小説『ローズヒップは事件の香り』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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「まずは…そうですね…問題図書のことですが、かわいい作品を世にたくさん送り出してきたあなたが、何故あんな残酷な本を書いたのですか?」
いきなり事件のことを聞いても仕方ないだろうから、結構遠めの所から攻めることにした。
「…私が書いたあの本は…絵本じゃないのです…」
「?というと、どういうことでしょう?」
「あの男に…架令に騙されたのです…」
「詳しくお聞かせ願えますか?」
「はい…」
すると秋桜はもう一度座り直し、あの絵本の真相を語った。
「…あの本は絵本として書いたものではありません。あれは、架令に言われてケータイ小説を書いたつもりだったのです。あいつは私にケータイ小説を出さないか?と持ちかけて来たのです。その線でもお前はいけると、こう言われたのです。デビュー当初からお世話になっていたので、裏切るわけにはいかないと思い、渋々書いたのです。そうしたらひらがなの…まるで子ども向けの本のように書かれ…今回の事件に至ったのです。」
「そうですか…つまりあなたは架令に騙されたのですね?」
「はい、そうです。」
「では何故ケータイ小説を書こうと思われたのですか?」
これはさっき秋桜が教えてくれたことなのだが、どうも違和感がある。これは一体…
「…だから先ほども言ったとおり、彼を裏切りたくなくて…」

ドクン…

胸の当たりが…おかしい。
なんだこれは?
そう思った瞬間、前の事件で出会ったあの執事風男性から貰った万年筆のおかしな黒い模様が赤と黒の模様に変わっていた。
そして目の前の空間が…変化した。
そう、あの空間だ。あの時の…
「kill the liar」だ。

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