小説『主人公総受け物語〜アニポケ編〜』
作者:天の河()

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第22話『異変! ハナダシティで何が!?』

前書き

ハナダシティでちょっとした異変(というか事件)が発生します。


今回は登場しませんが、前回の終盤に出てきた2人組が関係しています。←ネタバレw





 ハナダジムでのリハーサルは順調に進んでいた。カスミが指揮者のごとく水ポケモン達を誘導し、色を付けた水面の波紋で文字を作ったり、バブルこうせんとアクアリングを組み合わせたバブルリングを作ったり、水ポケモン達でシンクロナイズドスイミングをしたりなど様々なパフォーマンスが見られた。


ノゾミ「リハーサルでここまでモチベーションとは…。」


ハルカ「カスミ、上手く水ポケモン達を誘導しているね。」


ヒカリ「さすがは、水ポケモン使いのジムリーダー。アグレッシブな感じも、『お転婆人魚』にピッタリのパフォーマンスだわ。」


 リハーサルではあるものの、見学サイドの面々はカスミが織りなす水ポケモンのパフォーマンスに酔いしれていた。


コダック「コパァ〜!」


ヒカリ「ねぇ、ハルカ。あのコダック、本当に泳げないの?」


ハルカ「うん。わたし、時々このコダック見るけれど、プールでのバタ足もできないくらいなのよ。カスミの大事な水ポケモンなんだけど、悩みの種でもあるのよ。」


ノゾミ「あたしもビックリしたよ。いきなり出てきてプールに着水したかと思えば、溺れているんだからね(汗)」


 実は、リハーサル開始直前にちょっとしたハプニングが発生したのだった。それは、カスミのモンスターボールの中からコダックが飛び出してきて、そのままプールに着水したのだ。カスミのコダックは水ポケモンでありながら泳げないため、着水した直後に足をバタつかせながら溺れていた。カスミは半ば呆れ顔だったが、慣れた手つきでコダックをゴムプールへと移動させた後に自らはリハーサルへと取り掛かった。


ハルカ・ヒカリ・ノゾミ(((水ポケモンに泳げないって…(汗))))


 ハルカは以前このジムに来た時に知っているが、ヒカリやノゾミとともに泳げないコダックを目の当たりにして唖然としていた。


コダック「コパァ?」


 3人がそんなことを思っているとは露知らず、用意されたゴムプールで遊んでいるコダック。一見単なるお騒がせ者のコダックではあるが、サトシ達との旅ではいざという時に活躍するなどカスミにとっては捨て難いポケモンでもある。


ヒカリ「あっ、休憩に入るみたいよ。」


 カスミは休憩に入るため、一旦プールからあがる。プールからあがってくるカスミに駆け寄るハルカ、ヒカリ、ノゾミ。


ハルカ「順調みたいね、カスミ。」


ヒカリ「リハーサルなのにこんなに見ごたえあるなんて思いもしなかったわ。」


ノゾミ「さすが、水タイプを極めているジムリーダー。水ポケモンのことをよく知り尽くしているよ。」


カスミ「ありがとう。リハーサルとはいえ、本番まであと僅か。ショーも水ポケモンも、抜かりはないわ。」


 リハーサルで少々疲れ気味のカスミではあるが、彼女の口調からはショーと水ポケモンに対する情熱がひしひしと伝わってくる。


カスミ「ただ、今回のショーはいつもとは変わったものにしたいのよ。姉さん達とも話し合ってはいるんだけれども、なかなか良い案が浮かばないのよね…。」


 カスミは今回の水中ショーを、少し趣向を凝らしたものにしたいようだ。ただ、なかなか得策なアイデアが出てこないようだ。


アヤメ「それなら、3人ともショーに出てみる気はないかしら?」


ハルカ・ヒカリ・ノゾミ「「「えっ!?」」」


 突然声を掛けてきたアヤメに、思わぬ提案をされて驚きを見せるハルカ、ヒカリ、ノゾミ。


アヤメ「実はサクラやボタン、カスミと話し合っているうちに、カスミ以外の人も参加するショーも面白いんじゃないかしらって思っていたのよ。いつも頑張っているカスミには申し訳ないけれど、主役ばかりが目立つショーも何だか味気ないでしょ。」


カスミ「あぁ、なるほど。確かに、あたしも一人でショーをこなすよりもみんなでつくりあげるショーの方が楽しそうね。そのことを考えれば、あたしはアヤメ姉さんの提案に大賛成よ。」


ハルカ「わたし達もショーに出られるの!?」


ヒカリ「ショーに参加することは楽しそうだし、こういった魅せることに関してはコンテストで慣れているけれど…。あたし達、カスミみたいにリハーサルもしていないのに大丈夫かしら?」


アヤメ「その点に関しては心配いらないわ。あたし達も最大限のサポートはするから、難しく考えないで安心して。」


 度重なるコンテストを経験してポケモンを魅せることにはかなりのノウハウが培われているハルカ、ヒカリ、ノゾミであったが、リハーサル不足を理由に不安であった。だが、アヤメは優しく彼女たちのその不安材料を取り除くように諭す。


ノゾミ「ここでハルカやヒカリと再会して、さらにはジムリーダーのカスミとも仲良くなれたんだ。これも何かの縁、あたしは参加するよ。ハルカとヒカリはどうだい?」


ハルカ「わたしも、仲間のカスミのためになるんだったら断る理由はないわ。」


ヒカリ「えぇ。少し緊張と不安があるけれど、あたし達の持てる力をカスミとこの水中ショーのために出すわ。」


カスミ「3人とも、ありがとう。きっと、最高のショーになるわ。」


 なんと、水中ショーにゲストとしてハルカ、ヒカリ、ノゾミの出演も決まった。これにより、カスミの水中ショーに対するモチベーションはさらに上がり、彼女たちの絆もより一層深まった。


ハルカ「ねぇ。どうせなら、サトシ達にはショー本番まで内緒にしておかない?」


ヒカリ「いいわね。あたし達も出ていることに気が付いたら、サトシ達絶対びっくりするわ。」


ノゾミ「その方が、ショーの面白さや見ごたえも一層増していくしね。」


 このことに関しては、今ハナダ岬でバトルのトレーニングをしている面々には内緒にしておくことにした。







ガタン!


ハルカ・ヒカリ・ノゾミ「「「!?」」」


カスミ「な、何今の音!?」


 するとその時だった。突如、何かが落ちるような大きな音がジム全体に響き渡る。


アヤメ「あら? ライトも落ちたみたいね。」


 同時に、現在カスミ達のいる場所の天井ライトも消えてしまった。


ボタン「アヤメ、大変よ! また、ジムじゅうの電気がつかなくなったわ。」


アヤメ「ブレーカーが落ちたとかじゃなくて?」


ボタン「どうも、例の停電みたい。電気盤を見てみたけれど、ブレーカーも落ちてはいないし、ヒューズが飛んだ形跡もなかったわ。」


アヤメ「ショーまであと少しっていうところで、困ったわ…。」


 ボタンによればジムの電気盤には異常はなく、この突然の停電の原因は未だ分からない。


ノゾミ「ボタンさん。さっき、「また」って言っていましたけれど、前にもあったんですか?」


ボタン「えぇ。カスミがハナダシティを一旦離れてから、頻繁に停電が起きるようになったのよ。あたし達、そんなに電気を使っているわけじゃないのに…。」


アヤメ「停電のときのために自家発電装置があるんだけど、最近何故か動いていないのよね。」


 協会公認のジムでは、非常時のために自家発電装置を備えている(ただ、ジムの特質上設置しないジムもあるのだが…)。只今発生しているこの停電のような事態には稼働するはずなのだが、アヤメ曰く正常に作動していないという著しく不可解なことが起きている。


アヤメ「ハナダシティじゅうの発電所で何かトラブルでもあったのかしら? 確かめに行きたいのは山々なんだけれども、あたし達はここでやることがあって離れるわけにもいかないし…。」


ボタン「だから、カスミ達で自家発電装置がある場所と発電所にいって、確かめに行ってくれないかしら?」


 アヤメとボタンは、カスミ達に自家発電装置がある場所と発電所に行くよう頼み込む。


カスミ「そういうことなら、任せて! あたしもこのままじゃリハーサルどころじゃないし。」


ハルカ「せっかくわたし達も水中ショーに出られるのに、こんなことで邪魔されてはたまったものじゃありません。」


ヒカリ「アヤメさんとボタンさんはここで待っていてください。」


ノゾミ「それにこの停電騒動、何か裏があることは間違いありませんね。」


アヤメ「みんな、助かるわ。でも、無茶はしないでね。」


 こうして、ここ最近発生している不可解な停電騒動の真相を究明するために、カスミ達はハナダジムの自家発電装置がある場所と発電所に出向くことになった。果たして、カスミ達はこの後どんな出来事に遭遇するのだろうか…


続く





後書き


次回、カスミ達に次々と不可解な出来事が待ち受ける!?

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