第一一話
SIDEアインハルト
あれから私は神無月さんに抱かれたままです。どうも、体力がかなり疲弊してまともに立てる状態でも無いです。同様にヴィヴィオさんも神無月さんに抱かれたままです。
葵「そろそろ帰るか。冷えてきたし」
アインハルト「あ、では私はこっちですからそろそろ「なら泊っていくといい」え?」
葵「ヴィヴィオ達と溝を埋めるいい機会だろ。あと君と少し話をしたい(ひそひそ)」
後半は私にしか聞こえないように話しかけてきた。
葵「ノーヴェ達も今日はうちに来るだろ?」
ノーヴェ「おう!」
ス「葵さんの手料理ですか!?」
ティア「こらスバル!?」
葵「あははは。それぐらいなら良いだろ。期待しておくといい。どうだろうアインハルト?」
アインハルト「で、ではお言葉に甘えて///」
その後、私は神無月さんのお家にお邪魔することになりました。
出迎えてくれたのは、
葵「今帰った」
綺麗な金髪の女性。でも、どこか強気である。そして、その女性とは正反対で淑やかな女性。そして、狐耳の女性。
孤狐「お帰り〜」
葵「紹介しよう。私の妻の孤狐とアリサ、すずかだ。で、こっちが今日ヴィヴィオと模擬戦をして、友人になったアインハルト・ストラトス」
ア「よろしくね」
す「ヴィヴィオ達がお世話になってます」
孤狐「よろしく〜」
孤狐・・・あの神無月さんのパートナーの。あと、こちらのお二方も結婚式で・・・
アインハルト「アインハルト・ストラトスです」
その後、ヴィヴィオさん達に連れられてリビングに入れてもらいました。ここはさすがというべきでしょうか。かなりの広さだと感じましたが、家族だけで二十人をオーバーする大家族。妻、愛人、子供を合わせると一個の学級クラス並みの人数です。それを考えると十分でしょう。
神無月さんが料理を作ってる間その広いリビングでゲームやお話をして互いの親睦を深めて行きました。
葵「出来たぞ〜。運ぶの手伝ってくれ」
娘たち+アインハルト「は〜い♪(は、はい!)」
神無月さんの料理は絶品でした。味付けは薄くもなく、また濃すぎるわけでもない。絶妙な味付けでした。そこで、
アインハルト「あ、あの神無月さん!」
葵「ん?」
アインハルト「この料理はどこで覚えたんですか?」
葵「あぁ、これ? 私の出身世界でな。味にうるさい義母(雷導)と、自分好みの味付けを教えるため三日三晩寝ずに徹底的に叩きこんでくれた師(蓮鏡)がいてな・・・・・あれは辛かったな〜。薪拾いのために富士の樹海に行って、何度道ですれ違う人に恐怖したことか」
え? 何ですれ違うだけで恐怖するんですか?
葵「まぁお口に合って何よりだ」
そして食後の御茶をごちそうになり、リビングで皆さんと一緒に再びゲームで戦っていると、
葵「ストラトスさん。ちょっと良いかな?」
アインハルト「は、はい!」
葵「ちょっとお話があるんだが良いかな」
それにうなずき、私は神無月さんの後を追って書斎に入る。
アインハルト「えっとなんでしょうか神無月さん」
葵「えっと、とりあえず話をする前にその神無月さんは止めないか?」
アインハルト「え?」
葵「あはは、そうか。えっとねこの家にいる者はみんな神無月なんだよ。多分雰囲気でみんな分かってると思うけどね」
あ・・・そうでした。で、でも、
アインハルト「葵さんと呼ぶにはいささか」
葵「抵抗がある――か?」
アインハルト「・・・はい」
葵「ん〜。別に私は構わないんだがね。それに呼びづらいだろ」
アインハルト「えっと、じゃ、じゃあ・・・あ、葵さん」
葵「はい(にこっ)♪」
はうぁ〜〜〜〜///
葵「す、ストラトスさん!?」
アインハルト「(ぷしゅ〜〜〜〜)だ、だいじょうぶです・・・・」
葵「え、えっと・・・・」
とりあえず神無d・・・じゃなかった。葵さんはしばらく待ってくれました。で、
葵「さて、本題に入ります。ストラトスさん。あなたは今どういう生活をしてますか?」
アインハルト「え?」
それはどういう意味でしょう。
葵「申し訳ないと思いましたが、あなたがノーヴェを襲った際にあなたの身元調査をしました。この件については申し訳ありません」
そういって頭を下げてきた。
アインハルト「い、いえ。でも身元調査ということは」
葵「あなたの家族構成などです。少し気になったもので」
どういう意味ででしょう。
葵「もしあなたが両親、というか親がいるなら普通はあの時間は出歩かせないでしょう。ましてや連続襲撃事件がある夜分は危険だといって出歩かせないようにする。もしくは出かけるにしても一人にはさせないはずです。でも、あなたは一人だった」
そこに疑問視したということですか。
葵「そこで調べさせてもらいました」
アインハルト「・・・・・私が捨て子だと」
葵「・・・はい」
・・・・憐みでしょうか。
葵「確かに憐みの念を抱くのは普通でしょう。ですが同時に怒りもありますよ。まぁこれも普通の人間ならそうでしょね」
アインハルト「あなたも人の親だからですか?」
葵「答えはイエス。何故捨てられたのかもおおよその見当はついてます」
アインハルト「え!?」
葵「私の妻には聖王教会の者もいましてね。覇王の血筋には覇王イングヴァルトの記憶を受け継ぐ者もいるそうです。ですがそれは断片的だと聞いています」
アインハルト「・・・・その通りです。私のイングヴァルトの記憶は聖王オリヴィエとの別れの記憶です」
葵「・・・・そのことを親に話したのですか?」
アインハルト「はい。すると、あの二人のわたしを見る目が変わりました。驚きの目からだんだん異質を見る目に変わっていきました。そして扱いにくいおもちゃと変わっていきました」
葵「・・・・・」
彼はそれを黙って聞いていました。
アインハルト「私はそれを機に親からの暴力を受けるようになり、私は逃げるようにその場を捨てました。親もすっきりしたでしょうね。育てにくい子が、いえ、「もう結構です」
ですが」
葵「あなたはおもちゃでもなんでもありません。あなたはアインハルト・ストラトスという一個人です。それ以上でもそれ以下でもありません。それに何よりあなたは生きているんです。生きているのであれば幸せになる権利も、未来を見る権利もあるんですよ」
アインハルト「ですが!? 私が強ければ、私が何者にも負けない強さを持っていれば親にも捨てられず、彼の悲願も「それは君の意思かい?」・・・はい」
葵「ふむ。ならそれをやり遂げる思いもあるのかい?」
アインハルト「はい」
葵「ではその強さを持って何を、誰を守るんだい?」
アインハルト「・・・・え」
葵「君が言うイングヴァルトの強さは誰かを守る力。彼の場合はオリヴィエ。だけど君は誰を守るんだい? オリヴィエもイングヴァルトも、そしてベルカももう無い。そんな中で君はその力を持って何を守るんだい?」
私は考えた。確かにそうだ。彼の力は護るために合った。でも、今の私はその力を何のために振るおうとしたんだろ。
葵「・・・本来それを教えたり、させたりするのが親の役目なんだがね。何故それを放棄した・・・」
彼の最後の言葉には静かな怒りが見えた。
葵「アインハルト。分からなくてもいい。でもそれを捨てるな。大いに考えろ。大いに悩め。そして答えを見せてくれ。そのためなら私は君を支えよう」
アインハルト「・・・支える?」
葵「結論から言うおう。私の娘にならないか?」
むすめ? え? えぇ!?
アインハルト「む、娘って、え?!」
葵「まぁヴィヴィオ達の姉にならないかということだ」
アインハルト「で、ですが私の「あぁ、そのことならちゃんと了承はとった」は、速いですね・・・」
でも、なんでそんなに早く行ったんでしょう。普通裁判所の手続きや、色々なことで時間がかかると思ったのですが。
葵「というか二年前に親権義務放棄、並びに子供の捜索届を出していなかったらしく親権剥奪されてた」
アインハルト「そ、そうなんですか?!」
さらなる驚きだ。え!? としかもう出てこない。
葵「まぁ急に言っても困るだろ。考えてみてk「じゃ、じゃあお願いします!」はや!?」
良いじゃないですか。あなたが言ったんですよ?
葵「まぁ、即決していただいた方がこちらもやりやすいが。だが本当に良いんだな?」
アインハルト「はい!」
この日。私はアインハルト・ストラトスから、アインハルト・S・神無月になりました。