小説『主人公総受け物語〜アニポケ編〜』
作者:天の河()

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第21話『ひたすら特訓とやっぱり来訪者』

前書き

より実力をつけるためには、日々の特訓は欠かせない…





 サトシ達はハナダシティに到着した後、カスミの姉の一人・サクラと出会う。そのサクラの案内でハナダジム前へと移動する。その後、サクラは用事のためにサトシ達から離れて、サトシ達もこの後どうするかについて話し合う。


サトシ「それじゃあ、俺、アイリス、ベルは岬の方でバトルの特訓。」


カスミ「それで、ハルカとヒカリはジムで水中ショーのリハーサルの見学ね。」


 話し合いの結果、サトシ、アイリス、ベルの3人はハナダ岬に移動してバトルの特訓、ハルカ、ヒカリの2人はジムの方でカスミの水中ショーのリハーサルの様子を見学することとなった。


タケシ「俺は、サトシ達と一緒に岬の方に行くよ。」


デント「僕も、サトシ達と岬の方へ行くよ。」


 タケシとデントも、サトシ達とともにハナダ岬へ行くこととなった。


サトシ「それじゃあ、また後でな。」


アイリス「カスミ、リハーサル頑張ってね。」


カスミ「ありがとう。そっちも特訓、がんばってね。」


 ここで、サトシ達は一旦、それぞれに別れて行動することとなった。


ヒカリ「そういえば、カスミの姉妹ってサクラさんだけなの?」


カスミ「いや、あとアヤメ姉さんとボタン姉さんの2人いるわ。恐らく2人とも、ジムの中にいるんじゃないかしら?」


ヒカリ「へぇ〜、カスミって四人姉妹だったんだね。あたし、一人っ子だからそこのところはよく分からないけど、楽しそうね。」


カスミ「姉さん達と一緒に過ごすときは楽しいけれど、兄弟姉妹持ちっていうのは何かと苦労するわよ。特にウチの姉さん達はクセのある人たちだからね(汗)」


ハルカ「あぁ、その気持ちなんとなく分かる気がするかも…。」


 家族に兄弟姉妹がいると苦労が絶えないというカスミの持論に、同じ兄弟姉妹持ちのハルカが同情する。ただ、ハルカの場合は「それはお姉ちゃんがしっかりしないからでしょ!」とハルカの弟・マサトから反論を受けそうではあるが…


カスミ「でも、3人ともあたしにとっては大事な家族なのは間違いないわ。今までに何度も姉さん達には助けられているしね。それはともかく、中に入って会ってみれば分かるわよ。」


 カスミの姉について聞いた後、カスミに促されるようにハルカとヒカリはジムの中へと入っていく。ハナダジムは、ジム戦及び水中ショーが開催される部屋までの通路は水族館になっており、バトルやショー前に目で楽しめる構造になっている。


ハルカ「カスミって、本当に水ポケモンが好きなんだね。」


ヒカリ「流石、水ポケモンマスターを目指すだけあって、抜かりはないって感じね。」


 通路の景色を眺めている最中、ハルカとヒカリは改めてカスミの水ポケモンに対する情熱を感じ取る。


カスミ「実はあたしも、ジム戦やショーの前にはこの景色で癒されているのよ。その時はあたしってやっぱり水ポケモンが好きなんだなぁって改めて自覚させられるわ。」


 この通路式水族館にはカスミ自身も随分とお世話になっており、ある意味カスミにとってのパワースポットとなっている。そんな通路式水族館をしばらく歩くと、ジム戦やショーが行われる大きなプールのある部屋へと到着した。


アヤメ「あら? カスミ、帰ってきたのね。」


ボタン「もう少し、ゆっくりしてきても良かったのよ。」


カスミ「ただいま、アヤメ姉さん、ボタン姉さん。さっき同じことをサクラ姉さんにも言われたわ。」


 そこには、カスミのもう2人の姉であるアヤメとボタンがいた。2人はカスミ達の姿に気づくと、すぐに声を掛けてきた。


アヤメ「ハルカちゃんは前あったことがあるから分かるけど、そちらのコもカスミのお友達?」


カスミ「えぇ、ヒカリって言うの。シンオウから来たポケモンコーディネーターよ。」


ヒカリ「はじめまして。」


ボタン「ふふ、こちらこそよろしくね。かなり広い場所だけど、ゆっくりしていってね。」


ヒカリ「はい。」


 ヒカリは特に緊張する素振りもなく、アヤメやボタンとも上手く打ち解けあったようだ。


アヤメ「あっ、そうそう。ハルカちゃんやヒカリちゃんの他にも、カスミ達と同じ年くらいのコが来ていたんだったわ。」


カスミ「? あたし達と同じくらいの年のコ?」


ボタン「さっきポケモンセンターでポケモンを入れ替えてくるって言って出て行ったけど、もうすぐ帰って来るんじゃないかしら?」


 ボタンの言った通り、カスミ達がいる部屋にある裏の出入り口から、ある人物が入ってきた。その人物とは、ハルカとヒカリがよく知っている人物であった。


ハルカ・ヒカリ「「ノ、ノゾミ!?」」


ノゾミ「あれ? ハルカにヒカリ、久しぶりだね。」


 久しぶりの再会となる相手ゆえに、内心驚いているハルカ、ヒカリ、ノゾミ。ハルカとヒカリは、ノゾミを見るとすぐに近寄り、さらに会話を進める。


ヒカリ「ホント、久しぶりね。ノゾミももしかして、水中ショーを見に?」


ノゾミ「そうだよ。カントーへはスズナ先輩と世界大会の特訓とここでの水中ショー目的で来たんだ。先輩はここに来たと同時にどこかへ行っちゃったけど、あたしはこの街を散策中にボタンさんに出会ってここまでついてきたんだよ。」


ヒカリ「スズナさんも一緒なのね。それなら、岬でサトシ達とバッタリ会うかもしれないわ。」


ノゾミ「へぇ〜、ヒカリとハルカはサトシ達と一緒に旅をしているんだ。」


ハルカ「わたし達だけじゃなく、旅仲間はもっといるんだけどね。後で紹介するわ。」


ノゾミ「シンオウの時より随分と楽しい旅になってるね。まぁ、こっちもこっちで先輩との二人旅は楽しいけどね。」


 幾日振りかの懐かしい顔合わせに心弾ませ、楽しく会話を進めるハルカ、ヒカリ、ノゾミ。そこへ、今度はカスミが会話の輪の中に入る。


カスミ「ひょっとしてあなたは、トップ・コーディネーターのノゾミ?」


ノゾミ「そうだよ。ハナダジムのジムリーダー・カスミ。」


カスミ「やっぱり! あなたのことはミクリカップの中継で見ていたわ。ハルカやヒカリに負けず劣らずの素晴らしいパフォーマンスで思わず見とれちゃったわ。」


ノゾミ「ミクリカップかぁ…。懐かしいね。」


ヒカリ「えぇ。そういえば、カスミはミクリカップでのあたし達のパフォーマンスを何回も見ていたんだっけ?」


ハルカ「なんでも、ミクリカップに出場したコーディネーター達のパフォーマンスを、水中ショーに活かそうとしていたんだよね?」


カスミ「えぇ。ミクリカップは録画して何度も確認するくらい、水中ショーの参考になったわ。あの大会は水ポケモンマスターを目指すあたしにとって、かなり貴重な参考資料よ。」


ノゾミ「へぇ〜、あたしはこの水中ショーをコンテストの参考にしようとしていたのに、まさか逆にあたし達のパフォーマンスが参考になるとは思わなかったよ。」


ヒカリ「あたしもカスミからこのこと聞いたときはびっくりしたわ。」


カスミ「まぁ、水ポケモン使いのミクリ様主催の大会っていうのもあるんだけどね。」


ハルカ「ふふふ、カスミらしい理由かも。」


 カスミは、ハルカ、ヒカリ、ノゾミが出場したミクリカップをテレビ越しで観戦していたようだ。しかも、その中継を録画し何度も確認したのに加えてミクリカップ関連の特集番組も欠かさず視聴していた。水中ショーでのパフォーマンスの参考資料にするのはもちろん、コンテストマスターでさらにカスミの水ポケモン使いの大先輩ともいえるミクリ主催のこの大会をカスミが見逃す手立ては微塵もない。


カスミ「あたしは今からリハーサルに取り掛かるわ。ただ、リハーサルだからそこまで本格的にはならないけれど、みんなの期待に応えられるようなものにするわ。」


ハルカ「うん。でもあまり無理しないでね。」


ノゾミ「ここまでであたし達がかなりプレッシャー掛けているけれど、本番前に身体を壊したら元の子もないからね。」


カスミ「心配しなくても、自分の体調管理はしっかりしているわ。だから、ダイジョーブ!」


ヒカリ「あっ、それあたしの…って、今はいいか。」


 カスミはウィンクをしながら、ヒカリの受け売りともいえる『ダイジョーブ!』の言葉を言う。この『ダイジョーブ!』は言葉の意味とは正反対にヒカリが大丈夫でないときにヒカリ本人から発せられる言葉ではあるが、実はこの言葉にはしょっちゅう助けられている場面もあり、そう簡単には切り捨てられない。ノゾミとの出会いという思わぬ場面もあったが、順調に水中ショーのリハーサルは進んでいる模様だ。一方、ハナダ岬にてバトルの特訓をすることとなったサトシとアイリスとベル、そしてその補助でサトシ達に同行しているタケシとデントはと言うと…


アイリス「キバゴ、行くわよ!」


キバゴ「キィバァ!」


ベル「シュバルゴ、あなたも行くわよ!」


シュバルゴ「シュバァルゴォ!」


 只今、アイリスとベルが実戦形式のトレーニングを行っており、サトシはタケシ、デント、ピカチュウとともに休憩もかねて見学中である。ちなみに、ここハナダ岬はカントー随一のデートスポットとして、朝方や夕方にて多くのカップルが訪れることで有名である。一方で日中はジム戦に挑戦する多くのトレーナーがここを特訓場所として使っており、トレーニングスポットとしても非常に重宝されている。


サトシ「アイリスもベルも、しばらく見ないうちに強くなってるんだなぁ。」


ピカチュウ「ピィカァ…。」


デント「サトシとの旅を終えてから、サンヨウジムによく来てはバトルの特訓をしていたからね。ラングレーも来たときは、僕たち三兄弟もトリプルバトルやローテーションバトルにも協力したよ。」


タケシ「俺はまだあの2人の事をあまり把握はしていないが、自分たちの目標のために頑張っているんだな。これはサトシも負けてられないぞ。」


サトシ「あぁ、もちろんだとも。よし、このバトルが終わったらどちらかとバトルするぞ。」


 サトシは自身と別れた以降のアイリスとベルのたゆまぬ努力を知り、自分もまけていられないと闘志を燃やす。すると、その時だった。


???「なんだか楽しそうね。あたしも混ぜてくれないかしら?」


サトシ「?」


アイリス・ベル「「? 誰?」」


 何者かが、サトシ達の会話に割って入ってきた。実戦形式のトレーニングの模様を観戦していたサトシ達はもとい、トレーニングに集中して取り組んでいたアイリスとベルも思わず声のした方へ向く。


???「久しぶりね、サトシ君。」


サトシ「スズナさん!」


 サトシ達に声を掛けてきたのは、ノゾミとともにキッサキシティを旅立ったスズナであった。スズナは自ら、サトシ達の方へと近づく。アイリスとベルもそれと同時に、バトルを中断してサトシ達の方へと近づく。そしてスズナはサトシとタケシ以外の面々に、自分がジムリーダーであることを告げる。


スズナ「まず、このコ達のバトルの邪魔しちゃってゴメンね。バトルの様子を見ていたら、つい声を掛けたくなっちゃって。」


アイリス「いえいえ。」


デント「それに僕やカスミのように、他のジムリーダーに偶然にも出会えるなんて光栄ですよ。」


スズナ「? ということはあなたもジムリーダー?」


デント「えぇ、イッシュ地方のサンヨウシティでジムを構えています。」


 その後も話は盛り上がっていき、次に話題はスズナがカントーに来た経緯へと移る。


サトシ「へぇ〜、ノゾミも一緒なんですね。」


スズナ「多分、今はハナダジムにいるんじゃないかしら?」


タケシ「それなら、カスミ達とはもう会っているかもしれないな。」


 ノゾミもハナダシティにいることを知り、ノゾミに会いたくなってきたサトシ達。ちなみに、アイリス、ベル、デントはノゾミの事をハルカやヒカリから聞いている。


スズナ「ところで、さっきトレーニングの邪魔しちゃったお詫びにあたしも一緒にトレーニングしてもいいかしら? とは言っても、あたしも『ワールド・チャンピオン・リーグ』に向けて頑張らなきゃいけないから、トレーニング相手を探していたんだけどね。」


サトシ「そういうことなら、構いませんよ。俺たちもスズナさんと同じ身ですから。」


アイリス「えぇ。カスミやデントもだけど、ジムリーダーとトレーニングが出来るのはかなり貴重な経験になるわ。こちらこそ、お願いします。」


ベル「あたしも是非。」


スズナ「それじゃあ、決まりね。」


 こうして、スズナも混ぜてサトシ達はトレーニングをすることとなった。その後の話し合いで、アイリスとベル、スズナとサトシがタッグを組んでタッグバトルをすることも決まった。サトシ達バトル組も、難なく進んでいるようだ。そんな中、ハナダシティから少し離れた場所にて、不穏な動きがあった。


???「準備はいいね。」


???「あぁ、今のところ順調に進んでいる。俺たちの変装も、連中にはバレていないようだ。」


???「今回のプロジェクトが成功すれば、我々の勢力拡大に大きくつながるわ。」


???「そして、俺たち2人の株も上がってやがては幹部に昇進。」


???「ますます、今回のプロジェクトは成功させないとね。」


 一人は女、もう一人は男による会話がなされていた。会話の内容からして何かを企んでいるようだが、その件に関してはまた次回以降。


続く…





後書き


次回、ハナダシティにて何かが起こる!?

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