聞き終えたエミの瞳から、一筋の涙が流れた
タケの苦しみが伝わったかのように、とめどなく涙があふれ出していた
「エミ・・」
カイトが涙を拭いてあげるとエミは顔を上げた
「なんとなく、タケはユウが好きなんじゃないかって思ってた」
「・・ん」
「でも、タケには他の女性がいたのね。それも、かけがえのない存在・・」
サキという女の子を知ったエミの心ははち切れそうなほど締め付けられていた
私がタケを好きになるのは勝手だけど
入る隙間もない
ずっと好きでいても、この気持ちは無駄な感情・・・
選択は決まっている
タケをあきらめるしかないことぐらい、知っている...
「ねぇカイトは、サキの事どう思った?」
「俺がライバル視しても勝てない存在だったからな・・なんともいえねぇな」
「そっか。でも、私でさえも勝てないわ。それでも、タケへの好きな感情は大事にしたいって思える」
エミの強い発言にカイトの心はまたも苦しみが襲う
笑って強がるエミに、思わずカイトは抱き寄せて、強く抱きしめていた
「カイト?」
「・・ごめん、少しの間だけ・・・」
それだけ言うと、エミにばれないよう、静かにカイトは泣いていた