小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第一一話


SIDEヴィータ


 葵達に対しこのことを聞こうと思い葵達の方を振り向くと、

ヴィ「なっ!? 葵がいない!?」

は「なんやて!?」

 他のみんなも葵達がいた場所を見るがいないということに気付くと女湯の方へ入っていった。

キャ「・・・・」

ヴィ「ん? どうしたキャロ?」

キャ「あ、ヴィータ副隊長。いえ、あの」

 キャロは葵とエリオが入っていった男湯のほうをちらちらとみて、注意書きのほうもちらちらとみた。

ヴィ「なるほど。考えてることは一緒か」

キャ「え?」

 すると、コロナとリオもこっちに来た。

コ「どうかしたんですか?」

リオ「はやく入ろうよ!」

ヴィ「あせんなって。なぁコロナ、リオ、キャロ。葵と一緒に風呂入りたいか?」

キャ「は、はい///」

リオ「う、うん・・・///」

コ「そりゃ、出来れば///」 

ヴィ「よし。じゃあ行くぞ」

キャ「え? でもヴィータ副隊長は大人では?」

ヴィ「何のために子供料金で来たと思ってやがる」

 そう。以前はやてたちと一緒にここには来たことがある。その時この看板も見た。そして思いついた作戦がこれだ! 手をつないだのもこのために回りをごまかすための作戦だ!

ヴィ「よし。じゃあ行くぞ!」

キャ・コ・リオ「「「おぉ!」」」


SIDE out


 今は脱衣所で服を脱いでいる。当然私の体についた傷なども見えるわけだ。

エリ「・・・・・」

葵「ん? どうしたエリオ?」

エリ「あ、いえ、あの」

葵「傷が気になるか?」

 するとエリオは首を縦に振った。

葵「まぁ、名誉の負傷。とだけ言っておこう。色々あったんだ過去に」

 だが、エリオはそれでも目を離さなかった。他にあるのか?

エリ「いえ、その、お父さんは背が高いなって。僕も大きくなれるかな」

葵「お前はまだこれからだろう。しっかり食べて・・・いやあれだけ食ってたら伸びるか。後は栄養と体調管理をしっかりするぐらいだな」

 そうエリオにアドバイスしていると、

ヴィ「お。葵発見!」

キャ「お父さん、エリオ君。一緒にお風呂はいろ!」

コ「来ちゃいました♪」

リオ「お父さん、一緒に入ろ♪」

エリ「えぇ!? キャ、キャロ!?」

葵「コロナ、リオ?・・・・それにヴィータ、お前あっちに行ったんじゃ?」

ヴィ「子供料金だからありだ!」

・・・そのために子供料金・・・何か犠牲にしていないか?

ヴィ「こういうときは利用できるもんは利用する!」

葵「・・・分かった。とりあえず準備をしろ。後、エリオ、なるべく隅に移動するぞ」

 そういって着がえる場所も人目から見えない場所に移動した。

 その後は準備を済ませた私とエリオは体を洗い風呂の中に入る。後から来た女性陣はそのまま洗いっこをしていた。

エリ「あの、お父さん」

葵「ん?」

エリ「さっき傷のことを名誉の傷だといいましたよね。それは一体・・・・」

葵「大切な者を守るためにかな。昔は護りたい者がたくさんありすぎた。でも肝心な者は護れず手放してしまった。その後は必死にもう手放すまいという勢いでがむしゃらに戦った。だが、大切な者達がその分私を守り傷ついた。結局あの時の私は何がしたかったのかいまだにわからない。(だから世界を敵に回してしまったのだろう)」

エリ「でも、今は違うんですよね」

葵「護りたい者がいるという点では一緒だろう。だが、今度は守り通す。それだけだ」

 何も変わらない。同じことを繰り返すかもしれない。でも、もう手放したくないんだ。今の幸せを。他人を欲まみれなどといっているが自分もそうなのだろう。

葵「自分勝手だな私も」

 そうつぶやくのは私の心のあり様だろう。

エリ「でも、お父さんはそれでもかっこいいと思います」

葵「え?」

エリ「自分勝手って言いましたけど僕から見ると護ってくれるヒーローのように見えます」

葵「ヒーローね。柄ではないんだがね」

 そう言って苦笑いしてしまう。正義、英雄。そう言ったものは所詮悪の反対としておかれているだけにすぎない。実際そんな者など無い。

エリ「例えそうでなくてもお父さんは僕にとって大切な存在です!」

葵「そうか。私もエリオは私にとって大切な存在だな。たとえどんな者であっても」

エリ「え?」

葵「私はお前がどんな存在か知っている。だが、そんなのは関係ない。たとえどんな存在であってもお前はお前だ。エリオ・モンディアル。お前はそれ以上でもそれ以下でもない」

エリ「でも、僕は・・・」

葵「クローン。だからか?」

エリ「っ!?」

葵「でもなエリオ。作られなかったら私はお前と一生会うことはなかっただろう。ある意味ではあいつに感謝する。そしてエリオ、今から言うことを忘れるな」

エリ「・・・はい」

葵「命ある者は幸せになる権利も、未来をつかむ権利もある。これは絶対だ。それにお前も、キャロも、そしてみんな含まれているんだ。私の息子なんだ。絶対その二つをつかませてやる」

 そういってエリオの頭をなでる。

エリ「・・・ありがとう。お父さん!」

ヴィ「なに話してんだ?」

葵「ん? なにエリオと男の話をな。な?」

エリ「はい!」

 その後、キャロとコロナ、リオもお風呂に入ってきた。

 まぁその直後リオとコロナが露天風呂に気付き、その後を追うようにエリオとキャロも行ったが、

葵「フェイトかなのはあたりか。エリオを拉致ったな」

 露天風呂のほうからエリオの悲鳴らしきものが聞こえたが、まぁ予想は当たっているだろうな。

 だが、エリオたちに続かなかったのは、

ヴィ「〜〜〜♪」

 私の膝の上でかなり上機嫌なヴィータがいた。

ヴィ「なぁ葵」

葵「どうした?」

ヴィ「おまえ、好きな奴いるか?」

葵「・・・はぁ!?」

ヴィ「いや、だってよ。皆とデートしたんだろ? で、告白もされたんだろ?」

 だんだん、ヴィータの声が弱まっていった。

葵「一つだけ言っておくことはある。私は皆をちゃんと異性としてはみているぞ」

ヴィ「そ、そうなのか?」

葵「ヴィータを含め周りにはなぜか美人が多い。気にしない方がおかしいだろ」

ヴィ「そうか。美人か///」

葵「・・・でもな正直言って好きという感情が分からないんだよ」

ヴィ「え?」

葵「私の前世の話はしたよな」

ヴィ「あぁ」

葵「まぁそんなことがあって恋愛ごとに割く時間なんてなかった。もっと簡単にいうなればあれがlikeとloveの違いがわからないといった方が分かりやすいか」

ヴィ「そ、そうか(・・・でも待てよ。これはあたしも勝てるかもしれない! にしても・・・)」

 ん?

葵「どうしたヴィータ?」

 ヴィータのほうを見ると若干顔が赤い。長湯しすぎたか?

ヴィ「あ、葵のって意外とたくましいよな・・・///」

葵「体か? まぁ鍛えてるし」

ヴィ「そ、そうじゃなくて・・・ここ///」

 そういってヴィータは私の・・・その・・・息子を指差す。

葵「///!? あ、ああああ・・・す、すまない!」

ヴィ「え、あいや、その(お、大きい・・・は、入るかな・・・)」

 まぁ、今はこの気まずい空気の中から脱出しよう。そう思い。

葵「さ、さて、出るか」

ヴィ「お、おぅ」

 服はヴィータに頼んでコロナ、リオ、キャロのをフェイトのかごに入れてもらった。 一足先に風呂から出てヴィータにいちご牛乳を買い、私は普通にコーヒー牛乳を買った。

 
 するとエリオが男湯から出てきた。エリオはいったん戻って着替えたみたいだな。だが、顔つきはかなりやつれて。

葵「お、お疲れ様エリオ。何か飲むか?」

エリ「じゃ、じゃあフルーツ牛乳を」

 そういって自販機でエリオのフルーツ牛乳を買い渡すと。

エリ「お父さんは皆さんのことをどう見ているんですか?」

葵「は? ・・・あぁ、はやてかアリシアか?」

 あいつらは何かと計算高いからな。

エリ「・・・いえ、皆さんからです」

葵「・・・・ちょっと待ってろ。〈聞こえるかお前ら?〉」

 そういって全員に詳しいことはヴィータに聞けといっておいた。

 余談だが、ヴィータからの報告を聞いたみんなはどうやらヴィータと同じ考えに至ったとか。ちなみに、

ヴィ「・・・・意外と大きかった///」

は「なにが?」

シ「大きい? 体か?」

シャ「身長かしら?」

ヴィ「・・・・あそこ」

全員「///!?」

ヴィ「・・・ちなみこんぐらい///」

 ご丁寧にサイズまで教え具体的過ぎたのかこの日一日皆顔が真っ赤だった。後あそこを凝視される時間がなぜか増えた。

(マスター。サーチャに反応あり!)

(ただ、レリックかどうかはやはり判らない)

葵「そうか。あいつらはまだ出る様子はないな」

ヴィ「ならあたしらが先行するか」

エリ「はい!」


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