お顔は見えなかったけどおんなじストラップ付けてた!」
「それはいつごろ?」
「前のお姉さんを見たちょっとあと!前の人とは違う色の帽子かぶってた!」
そうか…よし、繋がった。私はそう確信し、二人に軽く礼だけ言い、今度は現場に向かった。