小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第二五話


シ「バカな!? では我らがやっていたことは主はやてを苦しめていただけだと言うのか!?」

 帰ってきてジェイルに調べてもらった資料をシグナム達に見せた。

葵「あぁ、だから君たちが闇の書を完成させた後の記憶がないのもそれが原因だ」

ヴィ「葵は知っていたのか?」

葵「つい最近な。独自で調べてみた」

シャ「じゃあどうすれば・・・」

 シャマルは自分たちが原因ではやてを苦しめていたと知り泣いていた。

葵「このまま蒐集を続ける」

シ「貴様!」

孤「落ち着いてシグナム。葵にもちゃんと理由があるんだから」

 そう。作戦はある。

葵「いいか。あくまでも完成はさせるな。六六五ページになってこちらに闇の書を渡してくれればいい。バグを除去する方法はある。すでにワクチンも完成させてある」

ヴィ「なら完成さえせる必要性がないじゃないか」

葵「闇の書、いや夜天の書に直接吸収させ内部から修復させる。それで元に戻るはずだ。だから頼む」

 そういって頭を下げた。シグナム達もそれではやてが助かるのならと、蒐集をすることを再び決意した。




 さて、ある日

ク『ということなんだ』

 現在私はスイスにいる。なぜかと言うとクロノからの相談というか、報告だな。

 闇の書。もともと夜天の魔導書と言われているもので、各地にいる偉大な魔導師の技術の収集・研究する魔導書らしい。

葵「今のところ分かっているのはそれが何者かによって改変され今に至る。か」

ク『あぁ。で、完成すれば』

葵「破壊の限りを尽くし、その後は・・・か。世界変わっても下衆はいるんだな」

ク『そっちでは何か変わった様子はないのか?』

葵「主に何も。もうしばらくしたらそっちに戻る」

ク『あぁ。分かった。ではまた今度』

 いいところまで来ている。あともう少しだな。そういって私も八神家に戻った。

葵「さて、はやての見舞いにでも行くか。手ぶらでもなんだしケーキでも焼いて行くか」

 家に戻っても誰もいないのでやることもない。今日の蒐集はヴィータ、ザフィーラ、シグナムで行っている。


―海鳴大学病院

葵「シャマル?」

 その場にいたのはシャマルらしき人物。サングラスにコート。めちゃくちゃ怪しすぎるだろ。

 その後シャマルは石田先生に連れて行かれた。

 この魔力は、

葵「なのはとフェイトにアリシア。すずかが連れてきたのか」

 確かにこれはまずいな。私も退くとしよう。

 そう、思っていると、

―ガラッ


SIDEはやて


 すずかちゃんのお友達のなのはちゃん、フェイトちゃん、アリサちゃん、アリシアちゃんがお見舞いに来てくれました。

ア「それで、そいつフェイトとアリシアと入れ違いに行っちゃったのよ」

は「それは残念やったね」

フェ「うん。葵と一緒になれると思ったのに・・・」

アリ「そうだね〜。わたしもがっかりだったな」

 ・・・・葵君? え、それって・・・

は「あ、なのはちゃんその子って今どこに?」

な「え? 確かベルリンだったかな?」

す「ちがうよ。ベルン。スイスの首都だよ」

 す、スイスってメッチャ遠いな。人違いやろか? あれ、でもベルンって最近どっかで・・・?

は「その子の名字って何?」

ア「神無月」

アリ「あと眼がすっごく綺麗なんだよ! 宝石みたいに青色で!」

は「・・・葵君なんか!?」

な「え? 知ってるの!?」

は「知ってると言うか、そこにおるわけやし」

全員「え!?」

 すると、扉の近くにいたアリシアちゃんが思いっきり扉を開けると、そこには、

葵「病院では静かにしろ」

 相変わらずクールやな。

葵「客人がいると知っていればもう少し作ってきたんだがな。はやて、お土産だ。お前らは茶でいいか?」

全員「え? あ、はい」

 そういって葵君は一回部屋から出て、すぐに戻ってくるとお湯の入ったティーポットにカップを人数分持ってきてそれぞれに配る。・・・・で、

全員(はやてを除く)「葵(君)はなんでいる(の)(のよ)!?」

葵「なぜって? 家族だから」

 その後、スイスからの一時帰国と親戚である私が倒れたって聞いて駆け付けたと言っていた。あと、この間に、

葵「〈すまんはやて。話を合わせてくれ〉」

 と、お願いされた。しゃぁないな。葵君のためやし。

葵「では、私はそろそろ帰るか。ケーキは食べていいからな」

 そういって葵君は病室を出て行った。

 その後は質問攻めやったな。まぁ、親戚やからの一言で全部済んだけど。


SIDE Out


 家に戻るとシグナム達も戻っており、怪我の治癒を行った。

葵「残り数十か」

シ「これではだめなのか?」

葵「すまん。技術不足でな」

ヴィ「でも、それではやてが死なずに済むなら!」

葵「まぁ、あと魔力を少し注ぎ込めば簡単なんだ」

シ「で、どんなのなんだ?」

葵「こんなの」

 そういって取り出したのは。

全員「葵が二人いる!?」

 まぁ、簡単に言えば魔力によって作った人型を取っている魔力の塊。なぜ人型なのかというと疑似リンカーコアをこの人型に埋め込み起動させる。そしてシャマルに頼んで蒐集。

葵「というわけだ。で、この中にはそのワクチンも入れている。それを蒐集した際魔力と同時にワクチンも吸収される。時間は約一週間ぐらいでバグは除去できる。だがここで重要な問題がある」

ヴィ「問題?」

葵「魔力行使をしないこと。攻撃、防御はむろん、回復などといった治癒もな」

シ「もし使用したら?」

葵「簡単に言うとワクチンも魔力で構成されている。それが使われる可能性がある。運が良ければ時間の延長。最悪は言わなくてもわかるはずだ」

シャ「でも一週間なんて長い気が・・・」

葵「忘れたか? 心の世界があることを。あそこなら七時間で済む」

ザ「なるほど。それなら」

シ「なぜお前はそこまでしてくれるんだ?」

 シグナムは沈んだ顔でそう尋ねてくるが、何を当然なことを。

葵「私はハッピーエンドしか迎えたくない。はやてはむろん、君たち全員助けてみせる。家族なんだ。皆を助けるのは当然だろ」

 そういって行ったん時計を見ると、

葵「さて、そろそろいい時間だ。晩御飯にするか」

ヴィ「お! 晩飯はなんだ!」

葵「今日は、オムレツにしてみた。卵安かったし」

 まぁ、下ごしらえは終わっているから後は卵にくるむだけだ。


SIDEヴォルケンズ


ヴィ「なぁ、葵が言ってたのって・・・」

シ「あぁ、本当だろう。だが、あいつには助ける方法があると言っていた」

シャ「みんなまとめて助ける。ハッピーエンドしか迎える気がない。なんて言ってましたね」

ザ「あいつのことだ。不測の事態に備えてたのかも知れん。それに出会ったときにも言ってたしな」

シャ「なんて?」

ザ「命あるモノには幸せになる権利も、未来を見る権利もある。我々のようなプログラムにもな―とな」

シ「それに神無月が蒐集に参加するときにもまとめて守るとも言っていたな。家族としても大切な存在なのだ。我々は神無月にとって」


SIDE Out

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