小説『青春の別れ』
作者:ミカエル()

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転入生が入ってきて約一週間。

今日は珍しく、タケが教室にいち早く来ていた
そして隣にはカイトの姿も見られる

「タケ坊も好きだなぁー」

「まぁーな。これも勉強のうちとして」

「そろそろじゃない?w」

「ああ。行くか」

転入生が来る時間帯は決まっていて皆よりも登校が早い
つか早すぎる

そのため、今日の朝はめちゃくちゃ低血圧で気分が悪かったタケ

なぜ二人が今日、早く来たのかというと・・・

「あーやぱりいたぜw」

裏庭に着いたカイトとタケの目の前には
大勢の男に囲まれている双子がそこにいた

ショウだけではなく、エミも一緒だ

相変わらず、無表情で何も動じていない様子だ

「やっぱりアイツら、ただもんじゃねぇ」

タケは見てわかるようだ

あんなにもたくさんの人に囲まれ、不利な状況にも関わらず
双子は焦りもせず、取り乱しもせず、ただジッと立っている様子だった

「怪しいなーあの二人。どっかの族にでも入ってんじゃない?」

カイトの分析は案外よく当たる
確かにあの二人は、喧嘩も強いらしい・・

そうあの女も結構強いようなのだ

あくまで噂でしか聞いたことはないが

それを実証するために今こうして見物しているってこと。

「そろそろかな」

タケの言葉が合図かのように
一斉に野郎どもは双子を襲いにかかった

こんな大勢では、いくら強いとはいえやられてしまうだろう
特に女の方は一番ひどい扱いをされてしまうに違いない

「女の方、大丈夫なのかな」

珍しく、カイトが不安そうな言葉を発する

「珍しいな。お前が心配するとは」

「いや、思い出してしまうだけ・・」

「・・ああ」

二人の表情は一気に暗くなった

何かを思い出したくないかのように、頭を横に振ると、
目の前の騒動に視線を移した


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・


一瞬の出来事だった


「嘘だろ」

二人だけであんな数を・・?

「やっぱただもんじゃねぇな」

カイトとタケは鋭い視線を向けながらも
双子の喧嘩の強さに驚愕していた

「・・・まてよ、あいつらもしかして」

タケは考えるように顎に手をもっていくと

「まさか・・」

「あ、タケ坊も気づいた?」

カイトも何かに気がづいたようだ

「ああ、まさかとは思ったけどな」

「つかなんでこの学校に転入したのか疑問だなw」

「きっと、仕返しか何かだろうな」

「あー、例のあの事件?この学校を潰す気か?」

カイトの言葉にタケの顔つきが強張った

「・・は?潰す?」

まてまて
この学校潰されちゃ、俺の卒業証明書はどうなる?
他の学校に転入ってことになると・・
ワンランクアップのテストを受けることになる

ってことは!!
卒業する道がさらに険しくなっていくだけじゃねぇか!

俺様としたことが!
あの双子ら野放ししすぎたようだな!

「ちょwタケ坊!なーに考えこんでんだよw」

ま、きっと馬鹿な考えだろうけど。



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