小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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StrikerS編プロローグ

 
さて、今私がいるのは臨界第8空港・・・・のはずなんだが。仕事のためここを利用して管理世界に向かう予定だったんだが・・・・

――パチパチ ゴォオオオ

 なぜ一面炎に包まれているんでしょう?

(とにかく逃げ遅れた人がいないかの確認をすることをお勧めします)

(ここから少し行った場所に生命反応がある)

 おぉ。こういうとき冷静な二人がいて助かる。私もそれで冷静さが戻ったし。

葵「行ってみるか。怪我とかで動けないのかも知れん」

 そのまま行くと、何人かの人がバリアによって護られていた。

葵「管理局の者です。このバリアを張ったのは?」

女性「女の子です! 妹を探すといってあっちに」

葵「ありがとうございます。さらに少し強力な物を張っておきます。救出部隊がくるまで少し待ってて下さい」

 反応は、かなり奥だな。すると、

は『葵君! 聞こえるか!?』

 はやてから通信が入った。

葵「はやて? あぁ、聞こえるが」

は『ごめん、急いで第8空港に向かって・・・って!? 葵君! 今どこにおるん!? 後ろメッチャ炎が燃えさかっとるけど!?』

葵「現在その火災現場だ。はやて、今すぐガーディアンにつないでくれ。あと、今いる場所わかるか?」

は『う、うん』

葵「そこに人がいる。救助を頼む」

は『了解や! 後葵君、つながったで!』

葵「ありがとうはやて。聞こえるか」

白局員オペレーター『その声は、隊長!?』

葵「そうだ。悪いがすぐに第8臨海空港に人員を派遣。災害救助に当たらせろ。すぐに動けるものから順にだ」

白局員オペレーター『了解。第4、8、13部隊を派遣します。緊急招集で後2分後にはさらに増援できるかと』

葵「分かった。あと、災害救助本隊も送らせるよう言っておけ。白局員の指揮権を八神はやて一尉に任す。指示に従うよう言っておけ」

白局員『了解』


SIDEアイン・リイン


 指示用の車両にはリインとゲンヤ・ナカジマ三佐が指示を行っていた。

ゲ「補給は?」

リイン「後18分で液剤補給車が7台きます。首都航空部隊も後一時間で主力部隊が出動予定です」

ゲ「おせぇな・・・も少し早くできねぇのか?」

アイン「限界いっぱいだ。近くの部隊にも救援を願っているが・・・」

 すると、急にモニターが映った。この服装は葵さんと一緒の物ですね。でもどうしてでしょう?

白局員オペレーター『現場指揮官、応答願います。こちらガーディアンの者です』

アイン「ガーディアン? あ、葵の部隊の!?」

白局員オペレーター『はい。今そちらに部隊を派遣、もう直ぐ到着します』

 それと入れ違いに緊急連絡が入り、

白局員「こちらガーディアン第4、第8災害臨時部隊。これより消火活動に参加する。液剤補給車も緊急招集のため少ないが9台つれてきた。自由に使ってくれて構わない! 指示を」

ゲ「はやいな!? しかもこっちが今欲しいモノまで持ってきやがった!」

白局員オペレーター『あと6分後には災害救助部隊の本隊が到着します。なんとか持ちこたえてください』

リイン「了解です!」

アイン「主。いま葵の部隊が到着。消火活動に参加してくれます。6分後には白の災害救助部隊本隊が参加する予定です」

は『こちらでも確認した。というか、魔力がすごすぎやろ!?』

 映像で見ると、全員のデバイスから水が放出されている。それもただの水じゃない。威力や放出量が地球のポンプ車並みだ。行動もちゃんと訓練されたエキスパート部隊だ。

ゲ「・・・・あの坊主どんだけ訓練すればこんな部隊を作れるんだ?」


SIDE out


 教えられた場所に向かって飛んでいると、

???『スバル!!』

葵「(この声は・・・近いな)ルミル、加速を」

(分かった)

 現在は攻撃・速度を重視している黒騎士で移動中。声がしている方に向かうと、場所はらせん状になっている場所だ。


SIDEギンガ


―ズガァアアアン

ギ「キャァッ!! スバル・・・スバル・・・いるなら返事して!!」

 魔力もさっき使い、さらにどこか怪我をしたのか立つこともままならない。

ギ「お姉ちゃんが、今助けに行くから」

???「そこの子! 動くな、今助けに行くから!」

ギ「え?」

 すると、その足場が崩れる。そのまま私は落下していく。もう・・・だめ。

ギ「キャァアアアアア!!」

???「飛翔!」

 地面に落下したと思うと、

???「大丈夫か?」

 眼帯をした男性にだっこされていた。

???「怪我とかは・・・しているな。癒しの風よ。汝の力を持ってこの者の怪我を癒したまえ。ヒーリーングフール」

 すると、緑色の光に包まれる。光が収まると怪我が無くなっていた。

ギ「え、えっと、あなたは?」

葵「ん? 私か? 私は『葵さん! 本隊到着しました!』分かった。消火活動に参加しろ。指揮は誰が行っている?」

白局員オペレーター『現在ゲンヤ・ナカジマ三佐が行っています』

葵「ならそれに従え。こちらはこちらで行う」

白局員『了解』

 モニターが消える。え? あ、葵って・・・

ギ「あ、あの、もしかしてガーディアンの神無月葵一等空佐ですか?」

葵「そうだ。何故・・・あぁ。さっきのか」

ギ「わ、私、ぎ、ギンガ・ナカジマ! り、陸士候補生です」

葵「そうか。妹を助ける途中といっていたな。場所とかわかるか?」

ギ「おそらくですがエントランスホールに。あそこではくれたのでまだあそこにいるかと! 名前はスバル、スバル・ナカジマ。十一歳です」

葵「そうか。オペレータ。スバル・ナカジマは救助されたか?」

白局員『ダメです。まだのようです!』

葵「こちらで探ってみる。安心しろ。君も、君の妹も助けて見せる」

ギ「あ、ありがとうございます///」

 その笑顔があまりにもきれいで、私は顔が熱くなるのが分かった。

???「あ、葵君!?」

 後ろから女性の声がした。

葵「フェイトか。休暇中だろお前」

フェ「うん。でもいてもたってもいられなくて」

葵「なるほど。ではすまないが・・・いや一緒に来てもらった方が早いか。一緒に来てくれるか」

フェ「うん♪」

 葵さんにだかれながら、エントランスホールに向かう。


SIDE out


 ナカジマ。クイントさんの娘か。なにかの運命なのか。それに、この子は人ではないな・・・ということは妹もなのか。

 すると、ギンガちゃんが私の服を強く握っていた。

葵「・・・大丈夫だ。君も君の妹も助ける。絶対だ」

ギ「・・・え?」

葵「今は我慢してくれ。妹さんを助けてすぐにここから安全な場所に移動する」

ギ「は、はい///!」

 エントランスホールに続く場所に来たのだが、瓦礫によって遮られていた。

ギ「そ、そんな」

フェ「行き止まり・・・別の通路を探す?」

葵「時間がない。突破する。エクス、モード白騎士」

(了解)

 白騎士に変化すると、

ギ「綺麗・・・」

葵「破壊する。ギルノーシュ・ブレイカァー!!」

 瓦礫を破壊すると、そこにはスバルちゃんと思われる女の子がいた。

フェ「あれって!」

ギ「スバル!!」

ス「お、おねえちゃん?」

 すると、彼女の横にあった女神像が彼女の元へ落ちそうになっていた。

葵「フェイト、ギンガを頼む」

フェ「え!? あ、うん!!」

葵「間にあえよ!!」

 エクスの全速力で一気にスバルの元へ駆け、

葵「ディゴシールド展開!!」

 シールドを展開し、女神像の動きを一時止める。そして、

葵「ギルノーシュ・ブレイカー!!!」

 砲撃によって女神像は完全に破壊された。



SIDEスバル


 ミットチルダ臨界第8空港

 そこで起こった突然の爆発事故。見渡す限りどこを見ても火の海だ。

ス「おとうさん・・・・おねえちゃん」

 私は火事に巻き込まれ何もできなかった。家族を見つけだすことすら。そして突然にあのときはやって来た。

ズドーーン!

???「あれって!」

ギ「スバル!!」

 え? 今の声って。そう思い声のした方を見ると、

ス「お、おねえちゃん?」

 すると、隣あった女神像が、

スバル「――!」

 もう声すら出なった、死を覚悟した。だが、来るはずの痛みが一向に来ない。

 恐る恐る眼を開けるとそこには白い鎧を着た男性がいた。

 そして、

???「ギルノーシュ・ブレイカー!!!」

 像は跡かたもなく破壊された。

ス「あ、あの!」

???「ちょっと待ってくれ」

ス「え?」

 そういうと、金色の髪をした女性がおねえちゃんを連れてこちらに向かって来た。あたしはその男性に抱きかかえられた。

???「それで何かな?」

ス「あ、あなたの名前は?」

葵「葵。神無月葵だ。ちょっと待ててくれ。誰か聞こえるか」

オペレーター『は、はい!』

葵「三提督直轄独立機動部隊ウィザード所属、神無月葵だ。訳あって二名取り残された子供を救助。今からそちらに向かう」

オペレーター『か、神無月ってあの【黄泉路への案内人】!?』

葵「そうだ。それよりも指示を」

オペレーター『りょ、了解しました。あ、そちらに一人局員が向かっています』

ス「あ、あれ・・・」

 あたしが指をさすとそこには白い服を纏った女性がいた。

???「あ、葵君!? フェイトちゃん!?」

フェ「なのは!」

葵「なのはか? ちょうどいい。救護した子供たちを頼めるか。フェイトは引き続きギンガを頼む」

フェ「分かった」

な「う、うん。葵君は?」

葵「消火に当たる。頼むぞ」

 そういって葵さんは翼を出し天に向かってはばたく用に飛び立った。

 あたしはその時強く誓った。彼のように誰でも守れる存在になりたい。誰にも負けない強さがほしいと。


SIDE out

SIDEはやて


 燃え盛る空港を眼下に望みながらはやては、広域魔法を撃つ詠唱を行っていた。

は「この白き雪の王、銀の翼もて眼下の大地を白銀に染めよ!!」

 詠唱を唱えると、はやての周りにキューブが四つ現れた。

局員「八神一尉! 指定ブロック避難完了です!」

局員2「お願いします!」

は「了解!」

 はやては杖を空に掲げる。

は「来よ! 氷結の息吹!」

 周りのキューブが回転し始め、そして。

は「アーテブ・デスアイゼ!!」

 杖を地上に向けると周りのキューブが地上に降下、辺りを凍てつかせていく。

は「・・・よし!」
 十秒足らずで、指定ブロックの火災は鎮火、というよりかは凍りついたという方が正しい。

局員「すっ、げぇ・・・」
 
 魔法の威力からか局員達は白い息を吐いている。
局員2「これがオーバーSランク魔導師の力・・・」

 一方では防護服についた雪を払いながらオーバーSランクの力に感心している者もまた数多くいた

はや「巻き添えごめんな! 私一人やとどうも調整とか下手で」

局員「あ、いえ・・・ありがとうございます」

局員2「次の氷結ブロックを・・・」

―ドガァアアン!!!

局員「なんだ!?」

 空港の一部から大爆発が発生、凍てついた大地は再び火の海に戻った。

は「な、何が起こったんや!?」

オペレーター『八神一尉! 燃料タンクの一部に火が回りました!』

は「な、なんやて!?」

オペレーター『このままでは、他のタンクも連鎖爆発を起こす可能性があります!!』

は「そ、そんな・・・・」

 あまりにも衝撃的なことで混乱していると聞き覚えのある声がした。

孤「おやおや、けっこう混乱してる?」

は「孤狐!?」

ヴェ「私もいるぞ。アイン、この空港の詳しいデータをくれ」

アイン『いいが、どうするつもりだ?』

ヴェ「葵様と共に鎮火するだけだ」
孤「その間の指揮はボクがするね」

 そう言うと孤狐はモニターを出してすぐに災害部隊に指揮を執る。細かい指揮などは孤狐が取り大まかな物をゲンヤがここに指示する。

 すると、空港の穴から白い鎧を身にまとった葵が来た。


SIDE out


 到着すると、ヴェルと孤狐がいた。

葵「ほぉ。準備が良いな。さっさと始めるか。ヴェル、ユニゾン」

 白い光に包まれ、そこから現れたのははやてと同じ格好をした葵だった。

ヴェ(領域指定はすでに終わらせています)

葵「分かった。現場の局員に告げる。その場を動くな、動いたら一生凍土の中で暮らすことになると思え」

 そう警告した。全員止まったな。凍結エリア指定。後あの中にはもう誰もいないな。

葵「凍てつけ凍土のごとく。忘れられし大地!!」

 葵の周りにいくつものキューブが現れそして、火災地に向かっていく。

 すると、一瞬にして火災地は凍土に変わり火災もおさまっていた。

局員「・・・あり得ねえだろ」

局員2「・・・あれが、黄泉路への案内人の力・・・測定不能者の意味がわかった気がするぜ」

葵「鎮火完了。御苦労だったなヴェル」

ヴェ(いえ、どういたしまして♪)

 すると、空を見ると航空部隊が来たようだ。

局員『遅れてすまない』

葵「ようやくお出ましか」

局員『現地の局員とエース、それにガーディアンの方々には感謝する』

葵「こちらも引き続き援護する。一秒でも早く安全確保を」

局員『了解』


SIDEはやて


 はやては葵の方を見ていた。熱い視線とかではなく、まるで先生、お手本を見つけたかのように。

は(このままじゃアカン。今回の出動の出遅れもそうや。でも葵君の部隊はすぐに動けた。本局の部隊が来る前にかなりの大規模部隊の導入をやってのけた)

 はやてが視線を下に移すと軽く数十人のガーディアンの服を着た局員がいた。それは本局がくるよりも前にこの救助作業に入っていた。

は(・・・やっぱり必要や。すぐに、素早く動ける部隊が)

 はやては現実を見て、考えをまとめた。

 自分の部隊を作るという夢を現実にするための。

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