小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第一八話

  あの後、隊舎にいたジェイルにメガーヌさんの治療を任せた。その時ゼストとクイント、ジェイルとの間にひと悶着あったが命の保証は絶対するといって引きさがってもらった。

 あれから数日がたちメガーヌさんがようやく目を覚ました。

ゼ「葵、なぜここに犯罪者がいる?」

葵「いや〜、実はかくかくしかじかで」

ゼ「分かるわけないだろうが!?」

クイ「へぇ〜。大変だったんですねジェイルさん」

メ「分かったの!?」

クイ「うん。えっとジェイルさんが管理局に作られた人造魔導師で―――――」

 ここからはジェイルの説明が入った。

ゼ「なるほど。だが、俺たちはどうすればいいんだ?」

葵「まずはゼストの要件を済ます。その後に考えていることを実行すればいい。それだけだ」

クイ「どうするの?」

葵「まず。メガーヌの娘を保護する」

メ「え?」

葵「お前は確か母子家庭だったな。なら今回のことを知っている確率のあるお前の娘を排除する確率がある。だからだ。そうでなくても魔力が高いなら管理局は手を出すだろう。そうなる前に―――」

 連れてきてメガーヌと保護すべきといい続けようとしたら、

ジェ「私が連れてきた!」

???「ママ〜」

葵「・・・・言う前に実行って、お前犯罪者に戻るぞ? 幼女誘拐で」

ジェ「なんかヤダ! 響き的にも内容的にもそれなら次元犯罪者の方がいい!! 幼女誘拐で広域指名なんていたいやつしかないじゃないか!?」

葵「それを実行したのはお前だろ」

クイ「私の娘たちは大丈夫なのかしら?」

葵「あそこにはゲンヤさんがいますから大丈夫でしょう。三佐でもありますからそう簡単には手を出せないでしょうし。で、次にあなた方には私の部隊に入ってもらいます」

ゼ「君の部隊?」

葵「ガーディアン。現在そこの部隊長を務めています。階級は中将。孤狐、ヴェルは准将を務めています」

ゼ「なっ!? いつの間にそんなところに・・・」

葵「ご存知ありませんか? 今管理局は不正を働いていた将校たちが次々と退職金なしの強制解雇においやられていることを」

クイ「知ってるわ。それで今現在話はクリーンに近い状態―――まさか」

メ「それを行っているのって」

ジェ「あぁ、彼だ。だから中将にまでなっている。彼は管理局の再建と改革を実行しているからな。あと、葵。ほら新しい不正の証拠」

葵「あいよ。んじゃまた行いますか。あと、ゼスト。行くぞ」

ゼ「ん? どこへだ?」

葵「レジアスの元へだ」


―地上本部


葵「よっ。レジアス」

レジ「葵か・・・何か用か?」

葵「お前に客人だ。いいぞゼスト」

レジ「バカも休み休み言え。あいつは「死んだといいたいか?」ゼ、ゼスト!?」

オ「ゼストさん生きてたんですか!?」

 彼女は確かレジアスの娘さんか。さて、ここは二人にしてやるか。

葵「ドゥーエと、そこの君、退室するぞ」

ドゥ「あら? ばれちゃった?」

葵「姿だけだったらきついが気や魔力で分かった。とりあえず退室するぞ。二人で話があるみたいだ」

ゼ「葵、君は残ってもらえないか?」

葵「・・・・分かった」

 ドゥーエはオーリスを連れて退室した。

ゼ「さて、レジアス。聞きたいことは一つだけだ。数日前俺と俺の部下たちを殺させたのはお前の指示で間違いないか?」

 そこから取り出したのは二枚の写真。一番上にはゼストさんが率いていた部隊の写真があった。

ゼ「ともに語った俺とおまえが語った正義はどこへ行った・・・」

 二枚目にはゼストさんとレジアスが写っていた。

 ゼストの声には怒りがこもっていた。共に戦ってきた戦友を失ったのだ。その怒りは計り知れないだろう。

レジ「・・・わしは、地上を、全てを守り通すために捨てた・・・友も全てを!!」

ゼ「そのために、俺の仲間を犠牲にしたのか!?」

レジ「・・・言い訳はせん。だが、わしはなども忠告した! あれがないと地上の治安は回復することは無い! それどころか衰退の一途をたどる!! そのために必要な犠牲だ!! 地上の平和を守るための!!!」

 ・・・・腐ってるな。このバカは。

葵「・・・馬鹿ばかしい」

レジ「なに!?」

葵「友を守れずしてそれよりも大きな地上を守る? お前はバカか。小さいものも護れず大きいものを守れるはずもない」

 レジアスは先ほどの怒りはどこへ行ったのかむしろ、何かを悩んでいた。

葵「それに治安がどうだと言っていたが、いまの治安はどうだ? 私の部隊と連携を行ったことで衰退どころか向上しているのがわからないか」

レジ「・・・だが!」

葵「いいかレジアス。お前が言っていることはただの言い訳だ。力がない? ならなぜお前はここまで上り詰めてこれた。友がいたから支えてくれる者がいたから。そうじゃないのか!?」

レジ「・・・・それは」

葵「組織にとって一番重要なのは人との連携だ。一人でできることなど無いに等しい。だが、多くの人と協力をすれば一人で不可能なこともできる。私は最初に言ったはずだ。地上との連携を重視すると。実際治安回復のために白と陸は連携し治安は向上している。お前はもう一度ゼストと語った夢とやらを思い出すんだな。夢を幻想を現実に結びつけるために」

 そう言って私は部屋を後にしようとしたとき、

ティ『失礼します。葵中将』

ゼ「ティ、ティーダ!?」

ティ『ゼストさん!?』

葵「どうしたティーダ」

ティ『あ、はい。先ほど孤狐さんと共に最高評議会の破壊を行おうとしたんですが』

レジ「・・・そんなことをしようとしていたのか」

ティ『すでに何者かによって破壊。形跡から【不の者】と思われる。と孤狐さんが』

葵「そうか。周辺警戒後隊舎に戻ってくれ。お疲れティーダ」

ティ『おう! んじゃ、またな!』

 そう言うとモニターが消えた。

葵「お前をしばりつける者は無くなった。あとはどうするかは自分で考えろ」

 そういって退室した。


SIDEゼスト


ゼ「俺たちの夢はどこで間違えたんだろうな」

レジ「・・・そんなものなんぞ忘れたよ」

ゼ「・・・・俺は覚えているぞ。地上に、地上の全てに真の平和を。それを守るために。まぁ、所詮幻想だったみたいだがな」

レジ「・・・そうかもな。だが、それをやって見せろとあいつは言って見せた。それにあいつは試験後わしらの元へ来た。そしてあいつは何と言ったと思う?」

ゼ「?」

レジ「治安の回復と局の内部からの改革。あいつはその二つとも今もなおこなしている。あいつの昇格が物語っているだろう。誰もが不可能だと思っていたことをやってのけている。完全とは言い難いがそれでも一歩ずつ前に進んでいることは間違いない」

ゼ「あんな若いのに何を背負ってきたのだろうな」

レジ「わしらの後を引き継ぐ若者たちにわしはわしにしかできないことをする。ゼスト、力を貸してくれないか。一度踏み外したが、お前と語った幻想を現実にするために」

ゼ「あぁ。構わない」


SIDEOut


葵「で、レジアスよ。なぜゼストをこちらに?」

 翌日ゼスト達の死亡扱いはそのまま維持しているが、その方が管理局の闇を払うためならいいだろうと言うことらしい。

レジ『お前の部隊の戦力、指導のためだ。それにお前の部隊なら安心できる』

葵「左様で。こちらもゼストさん達が加わると言うことはとてもありがたいですし。分かりました。その御話お受けしましょう」

 ゼスト、メガーヌ、クイントはその後ガーディアンの部隊に招き入れ戦力向上を図り成功。地上との連携はうまくいき治安の回復にもつながった。

 その後ガーディアンは【不の者】の討伐作戦を実行に移した。ミッドチルダ周辺に現れる【不の者】の数は多い。実際被害も出ている。だが、それでも行わなければならない。

 その苛烈な戦いぶりを見てガーディアンの知名度、そして私自身にも再び【黄泉路への案内人】という二つ名がついた。

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