小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第三二話


SIDEアースラ


リン「エイミィ! 今の鳴き声は!?」

エイ「わ、分かりません・・・え? せ、生命反応あり!? か、拡大します!」

 そこに映し出されたのは【不の者】レベル1に近いものだったが目が四つ、赤い瞳をしていた。

リン「か、神無月君!? これは!?」

葵『・・・・異端児。研究時における子供の肉体を再利用した化け物。魔力、肉体、力、全てにおいて人を凌駕する魔生物』

エイ「え!? あ、葵君! そっちに向け異端児が降下! およそ8分後にそちらに現れるよ!!」


SIDE Out


 異端児か。どこまでも厄介な物を作るな、あいつは!?

葵「ヴェル、ユニゾンアウト」

 すると、ヴェルをいったん切り離し、全員の方を向き、

葵「ここからは私一人でやる。お前らはアースラに戻れ」

は「そ、そやけ・・・ど・・・」

葵「はやて!?」

シャ「極度の疲労と、魔力の酷使が原因ね・・・でも、この状態ではもう戦うことはできないわ」

葵「・・・きっかけは十分だな。もう一度言う。全員アースラに戻れ」

エイ『え・・・転移? あ、葵君!? あの異端児とか言うやつが転移した!?』

―シュウン

葵「あぁ、こちらにおいでなすった」

―痛いイタイイタイイタイイタイ

シ「なっ・・・・」

ヴィ「・・・こども!?」

シャ「・・・あた・・まが・・」

フェ「なに、この声・・・」

な「直接あたまに・・・・」

葵「・・・エクス、ルミル。青騎士」

エ・ル(・・・イエスマイマスター)

 剣を構えると、

葵「・・・殺すか殺されるか。いざ――!?」

 すると異端児の背中にある翼もどきがいきなり伸びて、

―グチャッザシュ

 私の左腕を斬り飛ばした。

な「あ、葵君!?」

葵「チッ」

 飛ばした左腕を右手でキャッチし、

葵「我が腕は槍、物質変換!」

 すると、左腕だったものは赤い槍に変わり、

葵「ブリュフェング!」

 その槍を、異端児に向けて投擲する、

―グオォォン!・・・ガチュ

 槍は異端児の右肩に貫通した。

―ギャアッアァァァァアアアアァァァァアアア

葵「再構築開始」

 すると、左腕はまるで一部パーツを回復するかのように再生された。

シ「・・・お、お前は一体」

葵「・・・時を司どる神の身業。タイムストップ!」

 すると、異端児はまるでその場の身時が止まったかのようにピタッと止まった。

葵「・・・エクス、ルミル。魔力は何パーセント消費した?」

(ブリュフェングにより12%)

(さらに、再構築により42%消費。エクスルミオン、並びにABPを放つにはきついものがあります)

 再構築は体の一部をそのまま再生する代わりに魔力消費が悪いからな。

葵「さて、どうしたものか・・・・」

 一人で悩んでいると、まだ退避していなかった連中から。

シ「なぁ、神無月。契約を使うわけにはいかないのか?」

葵「・・・出来ればそれを避けたい。あの声を聞いただろ?」

ヴィ「あ、あぁ」

ク「あれはいったい何なんだ?」

葵「異端児。私の過去話はしただろ。まぁ、ヴィータ達は聞いたと言う方がいいか」

な「うん」

葵「その実験場で死んだ子供の身体を利用して兵器として再生されたのがあれだ。魂も成仏されていない状態でな。だからあの声はあの魂の叫びだ」

全員「!?」

葵「成仏させようにもほぼ不可能な状態になっている。だが、止めないと永遠の殺りくを繰り返す。なぜあれが暴走体から出てきたのは謎だがな」

 とりあえずどうするか。

シ「だが、今のお前ではどうしようもないのだろ?」

葵「悔しいがな」

ヴィ「契約を使ったらどうなんだ?」

葵「まぁ、勝てる。あいつを倒すには核、お前らで言うリンカーコアにあたる部分を破壊すればいいだけだからな」

シ「なら、やろう!」

 ・・・シグナムさん。えらい輝いていませんか目が? まぁ、こっちとしてはありがたいけど。

ヴィ「シグナムよりあたしの方が良いにきまってる! あの時の砲撃がいい証拠だ!」

シャ「私は・・・戦闘向きじゃないから・・・」

 なんだ、このカオス。今、確かすっごいピンチなのに・・・

葵「まぁ、なんだ。とりあえずお前らも戦うと言うことでいいのか?」

シ「あぁ無論だ!」

ヴィ「当たり前だ!」

葵「・・・なら、シグナム。頼めるか?」

シ「よし!」

ヴィ「な、なんでだよ!?」

 シグナムはガッツポーズをひそかにとり、ヴィータは猛抗議をしている。

葵「戦略的なことでだな。一対複数戦になったらヴィータに頼むから。ね?」

 ヴィータの視線までしゃがみ、微笑んだ。

ヴィ「うっ/// わかった」

葵「良い子だ。ありがとな」

 そういってヴィータの頭をなでる。

葵「シャマルははやてを連れて戻ってくれ」

シャ「はい!」

 では行こうか。

葵「覚悟はいいかシグナム。はっきり言ってあいつとの戦いは暴走体と戦うのとは比べ物にならないぞ?」

シ「ふっ、むしろ望むところだ!」

 そ、そう・・・。そうだった、シグナムはバトルジャンキーだったな。

葵「で、では・・・///」

 そういってシグナムに抱きつき、右手と左手を重ねる。

全員(ヴィータ・孤狐・ザフィーラ除く)「あぁあああ――――!!!」

葵「我、汝に問う。何故力を欲す」

シ「主はやてのため、皆を守るため」

葵「それにウソ偽りはないか」

シ「無い」

葵「汝の意志しかと受け止めた。契約執行。執行者神無月葵、契約者シグナム」

―ブヲォォォ

 あたり一面を炎がまとい、そこから出てきたのは葵が管理下に置いた時と同じ服装をしたシグナムが現れた。

(レヴァンティン、強化。炎翼展開)

―ゴォォォ

 シグナムの背中に炎で形成された翼、それはまるで朱雀の翼のようなものが現れた。 レヴァンティンも【絶対的勝利を約束された剣】に似ている物になった。

(シグナムは強化だ。その名の通り力、防御、魔力全てにおいて強化されている。私は援護攻撃ぐらいしかすることがないがな)

シ「だが、ないよりありがたい(なるほど。ヴィータの感じていのはこう言ったものなのか。確かに暖かい)」

フェ「え? あれ? 葵は!?」

な「葵君はどこに!?」

リ「どこにもいない!?」

(あーあー。聞こえるか?)

全員「うん(あぁ)!」

(リインフォース、ヴェル。私は簡単に言うとお前らみたいに現在シグナムと融合しているもんだ)

リ・ヴェ「「え!?」」

(詳しい説明は後だ。シグナム。戦闘態勢に入れ。もうじき動くぞ)

シ「あぁ!!」

 それを合図に、異端児は動き出した。

―グルカッカッカッ


SIDEシグナム


シ「はぁ!」

 剣を一振りした。そうたったそれだけにもかかわらず。

―ガシュ

―グギャァァァァアア

全員「は・・・・」

(・・・・これは予想外)

 一振りの風圧だけで異端児の左腕が吹っ飛んだ。

―アァァァァアアアアアア

 異端児も怒り狂ったのだろう。こちらに向け突っ込んでくるが、

(させると思うか? 一本の矢は十本の矢に、十本の矢は百本の矢に! その者を穿て! 聖炎の矢!)

 私の背中にミッドでもベルカでもないみたこともない魔法陣が浮かび、

(撃(て)ぇええええ!!!)

 すると、無数の焔の矢が異端児めがけ放たれる。

 確かにこれは戦いやすい。相手の間合いに入れさせず、こちらに有利な戦況に持っていく。

―アァアアアアアアアア!!!

シ「葵ばかりには任せてはいられない! 紫電・・・一閃!!」

 迫りくる先ほどの黒い腕みたいなものを完全にたたき斬り、

シ「ハァアアアア!!!」

 剣を振り下ろす。だが、

―ガキィン

シ「なっ!?」

 腕にふさがれ、背中から、再び腕がこちらにめがけ放たれる。

(聖なる炎の盾!)

 今度もまた知らない魔法陣によってその腕は遮られた。それだけでなく触れた部分から燃え溶かされて行く。


SIDEOut


ヴィ「あの戦い、すごすぎやしないか?」

な「う、うん・・・・」

 そう、さっきからシグナム(葵in Ver.)と異端児はなのは達から離れた場所で戦っている。

フェ「速すぎて何がどうなっているのか分からない・・・」

エイ『クロノ君! 海上で戦ってるのって葵君!?』

ク「エイミィ? いや、シグナムと葵がユニゾンしたようなものと異端児だが。どうした?」

エイ『なにそれ!? いや、さっき計測器で測ったんだけど・・・Exってでまして・・・』

ク「はぁ!?」

ヴィ「そういやぁ、あたしも葵と合体した時の魔法の威力は高町なのはのSLBの砲撃の二倍以上はあるって葵が言ってたっけ」

全員「・・・・」

ク「でたらめにもほどがあるだろ・・・・」


SIDEシグナム


 このままでは埒が明かん。

(シグナム。今から唱える呪文を教える。それで蹴りをつけろ)

シ「あぁ!」

 すると、頭の中にその呪文が流れ込んできた。

シ「Unsere ewige Flamme Lampe (我が炎は永遠の灯)


Das Licht kann ohne sie verloren (その光は消えうること無し)


Nein, es war nie mein Schwert zerbrochen (我が剣は決して折れること無し)


Da&szlig; diese m&auml;chtigen (これすなわち無敵なり)」

 すると、レヴェんティンの刀身は真っ赤に燃え始め、シグナムが最後の詠唱を口にする。

シ「Fire Kampfgeist Schwert (闘気炎斬)」

 彼女が振り下ろした炎に包まれた剣は暴走体の残骸を一気に灰と化した。その威力はすさまじく、海があった場所は完全に蒸発していた。そして海があったであろう場所は真っ赤に燃えた地面のみだった。

(エイミィ。異端児は?)

エ『・・・・え? あ、はい! 完全に・・・完全に消失・・・』

リン『消失!?』

 ・・・これはやりすぎだろ。焼けた場所に再び海水が満たされたが、そこからは明らかいに尋常ではない量の水蒸気が上がっていた。


SIDE Out


 さて、では戻るとしようか。

(契約解除)

 そういって私はシグナムとの契約を終了し、元の姿に戻る。

葵「おぉ。残骸の始末までしたか。やりすぎたか?」

シ「・・・おそらくな。ヴィータの時も思ったがこれは力の調整が難しいのか?」

葵「いや。あれぐらいでは私がいた地球ではなんともないが?」

 ABPを数百発撃っても実際ビルは壊れるが地球規模の被害は出ていない。

 だが、これでようやく終わったのか? それとも、始まりの序章戦でしかないのか?  

 この疑問はすぐに明かされることはなかった。あの真実を知るまでは。

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