小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

第二一話


娘たち「いってきまーす!!!」

葵「はい。いってらっしゃい」

 そういって娘を送り出す私。あれから星那たちの編入も無事に終了し今日は娘たちが小学校に行く平日。とはっても私の方も後数分しないで局に向かわなければならない。

 そう思いながら娘たち一人一人に弁当を渡していく。

葵「お前らの昼食も用意してあるからな。ちゃんと食べろよ」

は「は〜い」

ヴィ「いってらっしゃい!」

ティア「気をつけていって来てください」

ス「いってらっしゃ〜い!」

アイン「車に気をつけてな」

フェ「ハンカチ持った? ティッシュは?」

 そういって送り出してくれる妻たちと、

チ「では行こうか葵」

セッテ「お送りします」

葵「すまんな助かる」

 迎えに来た愛人兼護衛。そして私は出かける。


SIDEはやて


は「ふぅ〜。今日はお休みやな。こんなゆっくりする時間が出来るなんて思わへんかったわ」

アイン「まぁ葵のおかげで有休もとりやすくなりましたし」

ティア「いやいやいや。この場合はやてさん達が取れなかった(・・・・・・)じゃなくて取らなかった(・・・・・・)の方が正しいと思いますよ!?」

ス「そうですね。というかこんな生活いつから続けたんですか?」

ヴィ「ん? 確かはやてたちがこんな生活し始めたのってもうかなりなるんじゃないのか?」

フェ「そうだね。私も時々現場であってたし」

は「せやな。中学から始めとったし。あの頃から葵君にはお世話になりっぱなしなやったな・・・」

ティア「え? どういう意味ですか?」

アイン「葵は昔主はやての家で共に暮らしていたんだ」

ス「えぇっ!?」

は「理由はすごかったな。というか私が拾って来たもん」

ティア「拾って来たってそんなバカな・・・」

 まぁ、言いたいことはわかるな。でも、確か晴天の日に空から雷降ってきて目の前で人に直撃するなんてそうお目にかかったもんじゃないで? しかも目の前の家がまっ黒やったしな〜。

ス「・・・・良く生きてましたね。本当に葵さんは人間―――じゃありませんでしたね。はい」

は「あぁ話がそれたな。で、葵君が私の足が治ってからも何かと目をかけてくれてな。というか皆に対してやけど」

フェ「そういえばお弁当で思い出したけど一回葵が学校に来たことあったよね」

は「あぁ〜。あの時は驚いたで」

ティア「え? どんなのですか?」

フェ「えっと確か・・・」


SIDEout


回想 中学時代


SIDEはやて


午前6:30

は「ふわぁ〜。さってとお弁当と朝食作らな。ん? なんかええにおいがする・・・え? でもこん中で料理出来るんは私と葵君。やけど葵君は今ミッドやしシャマルの料理は魔術やし、シグナムとヴィータ、アインは片付け専門・・・え? じゃあ誰? まさか泥棒!?」

 でもちょっと待とうか。料理作る泥棒ってありえ変な。つまり、

 私はおそろおそろ扉を開けると、

葵「ん? はやてか? やはり君ははやいな。ココアでも飲むか?」

 そういって葵君が差し出して来たココアを受け取る。ん、やっぱ葵君のいれるココアはおいしいな―――じゃなくて!

は「いつ帰ってきたんや!?」

葵「つい小一時間前だ。なに驚かそうと思ってな。朝食と弁当作っておいたぞ」

 ホンマか!? 葵君の料理を朝だけじゃなくてお昼も食べれるんか!?

葵「まぁ色々と気になるお年頃だから量は少なめにしている。ただこれを持っていくといい。小腹がすいた時にでも食べるといい」

 そういって出して来たのはクッキーだ。

は「ホンマに何から何までおおきに!」

 ちなみにヴェルと孤狐は別件で別の管理世界に向かっとるらしい。

 その後シグナム達が部屋か降りてくると、

シ「あ、葵!? いつ帰ってきたんだ?!」

ヴィ「おぉ〜! 葵じゃん! いつ帰ってきたんだ!?」

ザ「うむ。久しいな葵」

シャ「お久しぶりです葵さん。もう帰る前に連絡くれたらご飯作ってましたのに」

葵「そうだったのか。いや、それは悪いことをしたな」

は・ヴィ・シ・ザ(連絡しないでくれてありがとう葵!!)

 ちなみにこの時、というか現在進行形で葵はシャマルの料理が今だに平行線だと知らない。シャマルの料理は必ず料理上手の人がそばにいることが条件で人が食べれる料理が出てくるのだ。一人だと料理が劇毒に変わる。

葵「とにかく食べようか」

八神家「は〜い(うむ)」

 その後朝食を終え、私は学校へ向かった。


SIDEout


 あの後、はやてを送り出した。ヴィータは近くの公園で老人会の人たちとゲートボールだそうだ。私は新聞片手にコーヒーを飲んでいると、

シ「葵。久々に一戦どうだ?」

葵「今日は休みたいんだが?」

シ「鍛錬もまた「あぁ―――――!!!」ん? 今のはシャマルか?」

アイン「いまシャマルの悲鳴が聞こえたんだが?」

葵「アインか。うむ玄関だな。行ってみるか」

 シグナムと私、そしてすでに玄関にいたシャマルとおそらく聞きつけてきたのであろうザフィーラがいた。

葵「シャマルどうした?」

シャ「あ! 葵さん! 大変です!!」

 今一状況が確認できんな? なにがたいへんなんだ?

シ「ん? シャマル。それは弁当じゃないのか?」

シャ「そうなんです! はやてちゃんお弁当忘れて行っちゃって!!」

葵「なるほど。確かに大変だ。仕方ない」

ザ「? 葵まさかお前が届けに行くのか?」

葵「仕方あるまい。では行ってくる。シャマルはやての学校の地図をくれ」

シャ「すみません。お願いします」

 そういってシャマルから地図をもらい、バイクにまたがる。

シ「葵!? バイクなんていつ買ったんだ!?」

葵「ん? 結構前に買った」

 そういってヘルメットをかぶりでは行ってくる。


SIDEはやて


 時刻は今日一番楽しみにしとった時間! そう昼休みや!!

フェ「はやて。屋上行こ」

は「うん。わかったで♪」

な「はやてちゃん、なんか今日ご機嫌だね?」

す「うん。なんかいつも以上に嬉しそう。なんかあった?」

 そらそうやらと。何セ葵君の愛情たっぷりのお弁当が私の昼食やもん♪

は「えへへへ〜。それは屋上でのおた・・・の・・しみ・・」

 あれ? お、お弁当がない・・・何で? 何でやァアアアアアアアアアアアア!!!

ア「・・・・なんか一気にテンションがガタ落ちしたね」

アリ「これがCMで言ってた、持ち上げといて落とすという技。あの小さい店長もっていたね」

フェ「お、お姉ちゃん・・・はやてお弁当忘れたなら分けるよ?」

 フェイトちゃん。ちゃうねん。今日は・・・今日はすっごい楽しみにしとったんや。アリシアちゃんのまさにその通りや。今の私は持ち上げる限界地までおったのに一気に地面どころかブラジルまで突き抜けとるほどの落差振りやで。

アリ「まぁ、元気だしなよ」

ア「ちょ!? はやて!? 口から何か出てるわよ!?」

す「衛生兵(メディック)! 衛生兵(メディック)!!!」

な「でもなんでこんなに落ち込んで「なに落ち込んでる?」え?」

 すると私の頭に軽く何かをぶつけてきた人がいた。ん? この声って・・・まさか!!?

全員「葵(君)!?」

葵「よっ」


SIDEout


 さて、バイクをしばらく走らせるとはやてたちが通う中学校に到着。というかさすがお嬢様学校だ。警備やら何やらがすごく厳重。なにせ中学校なのに守衛さんがいるんだよ。

守衛「ん? 何か御用ですか?」

葵「あぁ。親戚がお弁当を忘れて行ったんですが」

守衛「ならお届しましょうか? あとお名前と生徒の名前を」

葵「神無月葵です。八神はやての」

守衛「えっと八神八神・・・あ。ありましたね。あと確かに親戚でいますね」

 あれ? そんなの通した覚えないんだが・・・はやてか?

葵「えっと直接届けたいんですが?」

守衛「そうですか? では八神さんのクラスはここにあるこのクラスです」

葵「ありがとうございます」

 ついでにバイクの駐輪場の場所も教えてもらいバイクを止め、教室を探していると、

女子生徒「ねぇ。あの人だれ?(ひそひそ)」

女子生徒「え? 知らないよ!? 実習の先生?(ひそひそ)」

女子生徒「でもかっこいいよ!! 誰なんだろ?(ひそひそ)」

 まぁ知らない男性が学校に入ったりしていたら噂立つわな。

 この時の葵は鈍感です。というか彼女たちの熱い視線もわかりませんby作者

葵「ここか? ん? はやてが落ち込んでるが?」

 私ははやての近くまで行き

――コツン

 かるく弁当箱をはやての頭にぶつけ、

葵「なにを落ち込んでいる?」

な「え?」

 口から何か白いものが出ているはやてを起こすため弁当でかるく小突く。

 私の姿を見た久しぶりのメンバーは数秒間固まり、

全員「葵(君)!?」

葵「よっ」

 そういって私はかるく手をあげ、はやてにお弁当を渡した。

葵「シャマルに後で礼を言えよ。気付いたのはシャマルなんだから」

は「・・・あ、ありがとう・・・でもなんで葵君がここに?」

葵「ついでだ。用事があったついで」

 まぁ、実際はこのためだけに来たんだがな。それを言うと変に気を使わせてしまう。

は「あ、葵君・・・おおきに! おおきにな!!」

葵「まぁ、そこまで感謝されると持ってきたかいがあるモノだ。ん? どうしたお前ら?」

す「どうしたじゃないよ!!」

ア「そうよ!? い、いつ戻ってきたの!?」

葵「今朝だな。というかはやて・・・いつまで抱きついてる?」

 はやては現在進行形で背中に抱きついている。猫みたいにごろごろ言いながら。

は「感謝の気持ちや!」

 人には色々な形で感謝の気持ちの表し方があるもんだな。

フェ「そうなんだ・・・あ! 葵も一緒にどう?」

葵「? 何をだ?」

アリ「これから昼食なんだ」

な「だから一緒に。ね?」

葵「ね? と言われても昼食持ってきていないし私はこれを持ってくるためだけにここに入ったんだ。長居をするとまず「そこは大丈夫!」何が?」
 
 すると、すずかとアリサがなにやら携帯片手に何か話していた。

す「今許可もらったよ」

葵「・・・・はい?」

 何を言っているんだこのお嬢様方は?

ア「もう直ぐ来ると思うわ」

 何が? だから何が??

 その直後担任かだれかはわからないが教師が来て書類に必要事項を書いてくれと頼まれたので書いたらなぜか学校に今日一日いることがOKになった。何をしたこのお嬢様方?!
 

SIDEフェイト
 

 アリサとすずかのおかげで葵が今日一日学校にいることになった。うん。今日はいつもよりやる気が出そうだ!

 その後屋上に出ていつもどうり昼食をとることになったんだけど。

な「はやてちゃん? 何でそこにいるのかな?」

す「私もそこに座りたいな〜」

 そう。あの後継続してなぜかはやては葵の御膝の上に座っていた。あ葵は気にするなといっていた。彼の顔は明らかにもう諦めの雰囲気かを醸し出していた。

フェ「まさかはやて。家の中でもそうしてもらってるの?」

は「いややなぁ〜。私とヴィータ、リインの交代制や」

な「にゃ!? ヴィータちゃんもなの!?」

アリ「・・・リインはしょうがないかな」

ア「あの子はしょうがないわよ。葵のこと父親だと思ってるから。でも」

全員「はやて(ちゃん)とヴィータ(ちゃん)はずるい(よ・なの)!!!」

 葵の方を見ると小さくため息をついて何をしているんだという顔だ。

葵「こんな男のごつごつの足のどこが良いんだ?」

は「結構ええ場所やで?」

 その後公平を期すためにじゃんけんとなり、結果。

フェ「や、やった!」

 勝利をもぎ取った!

フェ「お、お邪魔しましゅ///」

葵「どうぞ(ニコッ)」

 そういって葵のところに座る。確かに堅い。でも、なんだろ。安心する。落ちつける。なんか守られてるって言う感じがする。うん。これ病み付きになる。

 その後昼食を食べ終え、多少の談笑をし終え帰ろうとする葵を強引引きとめ授業を受けていると、

葵「先生。そこはXを代入するよりもYを代入した方が記号の変更をしなくて済む。よりリスクを少ない方法を教えるべきじゃないのか?」

 など教師になぜか教えていた。これって下手をすれば葵が教えた方が速いんじゃない?と思ってしまった。

 本当葵って何でもできるね・・・。


SIDEout


回想終了


ス「へぇ〜そんなことがあったんですか・・・・」

ティア「葵さんらしいというかなんというか」

は「でも貴重な時間割いて届けてくれるんやで。多分あのときはもう大将の座には座っとったはずやし」

フェ「それにガーディアンの方もあったから結構忙しいはずなんだよ」

アイン「それなのに皆のために時間を割くとは葵らしい」

ギ「確かにそうかもしれませんけど」

ヴィ「ん。多分葵のことだ。皆と一緒にいたかっただけなのかもな」

全員「あり得るね」

 妻たちの談笑はその日葵のことで持ちきりだった。

 古くから葵と共にいる者は昔話を離し、新しい者たちは新しい一面を話し互いに話題のつきない一日だった。

-175-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




魔法少女リリカルなのはViVid (5) (角川コミックス・エース 169-7)
新品 \588
中古 \1
(参考価格:\588)