小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第四五話


葵「ここか・・・・こ、これは!!?」

 私はそのまま扉を壊そうとした。だが、思わないところに驚いた。

葵「・・・・引き戸!?」

 何故・・・ドアじゃなくて何故引き戸・・・・き、気にするな。今は気にしちゃダメだ。というかシリアスどこへ!?

―ガラガラガラ

零「やぁ、久しぶりだね。?」

葵「あぁ。最初で最後の質問だ」

零「なにかな?」

葵「あの引き戸は元からか?」

零「違うよ。私の趣味だ。そうした方が楽しいからね!」

・・・・くだんねぇ〜

葵「そうか。ではお別れだ!」

 剣を振るい斬撃を零始の座る玉座に向け放つ。

零「おいおい。いきなりとは無礼だね」

葵「そういうお前も物騒だと思うぞ。Magic(魔力) spear(封じの) seal(槍)を持ち出すとは」

零「もう一本あるんだけどね」

葵「・・・・ロンギヌスか」

 ロンギヌスの槍(エヴァのロンギヌス)。イエス・キリストのわき腹を刺した聖なる槍。【所有するものに世界を制する力を与える】という伝承付きだ。

零「それもただのロンギヌスではない。こういうことも可能でね」

 零始が腕をあげるとそこには無数の魔法陣が出現した。そしてそこから現れたのは、

葵「バカな!? ロンギヌスだと!?」

 そこに現れたのは赤黒く変色したロンギヌスだ。そしてもう一種類は魔力封じの槍。

葵「魔法使いにはあまり敵に回したく無い槍どもだ!?」

零「全くだよ。でも君相手ならここまでしないとね!」

 そして腕か振り下ろされる。


―シュバババッバババッバババッババアバッバ


 まるでその槍は雨のように私に降り注ぐ。

葵「くっ。その程度で!!」

 剣を振るいながら一歩ずつではあるが零始の元へ向かう。そして、

葵「加速!!」

 そして一気に距離を詰め、剣を振るう。

零「ほぉ。あの一瞬で間合いを詰めるか。さすがだよ!」

 愉しいね、と言いながらそれでも零始自身も槍で攻撃をしつつ応戦。そして後ろから槍が私を狙う。

葵「ちっ」

 槍を剣で裁き、避け、そしてそれでもなおかつ襲う。

葵(あいつはどっかの英雄王か!? どこからあれだけの槍を)

 まぁ、槍限定だから楽だろう。形も単純なやりだ。厄介なのはロンギヌスだが。

葵「ホーリーアロー!!!」

 数には数。だが、対応できるわけもなく降り注ぐ速度を落とすぐらいしかない。

葵「厄介だな本当に!!」

零「ハァッ!!!」

―ガキィン

葵「お前本当に研究者か? 武人になった方が良いぞ!!!」

零「そうかな? 確かに武は君という厄介な存在を抹消するために覚えたんだよ。私の目指すべき未来のためにね!」

 未来? ふざけるな!?

葵「貴様の未来は何だ!?」

零「決まっているだろ。この腐敗した世界を一からやり直すのだよ。人間を一掃し、人無き世を作るためにね」

葵「そのために子供も容赦しないというのか?!」

零「然り。この悪に染まった世界をゼロからやり直す。そして再び世界を構築するのだ!!」

葵「そのために自分の家族を犠牲にしたというのか!?」

零「何事にも犠牲は必要だ。それが家族であろう親友であろう愛するものであろうとな!」

葵「そんな未来は誰が望む!? そばに家族がいて、愛する者がいて、友がいて、人はようやく立てるのだ! 人にとってそれがどれだけ大切でかけがえのない者か! それを失って未来などあるモノか!!」

 剣と槍を交え互いの思想をぶつける。

零「だがそれが裏切らないと思うのか!? 裏切り裏切られそしてそれが憎しみへと変わる! 歴史が証明しているであろう!」

葵「歴史は歴史だ! 確かに過去に起こったことが今にも通じるものもある。だが!」

 後ろから迫ってきた槍を裁き、

葵「信じる心を持たぬ者にだれもついて来ない! そしてそれは何にも通じない! 信じる心があり信頼が生まれ、信用される! はじめから疑っては何も生まれない!」

零「だが、人はいずれ疑う。そして人は不幸に陥る。ならそれをなくせばいい!」

葵「違う! 命がある者には何であれ幸せになる権利も未来を見る権利もある! 不幸に陥ってもいずれまた幸せをつかみ未来を歩む!」

 一太刀、また一太刀と槍と剣を交える。だが、手数と性能。魔力を封じる槍とロンギヌスはさすがにきつい。絶対的勝利を約束されし剣も魔力なければきつい部分もある。

葵「ならこれで!!」

 剣に魔力と気を乗せ、

葵「オール・ブレイク・ファンタズム!!!」

 砲撃はまっすぐ零始に向かっていく。

 だが、

零「無駄だよ!」

 零始は難なく魔力封じの槍でABPを封殺する。だが、

葵「ハァアアアアアアア!!!!!」

零「!? あれは囮!? 槍よ!!!!!」

―ズシャァァァ

―ザシュ・・・ザシュザシュザシュシュシュシュ

零「ぐっ!?」

葵「ガハッ!?」

 零始をノの字のように切り伏せた。だが、その代わりに私は槍の雨を受けた。

 すると、扉が壊された。あれ引き戸だったんだけどな。まぁ、それは良い。そこから現れたのは、なのは、フェイト、はやて、シグナム、ヴィータ、アイン、ウルナに朱音。そして【不の者】。

フェ「え・・・・」

シ「葵!?」

零「・・・おや? お客さんかね? 後翼か」

翼「これは・・・一体・・・」

 私の姿を見たなのは達が驚いている。零始を見ると徐々に傷がふさがっている。

葵「細胞を改造したか・・・もしくは」

零「然り。不老不死ではないが、どうやら君の一撃には堪え切れたようだよ」

葵「なら、・・・・もう一撃入れるまで!」

 達が利権を構える。

零「やはり君は素晴らしい・・・・このような圧倒的不利な状況におかれてもまだ立つとはね!!!」

 すると、翼が私の前に来て、

翼「父よ。もうやめましょう。もはやこの戦いは無益です!」

 予想外だ。【不の者】が彼を説得するなんて・・・・。ん? まて、この子・・・どこかで・・・。
その光景を見た零始は何やら笑い出し、私が最も嫌いな言葉を紡ぎ出した。

零「ふふふ・・・ハハハッハハハ! そうか、そうか翼! 君はそちら側についたか!!」

翼「父?」

零「なら、もうお前は不要だよ」

翼「・・・・え?」

零「いやぁ〜。君は十分素晴らしい出来だったんだがね。レベル5はただの【不の者】ではない。それにしてもこちらの技術は素晴らしいよ。体の一部、血でもあればそのまま蘇らせることができるなんてね。私も感動したよ。まぁ、本物は君に殺されたんだけどね、ナンバー?」

葵「!? ということは・・・・貴様!!」

な「・・・どういうこと?」

葵「自分の娘をクローンとして蘇らせたばかりか、それを【不の者】と融合させたのか?!」

 プロジェクトFで作られたクローン魔導師と【不の者】の融合体。それが彼らだったというのか?!

零「さすがは?。知識が豊富だね。そうだよ。【不の者】とクローンとの相性は最高だったよ。下手に人間を選ばなくて良い。自由に【不の者】と融合できるように遺伝子組み換えも自由。最高の技術だよ!」

翼「え・・・あ・・じゃ、じゃあ、私は・・・」

零「そう。君は私の本当の子じゃない。無論あの子たちもね。まぁ分かっていたと思うけど記憶を消し、その辺の記憶は封印していたから実に扱い易かったよ」

な「子供のように扱ってきてこの扱い・・・・」

フェ「最低・・・」

は「あんた何したんか分かっとんか!?」

零「なにをしたか? 新たに選ばれる生命を作ったまでだよ。まぁ、失敗作だっただけどね」

翼「・・・し・・・っぱい・・・・」

シ「貴様!!」

アイン「どこまで下衆なんだ?!」

ヴィ「自分の娘じゃないのか!?」

零「娘? そんな者存在しない。?に殺させたからね。まぁ、あれも不要だっただけどな。そうそう、翼。君に最後にこう告げよう」

 止めろ・・・

零「私はね、君が」

 止めろよ・・・止めてくれ・・・止めてやってくれ!!

零「嫌いだったんだよ。この世で最もね。君も、他の子たちも」

葵「止めろォオオオオオオオオ!!!」

零「ただの失敗作名だよ君たちは!!!!!!!」

葵「零始ィイイイイイイイイイイイイ!!!!」

 体を無理やり奮い立たせ、零始を斬る。

零「ぐっ、やはり君だけだよ。?、君だけが最高の成功作「黙れ!!」ゲハァ」

 私はそいつの頭を蹴り飛ばし、

葵「貴様に明日ない! いや、あってはならない! 貴様はこの場で殺す!」

零「なぜそこまで怒るんだ?」

葵「彼女は、翼は新たな一歩を踏み出した! 未来へ進みために! 明日へ向かうために! それを侮辱し、汚した貴様に明日は不要!!」

零「でも、彼女は【不の者】だよ? 君にとっては天敵だよ? それだけじゃない。この場にいる彼女たたちはプログラム、クローン、戦闘機人。人じゃない物ばかりだよ?」

葵「関係ない! 彼女たちは懸命に今を生き、必死に明日をつかもうとしている!! なら生きる権利を与えられる!! なら明日をつかむ権利を与られる! なら未来をつかむ権利を与えられる! なら!」

 剣に魔力と気を宿し、

葵「この世に住まうすべての者に幸せになる権利与えられるはずだ!! いや、与えられなければならない!!! それを邪魔するのであれば我が身体を、我が命を盾にしでもそれを護り通すまでだぁあああああああああああああ!!!!!!!」

 そして、剣を、振り下ろす。

葵「オール・ブレイク・ファンタズムゥウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!」

零「素晴らしいよ。君は本当に素晴ら――――――」

 その光に包まれ、零始は最後まで言葉を言うことなく。消え去った。

葵「ガハッ」

 槍の影響で、魔力の循環がうまくいかず回復魔法もいまだに完全ではない。

な「葵君!」

ヴィ「すぐに脱出しようぜ!」

フェ「うん!」

シ「主はやてとアインが葵を担げ」

アイン「だが!」

シ「撤退を考えると前にテスタロッサと高町。後ろに私とヴィータを置いて安全を確保しながら退いた方が良い」

は「分かった。急ぐで! 時間がない!」

葵「・・・すまない」

 私は、アインとはやてに担がれながら、ゆりかごを退却する。


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