小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第二一話

 
 モニターで見たときより悪化してませんかこれ?

「とりあえず。エクス、ジャベリンセット。出力12%に設定。なのは! 発射と同時にアルフとフェイトの救出を頼む。ユーノ。あの竜巻をどうにかするのを手伝ってくれ」

「うん!」

「分かった!」

 さて、一時的処置だが竜巻とあの雷をどうにかしなければ。

≪マスターセット終了!≫

「じゃあ行きますか。ギュリーノス・ブレイカー!」

―ズガァアアアアアアアアアアアアアン

 まばゆいばかりの光の光線があたり一面を包み、竜巻は一瞬にして静まった。

「急げ! これは一時的な処置にすぎない! また竜巻が発生する前に安全な距離を保て!」
 そう言っているうちに再び竜巻発生。これはいっぺんに六個を同時に封印する必要性があるな。

「あんたのあの一撃であれだなんて。どうすれば・・・・」

「まぁ100%の出力で撃ってもいいんだが・・・」

「え!? あれで100%じゃないの!?」

 私のどうやらあの一言に驚いているらしい。

「いや、100%で撃ったらモーゼの十戒みたいに海が真っ二つに割れて津波で近隣に被害が出てもいいならやるぞ?」

「「「「・・・・・・」」」」

 沈黙が痛いな。だから最大でも地球圏内だと数十%ぐらいまでしか出せないんだよな。

「というわけでなのは、フェイト。お前らの魔法とこっちで同時に抑える。一人二つの割合なら封印できるな?」

「うん!」

「任せて」

「良い返事だ。ユーノ、アルフ。全力で二人をサポートしてやってくれ」

「言われなくてもするさ!」

「うん。支援なら任せて!」

「では始めようか!」

「「「「おー!!」」」」

 なんだろう。めちゃくちゃ今ピンチだと思う場面なのに、まるでみんなでこれから遠足に行くぞー。みたいな空気は。

≪シリアスよりよろしいのではないのか?≫

≪楽しければいいんですよ!≫

「(そういうものか?)まあいい。とりあえず封印作業に入ろう―――か!?」

 周りを見ると、なのはとフェイトがいきなり最大級魔法を放とうとしていた

「これは私いらなくないか?」

≪とりあえず一人二つなので≫

≪マスター冷却終了。いつでも充填OKです!≫

≪張り切っているな?≫

≪もちろんです!≫

「まぁいいか。照準セット。出力15%で行く。ターゲットロック」

≪出力15% 目標ロック確認。いつでもどうぞ!≫

「ギュリーノス・ブレイカー!」


SIDEフェイト


 なのはと葵の協力で一人二つまで減った。でも、相変わらず葵の砲撃はすごい。もしあれを食らったら・・・・やめよ。

「あ、葵君の砲撃すごいの・・・・。でも、きれい」

「・・・うん」

 以前詠唱で聞いたけど光りの道というのはあの砲撃を見たらうなずける。

 本当にきれいなのだ。

 本当に、誰もが光りの道を歩めるような気がする。


SIDE Out


SIDEアースラ


「あ、あれで12%だと・・・・」

 クロノがモニターを見て唖然とする。

 その気持ちもわかる。なにせ竜巻を撃つというより切り裂くような砲撃なのだ。

「もし100%ならどうなるのかしら・・・・」

 想像したくはないが知りたいと思ってしまうのが人間の感情なのだろうか。

 すると、葵がもし100%うったらということを想定して話をしていた。それを聞いて、

「う、海が割れる!?」

「え、エイミィ。先ほどの12%でどれ位の魔力ランクなの?」

「え、えっとですね・・・先ほど測ってみたみたんですが、12%でAAA+です」

「・・・彼って生きるロストロギアじゃないんですか?」

「・・・はははっ、もう、笑うしかないわね」

 その後15%でS+になりさらに驚いたアースラクルーたちであった。


SIDE Out


その後ジェルシードも封印し終え、少し談笑していた。

「あ、葵。ありがとう。また助けてくれて・・・///」

 ほほを染めながらこっちに来るフェイト。だが、

「あのな、フェイトよ。もう心配させるなといっただろ。だからこれは罰だ」

 そういって軽くでこピンをする。

「いたい・・・」

「なのはもそうだが、こちらの世界の魔法使いは無理をするのが当然なのか? なら、一から鍛え直してやろうか」

 もう溜息しか出てこないな。全くユーノもアルフも心配させて早死にさせられるぞ。

「え!? わたしもなの!?」

「当たり前だ。最初よりかはあまり無茶しなくなったが、みていてハラハラするときは何度もある。お前らを見ていると心配で胃に穴が開く。この歳で胃潰瘍とかやめてくれ」

「「ごめんなさい」」 

 そういって二人ともシュンとするが、

「まぁ、無事だからよしとしよう。あとフェイト、一個は君に」

 そういってフェイトにジュエルシードを一個渡し、もう一個は、

「もう一個はなのはに」

「え、でも・・・」

 フェイトはやはりもらうのに後ろめたさがあるんだろう。

「私が持っていても何も意味がない。ちょうど二つあるんだ。分け与えた方がいいだろう。

 そしてそれぞれ封印すると、

「さて、ではそろそろ」

 そのままアースラに戻ろうしたら、

(魔力反応!?)

 空を見上げると、紫色の雷がフェイトめがけていた。

「なに!? フェイト、なのは! 逃げろ!!」

「え・・・!?」

「うそ・・・レイジングハート!」

 フェイトは私の声を聞き驚いたが、すぐに自分の置かれている状況に気付く。

なのはもレイジングハートでガードしようとするがおそらく間に合わない。

「間にあえぇえええええ!! ディゴソードシールド全面展開!」

―ブォン

 という音共に水色の魔力シールドが展開された。間一髪でフェイトとなのはをガードする。

「ぐっ・・・・」

「葵君!?」

「葵!」

 私がこの場で逃げればこの二人に雷があたる。それは何が何でも避けなければ。そのためならこんなものなんて耐えきってみせる!

―ゴキッ ブチっ ビシャッ
 シールドを備えている甲冑部分が壊れ、そこの血管が破裂し、血が出る。白騎士の装甲を壊すか。

【不の者】が力を与えているのか?

「耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろォオオオオオオオオ!!!!」

 痛くない怖くない。こんなものなんて、こんなものなんてエェエエエエええええ!!

「はぁああああああああああ!!!!!」

 雷をはねのけ、二人の安全を確認すると二人は無事のようだ。

「エクス、損傷確認」

≪い、イエスマスター。破損部分甲冑右腕部、右胸部、ヘッド部分ですが修復は可能のレベルです。それよりもマスターの方が!≫

 焦ったようにエクスがいうが、こんなときに冷静に分析してくれるのが、ルミルだ。

≪マスターすぐに自己治癒を開始してください。マスターほどなら数分もあれば完了するはずです≫

「分かった。エクス、ルミル。ありがとう」

 そういって私服に戻り、治癒魔法を右腕に集中する。

「ごめん葵。お母さんが・・・」

「なに、なのはと私がいたのだ。敵だと思ってフェイトを護ろうとしたのじゃないのか?」

「そう、なのかな?」

「こればっかりは君の母親じゃないとわかないがな」

 違うな。これは明らかにフェイトを狙っていた。だが、プレシアの魔法ではあったものの行使したのはおそらく。

「フェイト。一つだけ頼みを聞いてくれないか」

「な、なに?」

「どんな時でも心を強くもて。たとえ自分の親が君のことを嫌いと言われようとも、どんな残酷なされても」

「え・・・どいうこと?」

「そのうちわかる。今はこれしか言えない」

「うん。わかった」

「良い子だ」

 そういって私は傷ついていない左手でフェイトの頭をなでる。

 なのはがほほを膨らましていたので、フェイトが終わるとなのはの頭も撫でた。

「ジュエルシードの捕獲はできなかったがとりあえず任務は終了のようだな」

「そうだね」

「では、戻るとしよう。またなフェイト」

「うん。またね。なのは、ユーノ、葵」

「毎回すまないね。助かったよ」

「大切なものを護るのに謝る必要はない。それに助け合うのは当然だろ?」

「う、うん。そ、そうだね///」

 犬型のアルフがなにやら顔を俯いている。

「「ライバルが増えた――!?」」

「ち、ちがうよフェイト!?」

「ライバル?」

≪≪マスター。フラグ製造機の称号を手に入れたー≫≫

 何を言っているだ神姫sは?

 その後、アースラに戻るのに数十分遅れた。

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