小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第十話


 さて、準備班は私とはやて。

葵「バーベキューか。となると肉はこれぐらいの大きさだな」

は「ん〜。でもそれだけやとものたりんな」

葵「鉄板もあるんだ。焼きそばなんてどうだ?」

は「それや!」

 という具合に調理していると、むこう側からフォワード陣が来た。

ス「八神部隊長に葵さん!?」

ティ「部隊長と葵さんが自ら鉄板焼きを!?」

キャ「そんなの、私達がやります!」

 それを聞いた私とはやては答える。

は「ん? あぁ、かまへんよ、料理は私達の趣味やし。なあ、葵君」

葵「ああ、気にするな。お前達は、飯が出来るのを待ってればいい。手伝いたいなら皿を出すとかやってもらうこともあるしな」

リオ「お父さんの料理おいしいんだよ!」

コ「しかもかなり上手だし」

葵「コロナとリオか。ちょうどいい味見をするか?」

 そういって少量を二人の口に運ぶ。

葵「どうだ?」

コ「おいしい!」

リオ「うん。とってもおいしい!」

 すると、ヴィータが臭いにつられてきたのか。

ヴィ「はやて部隊長と葵の料理はギガうまだぞ! ありがたく頂くように!!」

フォワード「「「「はい!」」」」

 そして賑やかな食事を送った。

全員「ごちそうさま(でした)ー!」

葵「はい。お粗末さまでした。しかしいつも思うが」

 そう言って私はエリオとスバルの双方を見た。

葵「いつも思うがあの量の食べ物はどこへ行くんだ?」

 彼らは大食いというレベルじゃない。それこそメガ・・いやギガだな。

は「気にしたらアカンと思う。というか六課の七不思議やな」

葵「・・・他の六つは?」

は「考え中・・・・さて、さて、サーチャーの様子を監視しつつ、お風呂済ませとこか?」

全員「はーい!」

はやての言葉にみんなが返事をする。特に女性陣の返事がいい。

フェ「まあ、監視と言ってもデバイスを身に付けてれば、そのまま反応確認できるし」

なのは「最近はホントに便利だね〜」

葵「全くだ」

リイン「技術の進歩です!」

アイン「それも技術者の知恵の賜物だろう」

 フェイトが言ったことに対して、葵達は感想を口にする。

ア「ああ〜、ただ、ここお風呂無いし・・・。湖で水浴びって季節でもないし・・・」

アリサが申し訳なさそうに言う。

す「そうすると、やっぱり・・・」

 そこにすずかがある提案を出す。

エイ「あそこですかね?」

美由希「あそこでしょう!」

エイミィと美由希が顔を合わせてニヤリと笑う。なのはは何を言おうとしているか察し、皆に言う。

なのは「それでは六課一同! 着替えを用意して出発準備!」

フェイトもわかったのか、なのはの言葉に続いて言う。

フェ「これより、市内のスーパー銭湯に向かいます!」

スバル「スーパー?」

ティアナ「銭湯?」

 スバルとティアナは疑問を口にする。エリオやキャロ、リオとコロナもわからないのか、エリオが代表して葵に聞いてくる。

エリオ「あのお父さん、スーパー銭湯ってなんですか?」

葵「公共浴場のことだ。大雑把にいえば寮の浴場の拡大版だと思えばイメージはしやすいかな。ただ私も一回も行ったことがないためなぜスーパーなのかはわからん」

 まぁ、知らない分少し期待もしているが。

 そして移動して数分後噂のスーパー銭湯に到着。

店員「い、いらっしゃいませー! 団体様ですか?」

 店員は人数の多さに驚きつつ、接客する。はやては人数を店員に告げるために、指で頭数を数える。

は「えーと・・・大人14人と」

フェ「子供6人です」

ティ「エリオとキャロと・・・」

リイン「私とアルフに・・・」

コ「私とリオですね♪」

 そんな中、スバルはヴィータを見て、


ス「えーと、ヴィータ副隊長は?」

ヴィ「あたしは大人だ!」

 ヴィータがスバルの一言に怒りをぶつける。だが、ここは公共施設なわけで周りからの視線が痛い。

葵「そうだな。ヴィータは十分魅力はある大人だからそう怒るな」

 そういってヴィータの頭をなでると、

ヴィ「み、魅力!? ほ、本当か///!?」

葵「あぁ。私はうそはつかないぞ」

ヴィ「う、うん/// ありがと///(でも待てよ)」

 ヴィータが何かを考えると、

ヴィ「はやて! あたし子供でいい!!」

は「え!? そ、そか? まぁ料金的に安くなるし」

 ということでなぜかヴィータは子供で通ってしまった。

 すると、店員が案内をしてくれるらしくて、その案内に続いて行こうとしたら、

ヴィ「あ、葵・・・手つないでいいか?」

葵「? 距離はないぞ?」

ヴィ「そ、それでもだ///!」

葵「まぁ良いが」

 そういってヴィータと手をつないで浴場の入り口の前まで来ると、エリオがのれんを見て一息ついていた。

エリ「ほっ・・・よかった。ちゃんと男女別だ」

葵「ん? 普通の公共浴場は男女別だろ。・・・あ、そっか。お前はキャロと一緒に女子寮で生活しているんだったな」

エリ「はい。ですからお風呂も・・・その、自動的に・・・」

葵「まぁ、私も気持ちがわからんでもない。なにせ、一人で風呂に入ろうとすると他のメンツが・・・」

 そういってなのは達の方に視線を送る。

な「にゃ?」

フェ「な、なに?」

アリ「どうしたの?」

シ「ん?」

ヴィ「なんだよ」

シャ「どうかしました?」

アイン「具合でも悪いのか?」

ヴェ「!? 大丈夫ですか葵様!?」

孤「食べすぎだと思うよ?」

葵「別に大丈夫だ・・・・はぁ。私の気持ちがわかるのはエリオだけだ。後お前の気持ちもわかるのもな」

エリ「お父さん!」

 そういってエリオは泣きながら抱きついてきた。あぁ、本当にこの苦労がわかるのはお前だけだ。

 そこにキャロがきて、

キャ「大きいお風呂だって! 楽しみだねエリオ君!」

エリ「え? う、うん。そうだね。スバルさん達と一緒に楽しんできて」

キャ「え・・・エリオ君は?」

 キャロの顔が少し曇り、理由を聞く。

エリ「ぼ、僕は・・・ほ、ほら! 僕は一応男だし・・・ね! お父さん!」

葵「え、エリオ。お前は一応も何も男だ」

 言っておいて悲しくないか、エリオよ・・・・それになにを持って一応なんだ?

キャ「ん〜でもほら、あれ!」

 キャロは壁を指差した。そこにはこの施設における注意事項が書かれていた。エリオはそれを見ると、何やらだんだん声がかすんでいった。

エリ「注意書き? えっと、女湯への男児入浴は11歳以下のお子様のみでお願いします・・・」

キャ「ふふ、エリオ君、10歳!」

エリ「え? あ・・・」

 それを聞いていたフェイト達も言い始める。

フェ「うん、せっかくだし、一緒に入ろうよ。」

エリオ「お、お母さん!?」

 エリオはフェイトの思わぬ援護に動揺する。

エリ「いや、あ、あのですね・・・それはやっぱり、スバルさんとか隊長達とかアリサさん達もいますし!」

 エリオは他の女性陣に擁護を期待するが、

ティア「別に私は構わないわよ?」

ス「てゆーか、前から頭洗ってあげようかとか言ってるじゃない」

アリサ「私達もいいわよね?」

すずか「うん」

な「いいんじゃない? 仲良く入れば?」

 脆くも期待は裏切られる。そこにフェイトは追い討ちをかける。

フェ「そうだよ。エリオと一緒にお風呂は久しぶりだし、入りたいな〜」

 それを聞いたエリオはかなり困った顔をしている。そして、念話で葵に話し掛け、助けを求めてくる。

エリ「〈お父さん! 助けてください!!〉」
 キャロはともかくお前らは女としていいのか? まぁエリオからのSOSもあったことだし、

葵「はぁ・・・あのな、エリオもいい齢なんだ。それに思春期の男をホイホイ女湯に連れて行くな。その辺もちゃんと考慮に入れてやれ」

 すると孤狐から思わぬ爆弾が投下された。

孤「なら葵も一緒に入る?」

葵「お前は私を犯罪者に仕立て上げたいのか!? 「いい考えなの!」なのは!?」

ヴェ「そうすれば葵様の背中を・・・」

アイン「なら、わ、私も・・・」

 だ、誰か話題をそらしてくれ!!

シ「それより今さらだが、エリオとキャロは葵のことを父と呼んでいるんだ!?」

葵「(ナイスシグナム!!!)二人がそう呼びたいというから呼ばしているだけだ」

 これでおそらく話はフェイトの方へ行くだろう。

アリ「フェイト、どういうこと!?」

な「間接的でも葵君と夫婦になれるなんて! リオ、コロナ! 私のこともお母さんって呼んでいいよ!!」

は「な!? 抜け駆けはずるいで! 私のこともお母さんと呼んでええで!」

ア「抜け駆けってあんたも何やってのよ!? ちなみに私のこともそう呼んでいいから!」

す「アリサちゃんもだよ!? なら私もいいよ!」

シ「主なにしているんですか!? なら私も!」

ヴィ「なっ!? シグナムテメェもだ!!」

シャ「私がロッカー確保している間に何しているんですか!?」

アイン「ちなみに、私も母と呼んでいいぞ」

ヴェ「私たちはすでに呼ばれているしな」

孤狐「うんうん」

 エリオから話がそれたときは好機とみたが、今は何やら私の方が身の危険を感じる。

 それにスバルやティア、キャロもかなりその光景に驚いてポカーンとしてるし。

葵「はぁ。行くぞエリオ」

 一つ溜息を吐き、

エリ「え!? いいんですかお父さん!?」

葵「エリオ。自らあの死地に赴きたいなら私は止めない。だが止めておくことを勧める」

 そういってなのは達が言い争っている戦場の方へ視線を向ける。するとエリオも身の危険を察知したのか。

エリ「お風呂に行きましょうお父さん!!」

 そういってエリオは私の手を引いてのれんをくぐった。

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