第十一話目 ニコライ! ぶっ殺す!by 一斗
前回のあらすじ
何か一夏誘拐事件が長引きました。(まる)
「まる。じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
静寂が支配する倉庫の中、聞こえるのは兵士達の吐息と足音だけである。
「おい、本当にこんなガキを誘拐して織斑千冬が誘き寄せれるのか?」
一人の兵士が隣に居る男に聞く。
「知るか。どちみち俺達は金で雇われたんだぜ。雇った連中の考えてる事、考えてたって意味ねーよ。」
聞かれた男が無愛想に答える。
「でも、よぉ。今回の商売相手はあの『亡国企業』だぜ?流石に心配になるぜ。」
最初の男がつけくわえゆる用に言う。
「そんなもん、気にしてたらいちいちきりが・・・(ドサッ!)「おい!どうした!」
突然、隣の傭兵仲間が倒れ困惑する男。
「敵襲か?」
と言って、しきりに周りを見る。
「どうなってんだ?」
まだ完全では無いが、ほとんどの仲間が倒れて居る。残って居るのは彼と今回彼らに仕事を依頼してきた『亡国企業』のISに乗った女と一人に傭兵仲間数名だけだ。
「おい!起きろって!うっ!」
周りの仲間を起こそうとした彼も強力な睡魔に襲われあえなく倒れてしまった。
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「凄いなこれ。流石!大佐製。」
倉庫の二階部分で下の様子を伺っていた緑色のゴツい装甲を纏った男。即ち佐々木 一斗は嬉しそうに呟く。
「と言うかこれさ、私必要無くない?」
目の前の男に不満をぶつける青と金色の一斗のとは正反対の人間的な丸みを帯びた装甲を纏った女。即ち佐々木 美香藻は言う。
「何を言うんだ美香藻君!君は僕の大切なパートナーさ!置いていく訳無いじゃないか!」
やけにハイテンションな一斗。何かを隠してる用にも見える。
「本音は?」
いかにもと言った、言い訳をする一斗に不快感を露にして聞く美香藻。
「エッヘッヘッへ。もし敵に囲まれた時にはこいつを囮にすれば俺だけは逃げれる!ザマアミロ!ってヤベ!」
素直に全て話す一斗。その様子にやっぱりと言った表情をする美香藻。
「そんなこったろうと思った。アンタには甲斐性ってもんが無いの!」
「うん、無い!」
「開き直んなぁぁぁぁぁぁ!」
美香藻のツッコミを無視しながら、一斗は言う。
「そんな事よりよぉ。早く助けに行こうぜ。催眠ガスの効果も無限って訳じゃねーし。」
「まっそうね。危うくアンタのせいで最初の目的忘れる所だったわ。」
「あ¨あ¨ん?何処が俺のせいだって?」
「全部アンタのせいでしょっ!」
「何処がだ!」
「なによ!」
「あ¨んだと!」
相変わらずこの二人の仲は悪い。しかし、この時二人は喧嘩をしていたせいでゆらりと立ち上がった影を見落としていた。
突然、前を歩いていた美香藻の前を弾丸が通りすぎる。
「てめーらか?こいつらを眠らしたのは?」
「「あ¨」」
ISがある事をすっかり忘れていた二人はおかしな声をあげる。
「クソガキめ!」
その、ISは背中にある八本の腕?で彼らをロックオンする。
「おいおいおいおいおい!ちょっとまてや、ねえさん。勘違いしてるよきっと貴女は勘違いしてるよ!」
そんな中、更にもう一人。人影が立ち上がる。
「おい。オータムどういう事だ、これは。と言うかあいつらは何だ?ISか?あれは。」
「私だって知るかよ!と言うか私を呼び捨てにするな!」
どうやら、後に来た方は丸腰らしい。
「ってあれ?あいつ、千冬さんに超似てない?」
「確かに。」
だが、今の彼らにそんな事は関係無い。問題はどうこの状況を解決するかだ。
「てめーら。こいつを助けに来たのか?」
そう言ってオータムと呼ばれた女は柱に縛られている一夏を指差す。
しかし、一斗は。
「さあ?そんな奴知らないね?」
適当にはぐらかす。
「それ以外に何の目的がある。」
千冬似の女が言う。
「あんたらへの嫌がらせとかじゃないの?」
相変わらずヘラヘラと美香藻は返す。
「クソガキが!」
「威嚇したって無駄だぜ。」
ふてぶてしい笑みを返す一斗。
「オータム。どっちにしてもこいつらは排除しなければ、この場を見られたしな。」
「ああ、確かにそうだな。って私を呼び捨てにするな!」
そう言いながらも戦闘態勢に入るオータム。
「ほう、面白い。この俺に喧嘩を売るとは。今日は気分が良い、相手をしてやろう。丁度、2対2だ。」
「アンタ、最初は良かったのに最後のウェスカーの物真似せいで全部台無しよ。」
「うるせえ!」
そう言いつつも彼は既に戦闘態勢に入っている。
彼らの間にジリジリと緊張感が走る。
そして、オータムが飛びかかかろうとしたとき、倉庫内を扉を壊す爆音が一瞬、支配した。
「一夏ぁぁぁぁぁぁ!」
「よっしゃあ!保険適用!」
彼の喜んだような声を裏腹にオータム達は。
「クソッ!逃げるぞ、エム!」
「だが!」
「つべこべ言わずにこい!」
オータムはそう言ってエムと呼ばれた女の背中を持ち、倉庫の壁を破り外へ逃げて行った。
「ん?お前らが一夏を!」
「「え¨」」
実は彼らは戦闘態勢に入る際に顔の部分の装甲を下ろし顔を隠していたのである。しかも、変声機能で声も変わっている。
「ちょ!ちょっと待って!俺達は決して怪しい物では無く・・・
「問答無用!」
そう言い、刀で切りかかって来た。
(クソッ!変声機能とか顔の装甲の外し方も解んないし!と言うか普通にこんな人と戦ったら負けるじゃん!ヤベーな、千冬さんはこれをISだと思ってるみたいだけど、これはISみたいにシールドエネルギーが在るわけじゃねーから斬られたら文字通りお仕舞いだ。なら!)
そこまで考えた一斗は何を思ったか腰から鉄扇を取り出す。
(いくら、戦闘能力が高くても力なら俺の方が確実に上だ。なら、普通に防御して、風紀辺りに止めて貰えば。ってあり?風紀は?)
そう考えている間も攻撃は続く。上から下から斬撃が彼を襲う。
横なぎに振るう刀を伏せて避け、続けて襲いかかる上からの攻撃を横にそれて避ける。
「チッ!ちょこまかと。」
更に斬撃は続く。
(おい、美香藻!何やってんだ、助けろよ!)
(むっ無理よ!敵うわけ無いじゃない!)
(ふざけんな!てめーもやれよ!)
一斗と美香藻が目で話しているうちも斬撃は続く。
そして、遂に。
キンッ!
金属と金属が当たりあう嫌な音がする。
一斗の鉄扇が千冬の刀を受け止める。
「クッ!」
(やっぱり、力だけなら俺の方が上だな。)
互いに均衡状態が続く。
「私は一夏の為に!」
「え?急に太刀が重く?」
すると、彼女の刀は一斗の鉄扇を切り裂き。彼の腕を肩からバッサリ切り取ってしまう。
「お、おい!お前大丈夫なのか!」
最初の方は声が動揺の為か小さかったが最後には驚愕で声が大きくなった。
「はは!やられたよ。流石、世界最強。まさか右腕を切り落とされるとはな。」
腕を切り取られたと言うのにふてぶてしい態度を変えない一斗。
「ちょ!大丈夫なの?」
心配したのか美香藻も声をかける。
「はっはー。大丈夫、大丈夫。俺はこの位じゃへばらないよ。 今だやれ!」
一斗が叫ぶと倉庫の窓から何かが投げ込まれ煙を吐く。
「早く行って!」
「分かってるわよ!」
変声器で声を変えてるが直感的に誰か分かった美香藻は外へ出る。
さよなら
「アディオス!」
それに続き、一斗も切り取られた右腕を持ち外へ出る。
既に外には大型トラックが待機しており彼は後ろのドアに飛び込んだ。
「フウッ!危なかったぜ。まさか、千冬さんと戦う事になるとはな。悪い風紀、助かった。」
一斗は目の前に居た彼女に話しかける。
「どうって事無いわよ。って大丈夫なの、一斗君!」
彼の切れた腕を見て驚く風紀。
「ん?ああ、これね。大丈夫。こうしておけば。」
一斗は腕の切断面と切断面をぴったり張り付ける。すると、あっという間赤色の筋が消える。
「アンタ。真性の化物よ。」
美香藻が気味悪そうに言う。
「酷いわよ!美香藻ちゃん。折角、傷が直ったんだから、もうちょっと喜んだら・・・「はいはい、お暑い事で。」うっ!。」
図星を突かれて声が出ない風紀。
「 あんがとね。俺の事考えてくれて。」
こんな、状況にあっても能天気な一斗の声。
「え?ああ。まぁ、うん。」
しどもろになる、風紀。
「そう言えば。何でアンタあそこに居たの?千冬さんを呼びに行ったんじゃ?」
「うん。途中で凄いスピードで飛んでいった千冬さんを見てあわてて戻って来たの。」
「やっぱり凄いわね。千冬さん。」
「はっは!確かにな。」
後書き
皆さんこんにちは。作者のD,I,Jです。
今回のこの小説はここで終わりです。次の話は一夏君がちょうどISを動かした数日後。我らがヒーロー。佐々木一斗は何故か、スペインの片田舎に居た!と言うお話になると思います。
原作突入まで後少しです。多分応援している人は居ないと思いますがこれからも頑張ります。
原作との違い。
マドカがかなり早い時期からいる。
マドカとオータムは結構仲がいい。
とりあえず、この位です。