小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第二七話


SIDEシグナム・シャマル・ヴィータ・なのは・フェイト


シ「シャマル。お前は離れて通信妨害に集中していろ」

シャ「うん」

 シグナムの言うとおり数歩下がり、バリアジャケットを纏ったシャマル。

フェ「闇の書は悪意ある改変によって壊れている・・・今の状態で完成させたらはやては・・・」

 フェイトは言葉をつ告げようとするが、

―ジャキッ

シ「我々はある意味で闇の書の一部だ。それに神無月が手を打ってくれている!」

フェ「え!?」

―ジャギィィ ズガガガッガガガ

 上空ではヴィータとなのはが戦闘を繰り広げていた、

ヴィ「だから当たり前だ! あたしたちが一番、闇の書の、夜天の書のことを一番知ってんだ!」

な「な、なんでそのことを!?」

 自分たちしか知りえない情報をもう彼女たちも知っていた。ある意味では当然なのかもしれないが、彼女たちから見たら予想外だったのだろう。

シ「神無月が、我々に救いの手を差し伸べてくれた。本来なら消え行く運命であり、主はやてを苦しめ殺すかもしれないと思った。だが!」

ヴィ「そんなあたしらにでもあいつは、葵は手を差し伸べてくれた! はやても、あたしらも助けやるって言った!」

 シグナムがレヴァンティンを構え、バリアジャケットを展開させた。

シ「あいつなら、不可能なことでも可能にしてくれるのだ。わずかでも希望を与えてくれたのだ!」

フェ「くっ」

 フェイトはバルデッシュを構えた。

(Barrier jacket Sonic form)

―バチバチ!バン!

 フェイトはバリアジャケットを纏い

(Haken)

―ガチュィン!ガチャ!

 カートリッジをロードしバルデッシュを構えた

シ「薄い装甲をさらに薄くしたか・・・」

 シグナムはフェイトのソニックフォームの特徴を瞬時に理解した

フェ「その分、早く動けます」

シ「緩い攻撃でも当たれば死ぬぞ 正気かテスタロッサ?」

フェ「貴女に勝つ為です!強い貴女に立ち向かうには、これしかないと思ったから!」

シ「・・・・ッ!」

 シグナムはいったん空を見上げ、

シ「こんな出会いをしていなければ、私とお前は一体どれほどの友になれただろうか」

フェ「まだ、間に合います!」

―ジャギ

 だがシグナムはレヴァンティンを構え

シ「止まれん!」

―ガシュゥン!

シグナムはカートリッジをロード

その足元に魔法陣が現れ、そしてレヴァンティンを再び構えた

シ「我ら守護騎士、主の笑顔の為ならば騎士の誇りさえ捨てると決めた!もう止まれんのだ!!」

 フェイトはデバイスを構えた。だが、

―シャァキィン

 青いバンドがその場にいた全員をしばる。

 そしてその場に現れたはあの仮面の男が【二人】いた。

な「!? 二人!?」

 その光景に驚いてたなのは。

 広いは自身の周りに多数のカードを広げ魔法を展開していた。

仮1「この人数だとバインドも防御もあまり持たん。早く頼む」

仮2「あぁ」

 仮面の男が右手を上げると、

―ブォン

 男の手に闇の書があった。

シャ「なぁっ!? いつの間に!?」

―キィィィン

 闇の書が輝くと同時に、ヴィータ、シグナム、シャマルのリンカーコアが現れ、

ヴィ「ぐぁ! あぁ!! ぐあぁああああ!」

シ「ぐぅっ!うぅっ!!」

シャ「あっ、あぁぁああ」

仮2「最後のページは不要となった守護者自らが差し出す。これまでの幾度もそうだったはず」

 ヴィータ達の魔力はそのまま闇の書に蒐集されていく。

 だが、

―フワッ

仮1「あれは?」

 ヴィータ達の胸元から彼女たちの魔法色をした羽根が宙に舞い上がった。そして、

(Holders perceive life crisis(保持者の生命危機を感知))

(After unpacking magic defense emergency, the emergency start(緊急防御魔法展開後、緊急治療開始))

(Protective wing expansion(翼の結界発動))

―ブゥオォオオオン

 すると、ヴィータ達が羽根に覆われ、蒐集もその結界によって強制的に阻まれた。

仮2「なにっ!?」

ザ「うぉおおおおおお!」

仮1「そうか、こいつなら!」

 そういって闇の書に蒐集をさせるが、

(Protective wing expansion(翼の結界発動))

 ザフィーラも同じように防がれた。

仮2「なぜだ!?」

???「なぜかって? こういう時のために決まってるだろ」

仮2「貴様はあの時の!?」


SIDE Out


―数時間前

 私は家にいったん戻りはやての着替えをとると、

ザ「!? これは・・・」

葵「どうした?」

ザ「シグナム達と通信が取れない」

葵「・・・まさか。急ぐぞ」

 そういって飛び立った。

 この感覚は・・・緊急防御魔法!? 

ザ「どうかしたか?」

葵「ザフィーラ、飛ばすぞ。シグナム達の命が危ない!」

ザ「なっ!? 分かった!」

葵「ちょ、先行し過ぎた!」

 その一言にザフィーラは私以上に速度を出す。

 シグナム達の反応があった病院屋上につくと、ザフィーラにも緊急防御が展開されていた。

 そしてその場にいたのは、あの仮面の男・・・いやリーゼロッテとりーザアリアか。

仮2「なぜだ!?」

葵「なぜかって? こういう時のために決まってるだろ」

仮2「貴様はあの時の!?」

 私はそのままヴィータとザフィーラを連れ屋上に降り立つ。

葵「無事か!?」

 すぐに全員のバインドを破壊する。

シ「あ、あぁ。お前からもらったお守りがこんな形で役に立つとは思わなかったが」

シャ「本当に、感謝してもしきれないですね」

ヴィ「あ、葵。ありがとう」

ザ「あぁ、感謝する」

な「あ、葵君!」

フェ「あ、ありがとう」

 無事でよかった。孤狐は後で【本体】と来るようにしてもらおう。

葵「・・・・さぁ、お前ら、心の準備はいいか」

 あぁ、切れよう。あの世への案内は私が務めるとしよう。

仮2「な、なにを・・・」

葵「黄泉路への案内、この神無月葵が務めましょう」


SIDEアリア・ロッテ


 葵からは尋常ではない怒りと殺気が出ている。

ロ「〈な、何あの殺気!?〉」

アリア「〈い、異常なほどの魔力も!?〉」

葵「地獄の業火は我が怒り、その炎に燃やせぬものは無し。塵も灰も残さない」

 すると葵の両腕には赤黒い炎がまとわっていた。

葵「さぁ、始めよう。殺し合いだ」

 すると一瞬で、その場から消える。

葵「フッ!」

―ドガッ

 その炎を纏った炎をロッテを襲う。

葵「お前は格闘戦が得意だったな。そして後ろのクソ猫は魔法。業火よ矢となって彼者を刺しし殺せ!」

 すると、無数の魔法陣が浮かび上がり、そして、

―シュバババッバッバババッバ

 無数の矢がアリアを襲う。

アリア「プ、protection!」

 障壁を張る。だが、

―パリーン ガガガガガガッガ

ア「ガッ、グッ、アアッァァァ」

 矢は障壁を破り、容赦なくアリアを襲う。

葵「終わりにしてやる。獄炎拳嘗覇(ごくえんけんしょうは)!」

 炎を最大限にまとわせ、

―ズドガッ ベギッ

アリア「かはっ」

ロ「アリア!」

葵「!?」

 葵の両手両足がバインドによって拘束された。

ロ「あんたの魔力をもらって使えなくしてやる!」

―ズブッ

 すると、フェイトにしたときと同様に腕が葵のリンカーコアを取りだし、

ロ「全部もらってやる! 死ね!!」

葵「ア、アァッァァァァッァアアアアアアアア!!!」

 魔力の蒐集が終わる。だが、異変は次に起こった。

―パァァァァァ・・・

 いきなり葵の身体が粒子となりそのまま闇の書に吸い込まれた。


SIDEOut

SIDEはやて


 屋上で葵とあの姉妹たちが戦っている最中、

は「ん・・・うるさいなぁ〜、病院は静かにせなあかんのに・・・」

 なにやら爆発音みたいなものやら雄たけびみたいなものが叫ばれていた。どっかの患者が大音量で映画でも見とんやろ。

 ・・・まぁ、ちょうど用も足したかったしトイレにでもいこ。

 そう思い、トイレに向かうと、壁になっ都かなあかん場所に大きな穴が出来とって、さらにそこらへん一帯が黒い炎が燃えとった。

は「・・・・あかん、これは冗談でもないわ。やば、逃げよ」

 そう思い、車いすのフルスピードでこの場から立ち去ろうとしたら、

―ガガガガガガッガ

は「イヤぁああああああー! ごめんなさい! もう病院食なんてまずいもん食えるか! みたいなこと思いませんから!」 

 って、私は誰に謝ってるんや! と心の中でさみしく突っ込んでみる。最後のは忘れて。石田先生に怒られとうないし。

は「あれ? そう言えばなんでこの病院私以外誰もおらへんの?」

 見渡してみるけど看護師さんはおろか患者一人おらへん。

は「・・・・もしかしてすっごいピンチ、私?」

 これ、誰がやったんやろ。

???「終わりにしてやる!」

 え? この声って葵君!? 

 そう思い声の方に向かってみるとそこには仮面をかぶった男二人と葵君が戦っとった。

 しかも手から炎を出して。あれやけどするんちゃう!?

 でも、次の瞬間、私は自分自身の目を疑った。

 仮面の男が葵君の胸を貫いた。

 そして、

―パァァァァァ・・・

 粒子のように消えて行った。

 え? 消えた? 誰が? 葵君が・・・・つまり















―死んだ















「ウソや、ウソやウソやウソやウソやウソや!」



 葵君が死んだ。




 信じられへんかった。





 でも実際に見た。そして誰も答えへん。つまり、
















―イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァアアァァァァ!!!

















葵君は二度と私の目の前に現れん。

SIDE out

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