小説『青春の別れ』
作者:ミカエル()

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放課後になると、エミとカイトは決まって、二人で教室に残っていた

今日は、タケと3人で帰る予定だ
タケは担任に呼ばれ、なぜか将来のことを聞かれているらしい

担任なりにタケの事を心配しているのだろうか・・

「エミりーん♪」

後ろからエミを抱きしめるカイトにエミは嫌がるそぶりもなく

「あつい」

キッ睨むエミの瞳はとても冷たい

「エミりー俺、」

「それ以上言ったら殴るわよ」

「なんで?」

カイトの気持ちは知っていた
毎日のようにエミに対して好きだと言っているカイトの表情は真剣で
冗談で言っているようには思えない

しかも気もちを伝えるときだけ、声も顔も真剣そのもの

だから余計、エミの心は苦しくなるだけであった

「追及しないでよ・・わかってるくせに」

「そうだよな」

力なく笑うカイトに申し訳ない気持ちでいっぱいになった

もうちょっと優しくしたい気持ちはあるけれど
そしたらカイトを苦しめんじゃないか、と毎日が心との葛藤であった

「おいおいお前らイチャこいてんじゃねぇよ」

いつも間にか教室にきていたタケが二人を見てニヤつく

タケにとってはカイトがエミと仲よくしている姿がとてもうれしいのだろう

「なんだよーw将来の夫婦に対して文句か!w」

「あんたね・・そうゆうのは簡単にいうもんじゃないの!」

憤慨するエミの肩に手を置き、「本気だぞ」と笑いながらカイトは言う

「ほーカイトとエミがねーw」

似合わねぇ、と言うタケにカイトはまたもやうるさく付きまとう

エミはそんな二人の姿を見ながら笑っていた
滅多に笑わないエミを見たカイトは、感動しているのか、目がキラキラと光っている

「なによ」

いつもの冷たいエミに戻った途端、目のキラキラは消えてなくなった

「あーエミちんの笑う顔がみたーーい。ユウだけに見せてずるいぞー」

不満を口にするたび、エミは余計に怒りはじめる

やれやれ、といった感じのタケは一人先に歩き出した
後ろからは、カイトのなだめる声が響いていて、エミの怒り口調が廊下に大きくこだましている

そんな二人の会話が面白くて
タケはフッと思わず笑ってしまった


笑いが絶えない毎日に、タケは寂しさが募っていた
タケでなく、ユウやケイ、ショウとエミやカイトも同じ気持ちであった

別れはもう近いかもしれない

そう思わずにはいられなかった

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