小説『青春の別れ』
作者:ミカエル()

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ジッと見ていたタケは
ショウと一瞬だけ目があった

視線は合ったものの、ショウはタケを睨むと静かに自分の席へと座る

エミはそんなショウに話かけながら何か喋っている模様

やぱりこの双子は
他の奴らと仲良くなる気はないようだ

「なんだあいつ」

睨まれたことにイラつくタケに、カイトはニヤニヤしながらも

「ムシムシ。どうせアイツら、学校中の敵になるぞw」

未来の予想をし始める

「心配ね。ショウが喧嘩強いって知られると・・」

ユウは不安そうに転入生を心配するが

「ああ。でも時間の問題だな。やられた奴らがもう広めているかもしれないし」

ケイがトドメをさすかのごとく、ユウの不安を一層深めてしまった

「そうだなぁー。この学校の先輩って性格悪いらしいし」

タケは知っていたのだろうか?

ケイは入学する前から知っていた
この学校の治安はどこよりもはるかに悪すぎる

優等生が入ること自体、この学校の奴らを敵に回すようなもんだ

でもケイがいじめられないのは、喧嘩強いのもあるけれど
タケの存在もかなり大きい

タケの実家はヤクザであり、叔父は関東では有名なほど極悪人
父親は悪人になることがイヤだったのか、医者の道を選んだ

一人息子であった父親が跡取りになるのを拒否ったため
タケを跡取りにすることを約束したそうだ

タケ本人も了承済みで、勉強嫌いなタケにとってはヤクザになることなど
何の問題もなかった

中学校の頃からは本格的にヤクザの仲間入りをし、今や跡取りになるための勉強中
叔父は力強く成長していくタケを本気で可愛がりながらも厳しく教育していった

そして、タケを守るためにも必死だった
タケの噂は瞬く間に広がり、ヤクザの間では知らない人などいないほど。

タケを傷つけるということは、死をも意味する

だから、誰も喧嘩を吹っかけようともしなければ、その仲間達にも近づこうとはしなかった

しかしながらも、タケへの女性ファンは多い
だから、ユウだけはどうしても狙われやすいのだが・・


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