小説『ローズヒップは事件の香り』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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私は死体の顔をよく見た。どこかで見たことある顔…
…っ!この顔は…

あの出版社の人間、秋桜さんにOKサインを出したあの男だ。
名前は…架令 譜羅都(かれい ふらと)だったか…
致命傷は、おそらく胸のこの刺傷であろう。
血がここから多く出ている。
痕は…3つ?
おそらく…あの机の上のフォークであろうが…
この事件、面倒くさいことになりそうだ…
と、私があれこれ考えていると正治がこう話してきた。
「…お前よく死体をそうペタペタと触れるな。俺にはとても無理だな…」
「いいの、これが私の仕事なんだから…」
「そうだね。あんた悪趣味だからねw」
雑用がなにか言っている。
「どうしたのよ雑用?」
「ごめんなさい。」
「…」
「黙らないでよ…怖いよぉ…妙に圧迫感があるんだよ…」
何か言っているが、私は仕事に専念するとしよう。
「死体の様子はどうだったんだ?」
正治が私に問いかける。
「おそらく刺殺ね。この胸の傷が致命傷。血が生乾きだから、死んでからあまり時間はたっていないわね。で、おそらく凶器があのフォーク。あと刺さるものって言ったらそこの銅像のレイピアか机の上の燭台くらいでしょう。まぁ、犯人が凶器を持ち去っていないのを前提でね。」
「…なるほどな。お前なかなか偉いな。」
「まぁね。ていうかここ勝手に捜査していいの?」
「あ、うん。いいの。誰も来てないし、呼ばれたの俺らだよ?大丈夫だってw」
そういってニコッとした顔にピースサイン。
本当に大丈夫なのだろうか?少し不安だ。
まぁ、そんなこと言ってないで、次は…
「次どうしようか?」
雑用が聞いてくる。
「…もう、間が悪いわね。今それ考えていたんじゃない。そうね…秋桜さんに話を聞きに行こうかしら。」
「そうだね。そうしよう。」
「その相槌いらないから。」
「…はい。」
雑用にそう言い渡すと私たちは秋桜さんの楽屋に向かった。

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