小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第十話


SIDEヴィータ


 いまあたしがいるのは一面が砂漠の星。

 見る限り一面が砂漠。水も何も無い。

太陽の光はそこにいる者の体力をじわじわと奪う。だからそこには人はいないはずだ。

ヴィ「クソッ・・・はやてからもらった・・・騎士服をこんなにグチャボロにしやがって・・・」

 あたしはそう言いながらグラーフアイゼンを引きづりながら砂の丘を登っていってる。

 後ろにはこの砂漠という過酷な環境に適応した魔法生物が一匹倒れていた。頭からは体液らしきものも出ていた。

ヴィ「まぁ、騎士服は直るし、そこそこページが稼げたから良いけどよ・・・・!?」

 足に力が入らねぇ。そのせいで頭から倒れた。

ヴィ「い・・・たく・・・ない!」

 そういって再び起きあがった。これも全部はやてのためなんだ!

ヴィ「痛くない。こんなのちっとも痛くない! 昔とはもう違うんだ」

 グラーフアイゼンを杖代わりに再び砂の丘を登っていく。

ヴィ「帰ったらきっと、あったかいお風呂と、はやてのご飯が待ってんだ。優しいはやてがニコニコまってんだ! そうだよ、あたしはすっげぇ幸せなんだよ! だから!」
 
 すると、地面から先ほど倒した魔物と同様の魔物が出てきた。

―グォオオオオオオオオオオオオ!!

ヴィ「こんなの全然いたくねぇ!」

 グラーフアイゼンをふりかぶった。

 しかし、後ろから、

―ゴゴゴゴ・・・ドパァアアアア

 地面が盛り上がったと思えばそこから出てきたのは目の前にいる魔物と同じモノがもう一匹いた。しかも場所が悪い。あたしのすぐ後ろだ。

ヴィ「なっ!?」

 やばい。そう思った。だけど、

???「ギュリノース・ブレイカー!!」

 すると、白い光が後ろの魔物の頭を直撃した。死んではいない。が、かなりの致命傷だろう。

???「ザコが! どけぇ!!!」

 すると、さっきの声のやつが前の魔物も盾らしきものから伸び出た魔力刃で切り倒した。

ヴィ「な、なにもんだ!? てめぇ!?」

 そこにいたのは純白の騎士甲冑に身にまとった奴。武器は盾と大砲みたいなもんを持っていやがる。

???「無事か? ヴィータ」

 え、この声って・・・まさか!?

ヴィ「な! あ、葵!?」

葵「蒐集するならさっさとしろ。後、シグナム達を呼んで先に心の世界に行くように言っておけ」

ヴィ「う、うん。わかった」

 今の葵に逆らっちゃだめだ。あいつ今めちゃくちゃ怒ってる・・・

 蒐集し終え、葵の前に行く。とりあえず、

ヴィ「ご、ごめ「それよりヴィータ、動くな」え?」

 すると、葵はあたしの背中に触れると、

葵「癒しの風よ。汝の力を持ってこの者の怪我を癒したまえ。ヒーリーングフール」

 優しくて、暖かい風があたしを包むように纏う。光も暖かい。気持い。何だろこの感覚。

 光が晴れると、キズは一つもない。それどころか魔力も回復してる。騎士甲冑だって直ってる!!

ヴィ「す、すげぇ・・・」

葵「無事でよかった」

 そう言うと葵があたしに抱きついてきた。

ヴィ「な、なななにゃ、にゃにしてんだ///!?」

 わけがわからず、あたしも何言ってんのか分からない。

葵「もう、こんな無茶をするのは止めてくれ。こんなことをしても誰も喜ばない。頼むから」

ヴィ「・・・・できねぇ。これもはやてのためなんだ」

葵「はぁ。そう言うと思った。だからお前らと一度はなしをさせてくれ」

ヴィ「分かった」

 そのあとすぐにあたしと葵は葵の心の世界に戻った。


SIDE Out


葵「で、言い訳は?」

 帰ってきてすぐに全員に強制的に正座をさせています。なぜかって? 真っ先に斬りかかってきそうな奴を封じるためです。もうプルプル震えて立とうにも足がしびれているようだ。

シャ「あ、あの、葵君。その前にこれをやめt「ダメだ。お前らは説教が終わるまでそれだ」えぇ〜〜〜・・・・」

葵「当たり前だ。実行する前に私に一言声をかけろ。お前らに何かあって真っ先に悲しむのは誰だ? 私か? 違うだろ、お前らの主はやてじゃないのか?」

全員「・・・・・」

葵「はぁ〜。怒るのもバカらしい。今後私も協力する。そうすれば負担も軽くすむし怪我の対応も二人に増える。そうすれば何とかなるだろう」

シ「だが、どんな理由があってもこれは犯罪だ。お前にこれ以上罪を重ねさせるわけには」

葵「知るか。それにそれは前世だ。それよりお前ら、魔力は人間から蒐集したらどうなるんだ?」

シャ「よほどのことがない限りは命に別条はないわ。魔力が当分使えなくなるかもしれない程度」

葵「管理局との戦闘及び蒐集は?」

ヴィ「してねぇ。シグナムが管理局に目をつけられると厄介だっていうからよ」

葵「なら、ヴィータ。お前ははやてを犯罪者として祭り上げたいのか?」

ヴィ「そんなわけねぇ!」

葵「ヴィータ、管理局の局員から収集してみろ。間違いなく躍起になってでもお前らをつかまえるだろう。そして例え蒐集が完了しはやての足が治ってもその先に待っているのは管理局に牙をむいた犯罪者として逮捕される姿のはやてだ。シグナムの判断は正しい」

ヴィ「そ、そうだったのか」

なるほど。ある意味これで人からの蒐集は回避できるか。

葵「お前らに言っとくことがある。はやてを助けたいという気持ちはわかる。ただし条件がある」

ザ「その条件を飲まなかったら?」

葵「はやてに悪影響が出るかも知れんが力ずくでも止める」

シャ「な!?」

ヴィ「おめぇ、はやてが心配じゃねぇのか!? それにあたし一人でもお前を「止めろヴォータ」シグナム?」

シ「私たちでは束になっても葵には勝てない。葵と一戦交えたが私では手も足も出なかった。それに辛いのは葵も一緒だ」

ヴィ「シグナムが負けた!?」

ザ「まことなのか!?」

シャ「えぇ。私が審判を務めてみていたけど多分シグナムの言う通りになるわ」

ヴィ「でも!」

シ「その条件とは?」

 すると、シグナムの声によってヴィータの声が遮られた。

葵「一つ、私と孤狐を蒐集に手伝わせること。二つ誰かがこの場に残りはやてと一緒にいること。これははやての護衛とはやて自身に要らない心配と不安を与えないためだ。三つなるべく人からの蒐集は抑えてくれ。以上だ」

ヴィ「あの白騎士はどうなんだよ?」

シ「白騎士?」

ヴィ「あぁ、これだ」

 そういってヴィータのデバイス、グラーフアイゼンだったか? それからヴィータを助けた映像が出る。

シャ「こ、これって・・・・」

シ「すごい・・・・」

ザ「・・・・」

 全員が全員唖然としている。

エ「私とマスターのシンクロ状態の白騎士です! 主に攻撃と防御に主体を置き中距離、遠距離を得意としています!」

 その補足に全員がさらに唖然としている。

葵「だが、今回はエクスとルミルは使わない。孤狐とのパスのみで戦う」

シャ「どうしてですか?」

葵「お前らには最初に言ったよな。管理局とは個人的な友人がいると。さすがにそこにばれたら元も子もない。それを避けるためだ。シグナム、戦った時私の魔力は変わっていたと思うが?」

シ「あぁ、孤狐の割合の方が強かった」

葵「なら、ごまかしがきくか。あと、これを渡しておく」

 そういって白と黒の羽がついたお守り。フェイトとなのはに渡した物にシグナム達の魔力色を付け加えて加工したものを渡す。

ザ「これは?」

葵「御守りみたいなものだ。ただ、肌身離さず持っていてほしい。いざとなったらそれがお前らを護る。まぁ、それ以前に全員まとめて私が護るがな」

 そおういって部屋を出た。


SIDEヴォルケンズ


ザ「ふっ。何とも頼もしいな。ん? どうしたお前ら、顔が赤いぞ?」

シ「!? な、なんでもない///!!(あ、あんなこと言われたのは初めてだ///だが、こう胸の動悸が速くなる。どうしたのだ///!?)」

シャ「え、えぇ///(か、カッコよかった/// 葵君///)」

ヴィ「そ、そうだよ、な、なんでもねぇよ///(なんなんだよ、最後のあれ///)」

ザ(・・・・葵殿よ。葵殿は我が同胞すらも恋に目覚めさせるか。背中を刺されぬよう注意してくれ)


SIDE Out

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