小説『青春の別れ』
作者:ミカエル()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>



いつまでもずっと一緒にいられたら

人生どんだけ最高か

皆と毎日笑いあえる

皆と毎日一緒にいられる

そんな人生をもし選べるとしたら

どれだけの幸せか計り知れない

でも、そんな人生なんて結局、別れが待っていることはわかっている

どんなに一緒にいても
どんなに離れたくないと思っていても

俺たちは別れなければいけない道へ進んでいる


「なぁタケ、俺さ」

不意に隣にいたカイトが口を開いた

もう俺たちの卒業は目前
あれから数か月、皆の夢は膨らんでいた

ユウとケイは海外の大学へ

ショウは就職

タケは組の頭としてもう決まっている

エミはショウと一緒で就職が決まっていた

「俺の夢って知ってるよな?」

「あー、なんとなく。お前、親父の会社継ぐ気はないんだ?」

カイトの親はITの社長
もちろんカイトは親の会社を継ぐ気はない

「全然ないよ。俺は会社に縛られるのは嫌いなんだよ」

「お前らしいな(笑)」

「俺さ、もう決めた。医者になるわ」

そう、カイトの夢は、医者になること

医者になって、貧しい国の人たちを助けることを夢見ていたのだ

「お前すげーな。テレビみただけでそんな影響されるのか」

「直感できたわけよw俺の使命みたいな感じがしてさ」

「ま。お前頭いいし、どうせ大学もう合格してんだろ?」

タケは知っていた

カイトが内緒で医大に受験をしていたこと

「それで、エミとはどうすんの?」

「ん?大学卒業したら結婚するよん♪」

「まじかよ」

タケは笑いながら、似合わねぇと口をこぼす

そんな二人が窓辺で話しているのをケイとユウはジッと見つめていた

見つめながら、なぜか心が寂しくなる

皆と離れていくことがこんなにも寂しいとは思いもしなかった


-79-
Copyright ©ミカエル All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える