第四三話
SIDEヴィータ
ヴィータは葵達と別れ、一人、駆動炉に向かっていた。だが、駆動路に向かっている途中にガジェットやゆりかごの防衛システムに阻まれ、ヴィータは少しずつ体力を消耗していた。
ヴィ「はぁ・・・はぁ・・・ちくしょう・・・。こんなとこで、立ち止まってる暇ねーんだ・・・。みんな戦ってるんだ、あたしだけ、休んでる訳にはいかねー・・・。大丈夫、楽勝だ・・・」
ヴィータは再び、先に進もうとする。だが、次の瞬間、
ヴィ「がはっ!?・・・なっ、こ・・いつ・・・」
ヴィータは迷彩機能の付いた多脚型のガジェットに、背後から胸を貫かれた。そのガジェットをみたヴィータは明らかに痛みより怒りの方が上回った。なぜなら、そのがジェとはかつてなのはを庇った葵に怪我をさせたガジェットと同じだったのだから。
ヴィ「邪魔・・・すんじゃねぇ!!」
ヴィータは襲ってきたガジェットを破壊する。だが、通路の奥から、多くのガジェットが出て来る。
ヴィ「・・・・もうちょっとなんだ・・・、だから・・・邪魔すんなぁー!!!」
ヴィータは雄叫びを上げながら、ガジェット達に突っ込んだ。
そして、しばらく時間がたち、周りを一掃し終える。
ヴィ「はぁ・・・はぁ・・・楽勝・・まだ・・いけ・・!?」
ヴィータが立ち上がろうとした。すると、ヴィータのお守りが浮かび、
ヴィ「・・・また助けられたな。葵には本当に感謝してる。ありがとう葵///」
そういってお守りを手で優しく包み込む。愛しい者を思いながら。
ヴィ「よし。応急処置だが出血は止まった。・・・行ける!」
そういってヴィータは駆動路に向かった。
SIDE地上第一班
顎「・・・その程度か?」
ティア「はぁ・・・はぁ・・・」
ギ「き、キリがない」
ス「というかあれだけの幻術どうやって・・・」
スバルが言う幻術とは、目の前に広がる数十という数の顎だ。
顎「・・・わしの得意技は幻術。一体一体が独立して攻撃を行うこともできる。お前さんらには敗北しかない」
ウェ「どうやれば勝てるっすか?!」
ノーヴェ「知るか! とりあえず出てくるやつら全部ぶっ飛ばせばいいだろ!」
トーレ「それではきりがない」
チ「トーレの言うとおりだ。どれだけ倒しても減りはしない。減った分、いや、それ以上にあいつが増やしてくるんだ」
セッテ「あいつを倒す前にこちらの魔力が無くなります」
ディード「・・・決断早く!」
孤「(どうすれば・・・あいつ本体が見つかれば)・・・竜也!? まだなの!?」
竜『無茶言うな!? こっちは全員のサポートを急いでやっているんだ! アリシア!』
アリ『やってるよ! でもあいつの言うとおり魔力を持ってるから解析が間に合わないの!!』
ティア「(魔力・・・もしかして!)〈皆聞いて!〉」
孤「〈何か作戦思いついたの!?〉」
ス「〈ティア本当!?〉」
ティア「〈えぇ。もしかしたらこれでいける〉」
ティアナの指示のもと全員が一気に攻撃を開始した。
顎「いきなり全員による一斉攻撃か・・・無謀にもほどがあるだろ」
顎は下手な鉄砲も――という感じで攻撃しているのだろうと感じてた。
顎「無駄だ。その程度では本体は御ろかお前らの方が先に魔力切れを起こす」
ティア「そうかもね。でもね! ウェンディ! スバル!」
ス「了解! ディバイン・・・・・」
ウェ「了解っす! 行くっすよエリアル・・・・」
ティア「クロスファイアー・・・」
顎「!? あれはまずいか・・・」
ス「バスタァアアアアアア!!!」
ウェ「キャノン!!」
ティア「シュートォオオオオ!」
三つの攻撃が顎の幻術群に向かって放たれる。そして、当たった幻術から次々と破壊されていく。
ティア「竜也さん!」
竜『待って・・・・いた! 北の一番高いビルだ!』
顎「!? 何!?」
そして、顎がいると思われたビルには、
ギ「とどめです!」
ノーヴェ「覚悟しやがれ!!」
顎「くっ、ここで・・がはっ!?」
すると、顎の後ろには、
ディエチ「・・・二人だけだと思わないでください」
顎「ひ、卑怯・・・モノ・・・」
ギ「卑怯と思われてもいい。勝って未来を勝ち取るのであれ」
ノーヴェ「生き残らなきゃ意味がないんだ。葵のためにも、皆のためにもな!」
顎「・・・勝者こそが歴史を紡ぐものか・・・」
ギ「・・・勝者が正義なんて思いません。勝者が歴史を描く権利なんてありません。真実を知るのはこの世にいるみんなです」
ディエチ「でも、あなたが父と呼ぶ者の歴史なんて見たくない。私たちが見たいのは皆が笑顔でいられる未来です」
顎「・・・そうか。わしもそう思うよ。最後にその言葉を聞けて良かった。ならそれを作ってみろ。未来のために」
顎はそう言い残し砂となって消えた。
SIDEフェイト
フェ「はぁあああああああ!!」
フェイトはバルディッシュで入口を破壊すると、そこにいたのはメガネをかけた若い男性と人型ガジェットのみ。
フェ「管理局です! 大人しく投降してください!」
目「なにを言っているんですか? 私たちに敗北などあるわけ無いじゃないですか。勝つまで戦い続けるまでですよ」
フェ「明らかに劣勢です」
目「まだ私がいます。まぁ私は戦闘向きではないので彼らに頼みますがね」
目がそう言うと人型ガジェット三機が前に出て武器を構える。
フェ「(これがあの時の・・・でも!)負けるわけにはいかない!」
SIDEout
SIDEなのは
な「くっ・・・ティアナと同じ銃型。でも、それは」
翼「スナイパーライフル。本来なら遠距離から狙撃する者です。ですが、それを発射と同時に至近距離から放てばどうなるでしょうね?」
な「なっ!?」
ギリギリでかわすなのは。だが、それが直撃すればBJでも防げていたか疑問に思えるほどの威力だ。
な「どうしてこんなことを!?」
翼「父に必要とされているから。あなたもナンバー?に必要とされれば何でもするのではないのですか?」
な「確かに葵君のためなら何でもしそうなの。でもね!」
するとなのははレイジングハートを構える。
な「わたしが間違っていたら葵君が正しい道に導いてくれるように、もし葵君が間違った道を歩もうとしているのならわたしも葵君のように正しい道に戻す!」
なのはは魔力弾を無数に作り、そこから攻撃を開始する。
翼「なるほど(狙撃主の弱点は時間。無ければ確実に仕留めることができない。なら!)」
すると、翼はライフルを捨て、ハンドガンを構える。
翼「これなら!」
な「かかった!」
翼「え!?」
なのはの場合ライフル、つまりスナイパーとの戦闘経験は皆無に等しい。だが、ハンドガンなら別だ。熟練度は違えどティアナという使い手がいるのだ。対処法はいくらでも考えられる。
翼「速度が変わった?!」
な「はぁああああああ!」
翼「くっ!?(いきなり攻撃パターンを変更できるなんて?! これがエースオブエース・・・管理局の白い悪mひっ!?)」
な「今余計なこと考えたの! もう少し長引かせようと思ったけどこれで決着なの・・・」
なのはは何を察知したのか無印のフェイト最終戦の時用にバインドを翼にかけ、
な「全力全開のスターライトブレイカァアアアアアアア!!!!!!!!」
翼「・・・こんな終わり方・・・あんまりだ」
そして、あたり一帯が桃色の光に包まれた。
その光が晴れると、
翼「・・・消えていない?」
な「ねぇ。別の道を歩いてみない?」
翼「なにを不可能なことを。私たちは人を食べていかなければ生きていけない。そんなこと不可能だ」
な「分かんないよ? 諦めなければ道は開ける。諦めればそれまでだけど諦めなければ絶対に希望は手につかめるって」
翼「ナンバー?か?」
な「うん。だから。ね?」
翼「・・・・・」
翼はなのはの出された手を取り、
翼「それもまた一興か・・・・」
そして立ち上がった。彼女の新たな道が開けた瞬間だ。
SIDE out