小説『青春の別れ』
作者:ミカエル()

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放課後になると6人は決まって帰るのが誰よりも早い

てか放課後になる前にはすでに帰っている

でも今日は、ショウとタケは喧嘩の件で担任から呼び出しをくらい
ケイとユウは二人でどこかへ消えていた

教室に残っているのは、カイトとエミの二人

気まずい空気が流れる中、エミが静かに口を開いた

「タケのことが好きなんだな」

「・・・関係ないだろ」

ふてくされていうカイトにエミは笑った

「なんだよ」

「いや、意外にカイトは可愛いんだなって。女みたいだお前」

「おめぇーに言われたくねーよ。つか学校辞めるんじゃなかったのかよ」

「そのつもりだったな。でも、今はやめたくない」

エミはカイトの方に視線を向けると真剣な表情に変わった

「本当の仲間を見つけた気がしてな、離れるのが寂しいんだ。私、タケが好きだ」

最後の発した言葉を聞いたカイトの顔つきが変わり、エミの肩を掴む

「てめぇ、俺に喧嘩売ってんのか?知ってるんだろ?俺の気持ち」

「ああ、知ってて言ったつもりだけど?ほんとにお前も好きなんだな」

エミはフッと笑うとカイトの手を優しく振りほどくと
そっと手を握ってきた

カイトは振りほどこうとしたが

「辛いな、男に産まれて」

エミの言葉にカイトは何の抵抗もせずただジッと立ちすくんだ
何かを考えているかのように地面を睨むカイトの表情はとても悲しみがあふれている

「どうだ?一人でも理解者がいればお前の気持ちも少しは軽いだろ?」

そう言って笑うエミ

初めて感じる胸の高鳴りにカイトは何かを言おうと口を開いたが
それを溢れ出る涙が制した

思わず泣いてしまったことに恥ずかしさが募ったが、エミはそんなカイトを見ても
優しく微笑み、そっと肩を貸してくれた

エミに抱かれる形で、泣き崩れるカイトの背中を優しく撫でた

何十年も気持ちを隠し続け、自分を苦しめてきたカイト
感情を押し殺すのはそうそう簡単なものではない


そんな出来事があったことをしらない他のメンバーは
カイトの態度の変化に驚きを隠さなかった

あんなに仲間が増えたことに嫌がっていたカイトが

タケの隣ではなく、今やエミの隣に依存するようになっていたからだ

まるで、傷を癒すかのように気持ちよさそうにくっつくカイトに
タケとケイ、ユウの3人は、親になった気分でカイトを優しく見つめていた


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