小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第四二話


角「・・・・牙が通したか」

 その場にいたのは肌は黒く、あちらこちらに入れ墨が入った男性だ。

朱「・・・レベル5」

ウル「運が悪いね。でも押し通すよ?」

 朱音とウルナは武器を構える。

な「ウルナちゃん、朱音ちゃん!?」

ヴィ「あたしらでも「まだ二人いる」え?」

角「ほぉ」

朱「分からないと思った? あなたと外に三人のレベル5。確認されたのは、地上本部で確認された四人と六課を襲った二人」

ウル「引き算すればまだ二人いる。葵は零始を、数で押すしかないからね。ここはウルナさん達が引き受けるよ」

葵「・・・・すまん。行くぞ!」

フェ「後でちゃんと会おうね!」

 私たちはその場をウルナと朱音に任して先に進んだ。


SIDEウルナ・朱音

朱「さて、お相手願いましょうか?」

角「【獄炎の姫君】に【現代の益徳】か」

ウル「へぇ〜よく知ってるね」

 ウルナのもう一つの異名は現代の益徳。大戦時のウルナの槍裁きや突撃力などは現代によみがえった三国志の英雄張飛に勝るとも劣らずといわれそう呼ばれるようになった。

ウル「しかし朱音」

朱「なに?」

ウル「立派な死亡フラグ立てたよね。どうする?」

朱「んなもの決まってるじゃない」

ウル「そうだよね〜」

ウル・朱「「へし折るまで!!」」


SIDE out


葵「分かれ道か」

 そこに三つの道があった。一つは駆動路、一つは道から考えて制御室に当たる場所。そしてもう一つがおそらく、

な「玉座・・・・」

ヴィ「多分そこに野郎がいるんだな?」

葵「あぁ。狂王とはいえ王と呼ばれたやつだ」

フェ「なら私はこっちに行って制御室を掌握するね」

ヴィ「ならあたしは駆動路に行ってくる」

な「フェイトちゃん、ヴィータちゃん無茶しないでね」

ヴィ「一番無茶する奴が何言ってんだか」

フェ「そうだね」

 なのは反論せず一瞬たじろいだが、すぐに、

な「ふ、二人に言われたくないよ! 二人だってかなり無茶してるの!」

葵「私から言わせれば全員無茶しているがな」

な・フェ・ヴィ「「「うっ・・・あ、葵君だって・・・」」」

葵「私の辞書には無茶と無理という言葉にはこう記されている」

な「?」

フェ「あ、なんとなくわかった」

葵「押して参ることだと」

ヴィ「うわ、葵らしい」

な「うん」

葵「とりあえず行くか」

な・フェ・ヴィ「「「うん(おう)!」」」

 そして三人はそれぞれの向かう場所へ向かい別れた。


SIDEなのは


 わたしと葵君は玉座の間に向かって走っていた。

葵「! 避けろなのは!」

な「え?・・・!?」

 葵君に言われその場を避けるとそこには緑色の光がとおりすぎた。

???「はずしましたか。ですが構いません。次で殺します」

 そういって黒色のロングヘアーに金色の瞳をした女の子・・・多分エリオやキャロと同い年ぐらいの子がいた。

な「ここは危な「・・・・【不の者】か?」え!?」

 こんな、こんな小さい女の子が!?

葵「・・・・もとはあいつの娘か」

翼「はい。私の名前は翼。あなたが最初に殺した者のクローンです」

葵「・・・・あいつはどこまで狂っている・・・。死者を蘇らせるなんて」

翼「おかしなことを。あなたの身近にも二人いるじゃないですか。それなのに私は別モノ扱いですか?」

葵「そうだな。お前もすでに一つの個体だったな。それを差別するのも変か。だが!」

 葵君は翼ちゃんに向けて剣を構える。その目はあの時のようにひどく冷たかった。

 それに葵君はここで止まってちゃダメ!

葵「いざ「まって!」なのは!?」

 わたしは葵君の一歩前に出て翼ちゃんと睨みあうように目を鋭くした。

な「葵君は先に行って。そしてちゃんとあいつを倒して帰ってきて」

葵「・・・・分かった。お前も無事でいろよ」

な「うん! ちゃんと戻ったらお願い聞いてもらうの!」

葵「・・・ふ、不可能じゃない範囲でお願いします」

な「もちろん♪」

 そういって葵君は先に進んだ。

翼「・・・まぁ良いでしょう、あなたを殺してすぐに父の元へ向かえば良いだけですから」

 そういって彼女は銃口をこちらに向け放つ。

な「負けない! 葵君のためにも! この世界の未来のためにも!!」


SIDEout


SIDEシグナム


牙「くっ!? た、確かに腕は上がったようだな。だが!!」

シ「ハァアアアア!」

―ガキィン

 葵からもらったこの力でようやく五分。いや、アギトとユニゾンしているからこちらが多少上か。

牙「・・・何故だ」

シ「なに?」

牙「何故我らが未来を邪魔する!?」

シ「未来だと?」

牙「この汚れた未来を浄化し、一からやり直す。我等はその悲願のために生きてきた。そして今それがあと一歩のところにある。何故それを邪魔する!?」

 未来・・・だと?

シ「ふざけるな!!」

牙「!?」

シ「そのために多くの命を奪い、そのために多くの者の未来を奪って何が未来だ! 何が悲願だ!! そんなのは未来とは言わない! ただの絶望だ!」

牙「ならあいつはどうなんだ!? ナンバー?が行っていることだって同じではないか!?」

シ「確かにそうだ。あいつも多くの者の未来を奪った。だが、あいつとお前らの決定的な違いはそれを背負ってでも生き抜いていることだ!」

牙「?!」

シ「いろんなものたちの未来を奪ったがその分自分を犠牲に手でも生き抜き生きて贖罪続けている。あいつが、葵が私たちに与えてくれたものは希望であり幸せという名の未来だ! 貴様たちのような絶望という名の未来など欲しなどしない!」

 そして私はレヴァンティンを構える。その刀身には聖炎が宿る。

シ「牙よ! 今から聞く言葉をよく聞け! これが私の! 私たちの思いの焔だ!」


――Unsere(我が) Flamme(炎は) repr&auml;sentiert(我が) mein(心を) Herz(表す)


――Unsere(我が) Flamme(炎は) repr&auml;sentiert(我が) unser(命を) Leben(表す)


――Unser(我が) Feuer(炎は) ist(消える) nicht(事は) weg(無い)


――Warum(何故か)?


――Unsere(我が) Flamme(炎は) Licht(未来を) beleuchtet(照らす) die Zukunft(光りなり)


――Wir(故に) k&ouml;nnen(我が) nicht(炎は) repariert(無くなる), weil(ことも) es keine(消える) Flamme(ことも) verschwinden(無い)!



シ「聖炎・・・・」


 炎はさらに輝きを、勢いを増し燃え始めた。だが、その炎は決して熱くなかった。むしろ暖かいぐらいだ。



シ「一閃!!!」


 その炎はぬくもりがあり、今まで私が放った炎で一番輝いているとも思った。

 そして炎は牙を飲み込む。

 炎が晴れると、そこには所々が焦げた牙がいた。

牙「・・・これがお前の力か。聖炎の騎士シグナム」

シ「正確には違う。私と葵の力だ」

牙「フッそうか。まさかこのような死に方をするとわな。だが、嫌ではない。むしろすがすがしい気分だ。この身体をえてこのような終わり方をするとは思わなかった。礼を言うシグナム」

 そういうと、彼は下半身から砂のようにさらさらと消えて行っていた。




―――汝らの未来に祝福があらんことを




 彼はそう言って消えて行った。

シ「・・・争いはいつもそうだ。切なく、哀しく、虚しい。あいつも再びこの世に生を受ける時には幸せを」

アギト(大丈夫かシグナム?)

シ「あぁ。他のみんなを助けにいくぞ!」

アギト(おう!)


SIDE out


SIDE地上第二班


爪「強ぇな。オメェら!!」

 そう言いながら爪は双剣を振るう。

キャ「ヴォルテール!?」

ルー「白天王!?」

 爪の一撃は明らかに対格差、いや大きさが違うキャロとルーの召喚獣や竜ですら簡単に倒してしまう。

爪「オメェらと少しでも早く出会ってたら俺も変わってたかもな・・・・」

 その言葉はあまりにもむなしくその場に響く。決して変えられることのできない運命。【不の者】は消して人ではない。正真正銘の化け物。人を喰らい、人を餌としか見ない。だが、レベル5まで行くと感情、【心】が生まれる。そしてそこに生じるのは逃れられない運命と、自らが思う人と接したいという矛盾。

エリ「まだ、まだ間に合いますよ! 絶対に助け「無駄だ」!?」

 そう言って爪はエリオを蹴り飛ばす。

ルー「何故そう思うの!?」

爪「テメぇらはどんな形をしようと人だ。だが、俺は化け物。決して越えられない壁がある。人を喰らい、人を餌としか見ない。それはお前らがどう思おうと決して変えられない。例え助けられてもオメェらがメシを喰うように俺も人間を喰わねぇといけない」

 爪は再び剣を構え、

爪「覚えておけ。ガキに小娘どもに、おっさん。この世に全員が幸せになる世の中なんて無い。そこに二つ以上の種族がいれば必ず争いが起こる。勝利したものが全てを制す。この戦いは俺達【不の者】が勝つか、テメぇら人が勝つかの戦いだ!」

 その目はどこか悲しく、切なさすら感じる。こんなことを言うやつが本当に【不の者】なのか。

爪「戦いっていうのは常に命とその権利をかけて殺し合うことを言うんだ!! 戦いは常に間違いだらけで、常に正解を求めて間違いを起こしあうことなんだ!」

ドゥ「でもね。戦いからは何も生まれない」

セイン「葵が言ってたよ。戦いはただ悲しみを呼び、悲しみは怒りを、怒りは憎しみを、そしてやがてそれが殺戮に人を導いてしまう。負の連鎖だって」

オットー「葵兄様は、誰かが我慢をすればそこで終わる。なら自分がそれになろうっていった!」

ディエチ「本来それは一人ひとりが背負わなければいけない物。他人に押し付けたりしちゃいけないんです!」

ヴェ「一人一人背負っているモノは違うが、確実に何かを背負っているんだ!」

爪「なら俺たちはどうなんだ!? この行き場の無い怒りをどうしろというんだ?!」

エリ「なら一緒に背負いますよ」

爪「?!」

キャ「押し付けるのはダメだけど、でも!」

ルー「一緒に背負って支え合えればいい」

 すると爪は顔を俯かせ、小さく、

爪「・・・本当に・・お前らと早く出会ってたら、こんな形じゃ無く出会っていたら・・・」

 その目から流れる物に本人は気づくことは無かった。ただ、希望の光を見て、

爪「ガキ。次の一撃で決着をつけようぜ。全てに、お前の過去にも、俺の意味にも」

エリ「・・・はい」

 互いに武器を構える。




――ガキキキキぃ



 互いの武器が交差しあい金属音が鳴り響く。


エリ「貫けぇええええええええええ!!!!!」


―ガキィピキッ


爪「なっ!?」

エリ「いけぇえェエエェエ!!」


――パキィン


 エリオのストラーダは爪の双剣を破壊し胸を完全に貫いていた。

爪「・・・・悪くねぇな。こういうのも」

エリ「・・・・」

爪「なぁ、ガキ。今度生まれ変わるときはテメぇともう一戦してぇ」

エリ「・・・はい。よろしくお願いします」

爪「・・・まさかこういう良い気分で逝けるとは思わなかった。感謝するぜ。ガキ、小娘ども、おっさん!」

 そう言うと、爪は砂のように消えて行った。だが、最後の顔は満面の笑みだった。

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