小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第二二話


SIDE シグナム・フェイト


―ブォン ガキィィン!

 デバイスとデバイスがぶつかり合う音がその静寂鳴り響いていた。

 お互いに至るところが傷だらけとなり、血が出ていた。

シ「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・(此処にきてなお早い。目で追えない攻撃が出てきた・・・速めに攻撃を決めないとまずいな)」

フェ「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・(強い。クロスレンジもミドルレンジも圧倒されてばかりだ。今はスピードでごまかしているだけ・・・まともに食らったらたたきつぶされる!)」

 そして再び互いにデバイスを構える。

シ(シュツルムファルケン・・・あてられるか・・・)

フェ(ソニックフォーム・・・やるしかないかな・・・)

そして、最後の一撃を食らわせるために駆けた。だが

―ズボッ

 いきなりフェイトの胸から腕が突き出して来た。

フェ「あっ・・・」

 フェイトの後ろには仮面の男がいた。

シ「テスタロッサ・・・」

フェ「あ、あああぁ!!」

 男から魔力が放たれ、フェイトが苦しみだした。

シ「貴様っ!?」

 そして男が握っていた手をほどくと、

シ「なっ!?」

 男が手にしていたのはフェイトのリンカーコアだった。

 そして男は冷たく、

仮「さぁ、奪え」


SIDE Out


葵「大体この変なのだがな」

 私が今来ているのはヴィータを助けたときと同じあの砂漠の惑星だ。

葵「孤狐。大体どのへんか分かるか?」

孤「〈ん〜、あっ・・・・え!?〉」

葵「どうした?」

孤「〈ちょっと北に行ったらいる。でも、魔力反応が三つ〉」

葵「なっ!?」

 そのままシグナムがいる場所まで一気に転移した。すると、その場には。

葵「・・・貴様か」

仮「お前か、イレギュラー」

葵「・・・〈ギル・グレアムの言った通りにしたのか? 猫娘〉」

仮「!?」

葵「・・・無視したのか。そうか・・・なら殺す」

 そういって瞬時に仮面の背後に行き、

葵「円樹!」

 仮面の腹部を狙って一気にけり飛ばす。さらに、

葵「炎火狐刃!!」

 さらに無数の刃を作り、仮面の男への追撃を行う。

―ザシュ ザシュ

仮「ぐっ・・・くそっ」

 そう言い残し、男は去った。

葵「・・・・シグナム、フェイトから蒐集をしたのか?」

シ「・・・あぁ」

 振り返りシグナムを見ると、とても辛そうな顔をしていた。互いの誇りをかけ大切たな戦いを汚されたからか。

葵「・・・フェイトには悪いが「ぐっ・・・」え?」

 変な声が聞こえたのでフェイトの方を見ると、

フェ「ごほっ・・・・」

 吐血!? 

シ「テスタロッサ!?」

 フェイトの姿を見ると、シグナムとの戦いのせいだろう。体のあちこちがぼろぼろで体力の消耗も激しい。おそらくその状態で無理やりリンカーコアを抜いたせいだろう。

葵「くっ、彼者に恵みと祝福を与えたまえ、全ての傷を、すべての痛みを癒す風!!!」

 全力でフェイトの治療に取り掛かる。だが、

フェ「くっ、かはっ」

 また吐血。くっ、

葵「強化!」

 だが、一向に良くなる傾向がない。

葵「・・・癒しの風よ」

孤「〈葵!? それをしたら姿がばれちゃうよ!?〉」

葵「構わん! 姿がばれるのとこの子の命どちらが大切なんてはかるまでもないだろ!? 汝の力を持ってこの者の怪我を癒したまえ。ヒーリーングフール!!!」


SIDEシグナム


葵「構わん! 姿がばれるのとこの子の命どちらが大切なんて図るまでもないだろ!? 汝の力を持ってこの者の怪我を癒したまえ。ヒーリーングフール!!!」

 神無月がそう叫び、全力で治癒に当たる。そして、

―ブチッ

葵「くっ」

シ「神無月!?」

 神無月の左腕の皮膚から血が垂れる。

葵「治れ、治れ、治ってくれ!!!」

 そして、どれ位経っただろう。テスタロッサの表情もだいぶ穏やかになった。

 すると、

アル「・・・・フェイトに何をした!?」

シ「・・・言い訳はしない。テスタロッサにすまないと伝えといてくれ」

アル「・・・・」

 アルフは私を睨む。だが、

葵「言い訳をしても・・・ゴホッ!?」

 手に口を当て、咳をした。すると、

―ポタ ポタ

アル「あんた!? 血が!?」

シ「孤狐!?」

孤「〈葵!? 大丈夫!?〉」

葵「・・・気にするな。アルフ、一応フェイトの治療はした。だが、一応検査をしてもらってくれ」

 そう言いながらもせきが止まらない、そして。

葵「くっ・・・がはっ」

 膝をつき、吐血した。そのまま葵は地面に倒れ、意識が無くなっていた。

シ「孤狐!? くっ、次元転送!」

 急いでシャマルに見てもらわないと! 生きてくれ、神無月!


SIDE Out

SIDE八神家


―心の世界

ヴィ「シャマル! 葵は大丈夫なのか!?」

 場所はこの世界にある医務室。シャマルが葵の治療を行っていた。

は「シャマル、どないなん!?」

 はやても葵が倒れたとヴィータから聞いて急いで駆け付けたらしい。

シャ「えぇ、問題はないんだけど・・・その、意識がいまだに回復しないの」

は・シ・ヴィ「「「!?」」」

ザ「原因は何かわかるのか?」

 ザフィーラの問いにシャマルは首を横に振った。

シャ「分からない。孤狐さん、わかるかしら?」

 シャマルの問いに皆の視線がここに集まる。

孤「原因はあの子を助けた際に全魔力を治癒魔法に変え注ぎ与えたこと。多分これで葵が保有している魔力が限界点に到達したことが原因だと思う」

は「え? どういうこと?」

孤「簡単に言うと人助けをして、無理をした。こんな感じ?」

シ「あぁ、あってるな」

 すると全員が「まぁ、葵らしいな」といていた。

シャ「孤狐さん、解決方法ってありますか?」

孤「まぁ、単純に言うと魔力を注ぎ込めばいいんだけど、時間がね」

シ「時間?」

孤「葵の魔力保有量。つまりどれ位魔力を維持できるかって言うんだけど大体ここにいる全員が魔力をすっからかんにして葵に注ぎ込んでも足りないよ」

 その言葉に全員が沈黙した。ヴォルケンズの魔力は少なくてもA以上。それをすっからかんにしても足りないとなればそりゃだれでも驚くだろう。

シ「・・・・ようやく納得した。だからあれだけ無茶しても大丈夫だったのか」

孤「で、解決方法としてはあんまりお勧めしたくないんだけど契約かな」

は「契約ってあの、ヴィータやシグナムがした?」

孤「そ。あれって一応神の前で行う神聖な儀式だからね。契約締結時は両者ともに汚れ無き状態になるわけ。だから魔力もほぼ満タンに「いただきます!」ちょ、はやてちゃん!?」

―ちゅっ

 はやては契約を結べると知ったとたんに葵の唇を奪った。

―シュゥゥゥ

は「痛っ、これが契約か?」

 はやての左手には葵やシグナム、ヴィータと同じ模様が浮かび上がった。

シ・ヴィ・シャ「「「(主)はやて(ちゃん)!?」」」

は「ごちそうさん。・・・・あれ? でも、葵君目覚めんな?」

孤「・・・・ちゃんと説明聞いてね、はやてちゃん。はやてちゃんの魔力は確かにすごいけどまだ覚醒してないの。つまり無いとほぼ同じ。魔力が有り尚且つ覚醒している人間じゃないと葵の魔力は回復しないの」

は「へ? じゃあまさかとは思うけど」

孤「・・・葵が起きたら何って説明すれば・・・まぁ、とりあえずシャマルさん。お願いね」

シャ「ふぇ///!? わ、私ですか///!?」

孤「契約は一人一回。つまり魔力を持って契約できるのはシャマルとザフィーラ。だけど、いやでしょザフィーラ?」

ザ「・・・・退席しよう」

 そういってザフィーラは外に出て行った。

シャ「え、えっと、その///・・・じゃ、行きます!」

 そういってシャマルと葵の唇が重なった。

―ちゅっ

―シュゥゥゥゥ

シャ「これが、その証ですか?」

孤「そ。それより葵は?」

 皆の視線が横になっている葵に視線を向けると、

葵「ん、ん・・・・あれ、ここは・・・」

 どうやら葵も目覚めたみたいだ。その後葵に状況やフェイトのことを説明した。むろん、はやてにばれないようにある程度嘘を入れて。

葵「なるほど。だが不思議なことがある」

孤「なに?」

葵「魔力が空ならなぜ、魔力があるように感じるんだ?」

全員「・・・・・・///」

 だが、皆の表所は赤い。そう、赤いのだ。

葵「風邪か? ならはやく寝ることを・・・!? はやて、シャマルその左手・・・・どうした・・」

 葵がはやてとシャマルの左手を見て驚愕していた。そのご、急いで白書を見てorzとなっていた。言った言葉が、

葵「私はついに子供にまで手を出したのか? いや、違う何か理由があるはず。だが思い当たる節がない。無意識にはやてとシャマルを汚した・・・もしそれが真実なら・・・ははは。よし死のう」

孤「だめぇえええ! あ、葵落ちついて! 理由はちゃんと話すから!」

 その後八神家全員で葵の自殺を食い止めたとか。

葵「なるほど。フェイトを助けた際に。で、その後私が倒れそれを助けるためにパス契約を行ったと」

孤「そ」

葵「まぁ、感謝はする。ありがとう二人とも」

シャ「い、いえ。私も得をしましたし///」

は「せやな。葵君の唇をゲットできたしな///!」

 そういって心の世界で一日過ごしたのち外に出た。まぁその子が重傷だったので緊急処置とはやてには言い訳をしていた。

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