小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第四四話


SIDEはやて・アイン


アイン「主、だいぶ余裕が出てきたようです」

は「そやな」

 するとシャリオから通信が入った。それは、嬉しくない報告だった。

シャリオ『八神部隊長! 次元航行部隊到着まで、あと45分です! ですが、ゆりかごの軌道ポイント到着まで、あと38分・・・』

は「7分差・・・・」

シャリオ『主砲照準は、ミッド首都に向けられています。7分あれば・・・・』

 シャリオは渋り顔で言う。はやても似たような表情をしている。
はやて「撃てるやろうね・・・防衛ライン現状維持! 誰か指揮交代! 今から私も突入する!」

ジェ『ほぉ。指揮官が自ら突入か。大胆だな!』

は「・・・バカにしとる?」

ジェ『ちょ、はやて君!? 私は至極真面目なんだが?!』

アイン「いや。お前に言われるとなんというか・・・・」

ジェ『私一応上官! 准将なんだが!?』

全員「えぇえええええええええ!?」

 ちなみに全員というのは戦っている武装隊、ガジェット達、【不の者】たち。というかメールで知らせているはず。

レベル1「ビ、ビックリダ・・・・」

レベル2「ヨウジョユウカイハンガ・・・・」

れべる1「シュッセスルモンダナ・・・」

ガジェット「(こくこく)」

局員「今俺初めて【不の者】と同じ考えした」

局員「お前もか? 俺も!」

ジェ『おい局員!? メールで知らせたよな!? という過去のシリアスムードぶち壊しの反応なんだ!? というか誰か落とされたぞ!? 後ガジェットや【不の者】も『びっくり!』みたいな反応するな!? 後誰だ!? 幼女誘拐犯といったやつ!』

は「せやった。上官やったな」

ジェ『何その冷たい反応!?』

ウーノ『ドクターですから仕方ないかと』

クァ『諦めるべきですね』

グリ『あぁ〜ごほん! 部隊長。指揮はこちらで行います。竜也さんと分割して行いますので遠慮なくやっちゃってください!』

は「ありがとな! グリフィス君!」

アイン「すまない」

 そういってはやてたちは投入した。


―――一方

レベル1「ヤッパリ、オマエラモオモッタノカ!?」

局員「だろ!? 幼女誘拐犯が将校だぜ!?」

ガジェット「(分からないというようなポーズ)」

レベル2「ヨモヨナノカネェ〜」

局員2「多分な」

ジェ『貴様らぁあああああああああ!?』


SIDE out


SIDEヴィータ


ヴィ「ここか」

 羽根のお守りで怪我を治癒したヴィータはようやく駆動路にたどり着いた。

ヴィ「行くぜ。アイゼン! こいつをぶっ壊して、ゆりかごを止めるんだ・・・。リミットブレイ
ク・・・やれるよな!?」

アイゼン(Kurs)

アイゼン「ツェアシュテールングスフォルム」

 グラーフアイゼンがドリル状の突起が付いたフォルムになる。ヴィータは魔法陣を展開し、グラーフアイゼンを振り上げる。そしてカートリッジを一発ロードする。すると、ジェット噴射をし、振り下ろす。

ヴィ「ツェアシュテールングス・・・・ハンマァァアアアアアアアア!!!!!」

ヴィータは駆動炉に振り下ろした瞬間、カートリッジを二発ロードする。しかし、駆動炉には傷一つ付かない。すると、警報が鳴り響き、アナウンスが流れる。

(危険な魔力反応を検知しました)

すると駆動炉の周りにキューブ状のスフィアが大量に現れる。

(防衛モードに入ります。これより駆動炉に接近するものは、無条件で攻撃されます)

それを聞いたヴィータは呟く

ヴィ「上等だよ・・・・」

そして、スフィアから一斉に攻撃される。ヴィータはそれを避け、駆動炉に向かい飛ぶ。

ヴィ「諦めるかよ!? 未来のために!!!」


SIDE out


SIDEフェイト


フェ「くっ」

目「どうしました? 最初の威勢は? もしかしてあれが本気ですか!?」

 人型ガジェットの蹴りがフェイトの腹を直撃し、膝をつくフェイト。

フェ(強い・・・下手をしたら武装隊・・・ううん。それ以上に強い)

目「当たり前ですよ。量産にはいたりませんでしたが、ランクでいえばAAA以上のランクはあるんですからね」

フェ「何でそんな者を?!」

目「まるで危険物を見るような感じですね。ですがそれを言うならあなたはどうなんですか? 強力な力を身に秘めているあなたがそれを言いますか? 下手をすればあなた方が言う質量兵器の方がよっぽど安全ですよ。それに比べて偽りの正義を掲げ、人を殺した管理局を正当化するあなた方の方が危険ですよ」

フェ「それでも・・・・」

 フェイトは再び立ち上がる。

フェ「あなた方が掲げる未来の方がよっぽど危険だ!」

目「危険? 自分たちが神にでもなったかのように傲慢であり、挙句の果てには自分たちに管理されるのが当然であるかのような考えを持つ組織に所属するモノに言われたくありませんね!?」

フェ「そうだよ。人は傲慢だよ。過ちを犯すよ。でも、でも!」

 フェイトは魔力を解放する。

フェ「それでも私は見たい未来がある! 私はつかみたい幸せがある! でもあなたが言う未来にはそれは無い! なら、私はそれをつかんでこの世界を変える!! バルディッシュ行くよ。オーバードライブ・真ソニックフォーム!」

 すると、黒騎士の甲冑からさらに薄くなった(某弓兵女Ver.外套なし)。

目「・・・防御を捨てスピードに回しましたか。さらに高密度魔力刃を形成し、破壊力をあげる・・・・少しはやるようですね」

 それを聞きながらフェイトは人型ガジェット達に突っ込む。

フェ「ハァアアアアア!」

 フェイトは一機のガジェットのランスを切り、右腕を切り落とした。

目「ほぉ。これはなかなか」

フェ「まだまだ!」

 切り落とされたガジェットはビームライフルをかまえるが、それすらもフェイトは切り落とし、胴体から真っ二つにする。

 そして、次に向かおうとしたとき、

フェ「はぁああ!」

 ガジェットも学習するのか、槍に魔力をコーティングしフェイトの刃を受け止める。

フェ「なっ!? しま・・・」

 一機がフェイトを抑えていると、もう一機がフェイトを蹴り飛ばした。その蹴りは横張りに入り、フェイトはうずくまるように寝転がる形になった。

フェ「くっ・・・・」

目「一機失いましたか。まぁいいでしょう。これで終わりにしましょう」

フェ(ごめん。皆、葵・・・もう、無理見たい)

 フェイトが諦めかけた瞬間。






???「聖炎・・・一閃!」





???「ブラッティダガー!」






 その声と共に残りの二機のガジェットが爆発した。

 その光景に目は家内驚いていた。

目「?! な、何が起こった!?」

フェ「今のは・・・アイン!? シグナム!?」

シ「すまないなテスタロッサ」

アイン「葵ではないが、駆け付けた」

 フェイトもゆっくりではあるがたちあがった。

フェ「ううん。助かった。・・・形勢逆転だね」

目「くっ!? ま、まだだ。まだ手は・・・」

フェ「これで終わりにする! ライオット・・・ザンバァアアアアアアアア!」

目「あ、あぁあああ・・・あぁああああああ!!!」

 フェイトの一撃によって、目は跡かたも無く消え去った。

フェ「ごめんね。でも助かったよ」

アイン「気にするな。後は葵の場所に急ごう」

シ「そうだな」


SIDE out


SIDEヴィータ


 自動攻撃を行うキューブ上のスフィアはもうほとんどない。だが、その攻撃を受けながらでも駆動路を壊そうとしていたヴィータの体はもうあちこちが傷だらけであった。

ヴィ「はぁ・・・はぁ・・・。諦めるもんか! あいつが、あいつらがいるんだ。この世界には!!」

 再びアイゼンを構え、駆動路に向け攻撃する。だが、非常かな。それでも駆動路は壊れなかった。それどころかアイゼンのドリルが砕け、爆発した。

ヴィ「何で、なんでだよ! ・・・こいつを 壊せないと、皆が困るんだ!」

 ヴィータはアイゼンを引きずりながら、再び駆動路に向かう。

ヴィ「はやてのことも・・・・なのはのことも・・・葵のことも! 護れねぇんだ!」

 アイゼンを再び構える。

ヴィ「こいつを・・・コイツをぶち抜かないと・・・意味ねぇんだ! だから、アイゼン!!!!」

アイゼン(Jawohl!!)

ヴィ「ウォオオオオオオオオ!!!! ぶち抜けェエエエエエエエエエエ!!!!」

 カードリッジを散発ロードし、ヴィータは再び駆動路に向け、アイゼンをぶつける。

 だが、それでもなお駆動路は壊れなかった。それどころかアイゼンは砕け、ヴィータは力尽き落ちて行く。

ヴィ「(ダメだ・・・・・・護れなかった・・・)・・・はやて・・みんな・・・ごめん」

 すると、そこに黒い羽が舞、ヴィータを包むように白い光が包み込む。そこにいたのは、

は「謝ることなんて、なんもあらへん・・・」

ヴィ「あ・・・はやて?・・・・リイン?」

リイン「はいです・・・・」

 はやてとリインは優しくヴィータにほほ笑み、

は「鉄槌の騎士ヴィータと・・・グラーフアイゼンがこんなになるまで頑張って・・・」

 はやては駆動路を見る。そこには徐々に日々が拡大して言っている駆動路の姿があった。

は「それでも壊せへんもなんて、この世のどこにも」

 ヒビはぎしぎしと音を立て、そして赤い光がそのヒビから漏れる。

は「・・・・あるわけないやんか」


 はやてが駆動路を見るにつられて、ヴィータもそれを見ると、

―ドゴォオオオオン

 轟音をたてながら、駆動路が壊れて行った。ヴィータにはもう一度、羽根の魔力によって傷か癒されていった。

は「いこ。葵君の元へ!」

ヴィ「うん!」


SIDE out


SIDEウルナ・朱音


朱「はぁ・・・はぁ・・・」

ウル「うわ・・・・このウルナさんでもキツイや」

 二人の身体のあちこちには傷があり、出血もあった。

角「何故だ・・・・何故倒れない!?」

ウル「何故って・・・そんなの決まってんじゃん!」

朱「あいつが、葵がようやく手につかんだ幸せの形なんだ! それを手放させてなるもんか!」

角「あいつは多くの者の命を奪ったんだ! 幸せなんてあってなるものか!?」

朱「そう仕向けたのはどこのどいつだ!?」

角「!?」

 その言葉に角は一瞬ひるんだ。朱音やウルナに宿る目には明らかなる怒りだ。

ウル「ウルナさんもそうだけど、葵やfamilyの皆の人生を狂わせたのはどこどいつだよ!?」

朱「間違い無く零始だ! あいつがいなければ私たちは普通に暮らし、家族と幸せを謳歌していた。壁はあったかもしれない! でもそれは超えられない壁じゃない。でも、あいつが与えたのは超えられない壁だ!!!」

ウル「あいつがくれる未来は暗い。何も無い。そんな未来なんて欲しくも無い! なら作るんだ! なら手に入れるんだ! 皆が望む未来を! 皆が希望を持てる未来を!」

 ウルナは槍を構え、

ウル「駆けろ! 紅龍!!」

 槍を角に向け投擲する。

角「我らとて負けられないんだ!? お前らにとって絶望しかない未来こそが我等にとって希望の未来だからだ!!」

朱「そんな未来でも欲するモノがいるか・・・だが、いずれそれでもわかる!」

 角は、ウルナの槍を交わしたと思ったら朱音の拳が待ちかまえていた。

角「なにが?!」

ウル「それが未来じゃないってことを!」

朱「それがだれも望んでいないってことが!」

 後ろには槍を構えたウルナが、前からは炎を拳にまとい攻撃をしてきた朱音が。角は、どちらかを裁くことができずにいたが、しだい押され始めた、

角「(くっ・・・何故こいつらこんなにも強い。何故こいつらはあきらめない!?)何故だ?!」

朱「決まってる! 私たちは!」

ウル「明日がほしいんだ! 誰もが希望を持てる明日が!!」

角「・・・・そうか(我らが望んだ明日は何も無いのか・・・・)」

―ガシュッ

 ウルナの槍は角の胸を貫通し、朱音の腕は下腹を貫通していた。

角「・・・最後にお前らの言葉を聞けて良かった。自分の過ちに気付けず歩を進めるより、過ちに気付き一からやり直した方が良い」

朱「・・・そう、よかったわ」

角「最後に一つ聞かせてくれ。私はもう一度やり直せることができるだろうか」

ウル「出来ると思うよ。葵が言ってたもん」

角「ナンバー?が?」

朱・ウル「「命ある者、幸せをつかむ権利も未来をつかむ権利もある。それに制限などは無いって」」

角「・・・・ハハッハハハ。もう少し早くあいつと出会うべきだったか。なら、私の歩むべき道が違ったかもしれんのにな。あぁ、神よ。この者達に永遠の幸せを、未来を与えたまえ」

 そう言って角は砂のように消えて行った。

朱「【不の者】って悪い奴らばかりじゃないんだよね」

ウル「・・・そうだよ、もともとは人の感情。悪いのはそれを兵器として悪用するあいつだもん」

朱「そうね。それより行きましょう」

ウル「うん!」


SIDEout


は「! なのはちゃん、フェイトちゃん、シグナム、アイン!」

ヴィ「朱音にウルナも」

な「みんな無事だった?」

フェ「なのは!? その子って!?」

な「うん。甘いって言われるかもしれない。でもやっぱり助けたいんだ」

翼「・・・翼です」

ウル「・・・良いんじゃないかな」

シ「!? お前らが一番反対すると思っていたんだが」

アイン「私もだ」

朱「なにも【不の者】が悪いわけじゃない。【不の者】ももとを辿れば人の感情から生み出された者。悪いのはそれを悪用したあいつだ」

翼「・・・父が」

フェ「それより急ごう。葵のもとへ!」

全員「うん(おう)!」

 その場にいたが全員が玉座の間へ急ぐ。

は「ここやな」

フェ「なのは!」

な「任せといて!」

 なのはがレイジングハートを構えると、

翼「ひっ!? すみませんもう言いませんスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセン
・・・・・」

 と、頭を両手で抱えながらがくがくと震えていた。

シ「高町、何をした・・・・」

な「え? あ、いや、その〜・・・実は・・・・」

 今までのことを説明すると、

フェ「・・・・やっちゃったんだ・・・・」

ヴィ「被害者増やしてんじゃねぇよ・・・」

は「よしよし。大丈夫。もう大丈夫やからな」

アイン「恐かっただろ。ほらアメだ」

シ「どこから・・・いや、それよりも今はこの扉を壊すことだろ!?」

全員「そうだった!」

翼「怖い怖い怖い怖い!!!」

 そんな、翼を一時放置し、なのはは扉を破壊する。

な「終わったの!」

翼「ほ、本当ですかぁ?」

 涙目+上目づかい。そしておびえる姿。まるで捨てられた仔犬か去猫のように見える。

全員(な、何この愛くるしい生き物!?)

 葵がまずいたら抱きついていただろう。

は「はっ! それよりも行くで!」

 そして、全員が玉座の間へ向かう。

だが、最初にその目にしたのはあまりにも衝撃的、いや、信じられない姿をした葵だった。

フェ「え・・・・」

シ「葵!?」

零「・・・・おや? お客さんかね? 後翼か」

翼「これは・・・一体・・・」

 その場にいたのは、膝をつき、体のあちこちに赤黒い色の槍を突き刺された葵の姿があった。

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