小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第二九話


 訓練終了後休憩・・・というかこの敷地一帯の探検に出よう! とはやてが言いだした。

 で、皆がなぜか私の部屋を見たいというのこちらの世界で寝室代わりに使っている部屋を見せる。

は「へぇ〜以外とシンプルやね」

葵「まぁここは基本別荘みたいな感じだからな。後研究とか」

 あるのは本棚と座敷机に座イス。それだけだ。

な「あれ? ねぇ葵君。ここにある本ってアルバムか何か?」

 そういって葵本棚にある本を訪ねるなのは。

葵「・・・それは【記憶の書】だ」

シ「記憶の書?」

葵「簡単に言うとその者がどのような生活を送ってきたか。まぁ伝記みたいなものだ」

ヴィ「でもよ、これに書かれているのはAoi Yosidaって書いてるぞ?」

葵「それが私の実名だ」

フェ「えぇ!? そうなの!?」

葵「私の本名は吉田葵。以前に言わなかったか? 神無月とは十番目に選ばれた兵器につけられたものだと」

 するとそこに、

朱「まだ持ってたんだ、これ」

 朱音がそれを見てそう言った。

ウル「・・・やっぱり赤か」

竜「当たり前だ。あんなことをされて赤以外の色が付いたら異常だ」

 その言葉にスバルとティアナが疑問に思った。

ス「あの、その赤とかってなんですか?」

ティア「なに関係があるんですか?」

 そう言われて葵、竜也、朱音、ウルナは顔を見合わせ、

葵「・・・赤は血の赤。つまり本人にとって思い出したくない過去のことだ」

竜「青は逆に本人にとって幸せな時だった瞬間」

 そしてみんなが見た本。Aoi Yosidaと書かれた本はそのほとんどが赤一色で占められていた。

 それに皆言葉を失ったが葵が、

葵「・・・全員には知ってもらう必要があるか。零始が何を知り、私が何を体験したかを・・・」

竜「葵!?」

ウル「見せるっていうの!? バカじゃないの!?」

 いや、バカは酷いだろ。

朱「・・・いいんじゃない」

竜「朱音!?」

朱「これは葵の決意。なら私たちが口出しする必要性はない。葵は葵の気の向くままにすればいい」

竜「うっ・・・・分かった」

 その後三提督、レジアス、ジェイルと来ていないナンバーズ、リンディ、クロノ、カリム、シャッハを呼んだ。

レジ「いいのか葵?」

ジェ「別に無理をしなくても・・・」

葵「・・・まぁ、いずれ話さなければならないと思ってたしな。あとヴィヴィオ、コロナ、リオはアイナさんに頼んで預かってもらっている。さて、私の記憶を見る前に注意事項だ」

リン「注意事項?」

葵「・・・特にフォワード陣とルーテシアに言っておく。今から退席するならしてくれて構わない。今から見せるものはそれだけきついモノだ。残る以上、見る以上は最後まで目をそらさず見てほしい。人がどこまで狂えるか、そして今から戦いを挑むやつがどれほど狂っているかを・・・」

ラ「・・・それほどのモノなのか?」

葵「えぇ。私、いや、あの経験をした人間の全員がそう言う。狂王など比喩でも何でもない。狂いし者の王だ。まさにあいつは」

レオ「・・・そこまで言うほどなのか」

葵「まぁ、見てから言ってください。さて、君たちはどうする。これはフォワード陣限定で言ったが実際は全員に言う。退席するなら退席してくれ。これは強制ではないからな」

 だが、全員その場を動こうとしない。それを確認し、

葵「分かった。では語ろう。私の過去を。では紡ごう、私の過去を。では始めよう。









――永遠に忘れたい、忌々しい記憶を」










 そして、はじめのページを開く。ページを開くとその瞬間景色は一気に変わった。

な「こ、これは・・・・」

 見渡すと畳の部屋は一気に閑静な住宅街になっていた。そして行きかう人とすれ違う。だが、その人々はすり抜けて行く。

葵「簡単言うと立体映像だ」

 そしてある家に向かっていった。表札には【吉田】と書かれていた。

 そして居間には五人いた。そのうち二人は夫婦。そして子供。もう片方はスーツ姿の男性が二人。そして、テレビの前で私と無邪気に遊んでいる女の子。

シャ「えっと、この夫婦が」

葵「私の両親だ。そしてそこのガキが私。目の前の人間が」

ティア「葵さん可愛いです」

ス「ホントだ!!」

キャ「わたしたちと同い年ぐらい?」

エリ「ううん、もっと小さい」

ルー「あと二つか三つ下」




葵父「そうですか。魔法省の方と文部科学省の方が。わざわざ遠方からすみませんね」

役人1「いえいえ。私たちも仕事ですから。それで、お子さんを預けてもらえますかね?」

役人2「彼には才能があります。この歳でB+なんて。そして私どもの計画に参加していただければもっと上を目指せます!」

舞「おにいちゃんすごぉい!!!」

 葵によく似た女の子、妹の舞が無邪気な笑顔で葵をたたえていた。

葵父「そうですか。どうするお前?」

葵母「いいんじゃないの? この子もそう言う機会があった方がいいですし、他の同年代のことであって刺激にもなりますし」

葵父「そうだな。ではお願いできますか?」

役人1「はい。では、手続きの方へと移らせてもらいます。まずこちらの書類に――」

 その後書類を書き、そして三日後にここに集合するよう地図も渡され役人達は帰っていった。




ク「その計画って・・・まさか!?」

葵「S.L.P.。サイド・ルピア・プロジェクトだ」

レジ「その計画は何だ?」

葵「その名の通りサイド・ルピアという今から数十年前に発表された論文に基づいて行われた計画だ」

竜「その計画の内容は人間によって五代元素である火、水、雷、土、風や、光、闇とこの世に立った二人しかいない魔法を人工的に作り出そうという計画だ」

ウル「簡単に言うと人工的に魔法を作りだしそれを人間に埋め込もうという計画」

レジ「どこがいけないのか?」

葵「それを埋めれるのは子供。それも最悪死、運が良くても人間としての形、知能、全てを保てる保証はない」

全員「!?」

ウル「それを知りつつ当時の日本政府をはじめ世界はそれを容認した」

 ウルナの顔は明らかに憎悪に満ちていた。

朱「ここにいる人間はそれの成功体。だから無尽蔵に魔法が撃てる、強靭な肉体、バカげた知能がある。まぁ、実際は途中から計画なんて名前だけだったがな」

 その後、葵の両親はそれを認め子供を預けることを決めた。当然だ、実際の魔法省と文科省といった国家機関が来てそのプロジェクトに選ばれましたといわれて誰が疑うだろう。




葵「お父さん。なんでこのぷろじぇくとに参加しなくちゃいけないの?」

葵父「いいか葵。この計画に参加したらお前はもっと頭がよくなる。そうすればきっとお前はよのため人のためにできることが増える。そのためだ」

葵「うん! 分かった! 僕正義の味方になる!」

舞「おにいちゃん! がんばってね!! おうえんしてるから!」

葵「うん! がんばるよぼく!」




葵「・・・・今思うとこのころからだろうか。正義を嫌うようなったのは・・・」

 この時の私はあまりにも何もかもを知らなさすぎた。まぁ当然だろ。子供に世間の厳しさを知れといっても無理だ。まさに馬の耳に念仏。

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