小説『主人公総受け物語〜アニポケ編〜』
作者:天の河()

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第23話『ハナダシティで電気パニック!』

前書き

くれぐれも、電気は大切に!





 先程発生したハナダジム停電騒動を受けて、ジムの自家発電装置の確認、街から少し離れたハナダ発電所へと出向くこととなったカスミ、ハルカ、ヒカリ、ノゾミ。4人は自家発電装置のある場所へと到着する。


カスミ「……。」


ハルカ「……。」


ヒカリ「……。」


ノゾミ「…これは酷いね。」


 到着した早々判明したのは、自家発電装置が偽物だったということだ。かなり精巧につくられており、素人目で見れば本物と見分けがつかないほどだった。


カスミ「よく調べなかったら、分からなかったわね。」


ヒカリ「あたし達、電気にはそこまで詳しくないものね。」


ポッチャマ「ポチャア…。」


 カスミを含めて4人は電気機械に関する知識は皆無である。しかし、どんなに精巧につくられた偽物でも、必ずどこかに決定的な本物との違いというものがあるものである。


ノゾミ「でも、これで何者かがこの停電騒動に関わっているというのは間違いないね。」


ハルカ「早く発電所へ急ぎましょう。」


 カスミ達はさらなる真相を究明するために、ハナダ発電所へと向かう。しばらく街を東の方角へ進んでいくと、目の前に発電所らしき建物が見えてきた。


ヒカリ「あそこね。」


 カスミ達は発電所に向けて、さらに進もうとしたところだった。


ガサガサ…


ハルカ「!? な、何今の音!?」


 近くの草陰から何かが動くような音がしたので、全員一斉に音のする方へと身体を向ける。










ガサガサ、ガサガサ…


ポッチャマ「…ポチャア。」









ガサガサ…


 生唾をのみ込むような展開に、しばし沈黙が流れる。










ガサガサ…、バサァ!


エレブー「エレェェェェェ!」


全員「うわぁ!」


ポッチャマ「ポチャア!」


 突然、この辺りを住処にしているのであろう野生のエレブーが飛び出してきた。


エレブー「エレェ! エレェ! エレェ! エレェブゥゥゥゥゥ!」


 エレブーはカスミ達の目の前でしばらく暴れたが、すぐに彼女たちの目の前から消え去っていった。


ヒカリ「…な、何だったの?」


ノゾミ「さ、さぁ…。」


 あまりの突然の出来事に、呆然と立ち尽くすカスミ達。自分たちの目の前に突如現れたエレブーのことを気に掛けつつも、彼女たちは発電所にむけて再び進み出す。尚、先程のエレブーがある意味今回の停電騒動のキーポケモンであり、再び彼女たちの目の前に現れることになるとは、この時誰も思いもしなかったのである。


ハルカ「ここね、ハナダ発電所は。」


カスミ「えぇ。アヤメ姉さんの話だと、ゲートの前にジュンサーさんがいるってことなんだけれど…。」


ヒカリ「あっ、多分あのジュンサーさんじゃない?」


ノゾミ「とりあえず、近づいて声を掛けてみよう。」


 カスミ達は、発電所の検問ゲート前にいるジュンサーに声を掛けてみることにした。尚、発電所の前はやはり何かトラブルが発生したのか、ジュンサーをはじめとして警察関係者が巡回をしている。


カスミ「すみません。あたし達、ハナダジムから来た者なのですが…。」


 ここは代表してカスミが、ジュンサーに声を掛ける。


ジュンサー「あなた達ね。アヤメさんから話は聞いているわ。まずあなた達を疑う訳じゃないけれど、検問所でボディチェックを受けてもらうわ。これは、通常行っていることだから安心してね。」


 発電所へは、アヤメが連絡をとって話をつけてくれたようだ。その際、停電で固定電話が使えない為、アヤメ用のスマートフォンを使用したというのは別の話。


ノゾミ「あの、一ついいですか?」


ジュンサー「何かしら?」


 ここで、発電所前に到着してから気になっていたことをノゾミがジュンサーに尋ねる。


ノゾミ「ゲート前の警備が厳しくてなんだかピリピリした雰囲気なんですけれど、何かあったんですか?」


ヒカリ「言われてみれば…。まさに厳戒態勢って感じね。」


ジュンサー「実はこの度の停電は、ジムやポケモンセンターだけじゃなく街中で発生しているのよ。停電騒動は以前から起きていたのだけれど、街中で発生したのは今回が初めてなの。おまけに、何者かが侵入した形跡があってわたし達も苦慮しているのよ。」


 ジュンサーが言うに、以前まではジムやポケモンセンター、その他公共施設に停電の範囲が留められていた。ところが、今回は民家を含むハナダシティの一部地域にまで及んでいる為、事態を重く見た警察がこのように発電所周辺で厳戒態勢を取っているとのことである。


ヒカリ「そういうことでしたか。」


ジュンサー「わたし達も、カスミさんの水中ショーを楽しみにしているの。今回の騒動がなければ、リハーサルも順調に進められたでしょうに…。」


カスミ「いえいえ、今は一刻も早くこの停電騒動を解決しましょう。」


今の状況をある程度把握したカスミ達は、ボディチェックを受けた後、発電所の敷地内へと入っていった。


ジュンサー「ここなら、詳しい話が聞けるわ。」


カスミ「はい、分かりました。」


 しばらく敷地内を進んでいくと作業員詰所らしき建物に到着し、カスミ達はジュンサーとともにその中へと入っていく。建物内には一人の発電所の職員がいて、どうやらこの人物から詳しい状況の説明が聞けるようだ。


※ あまり余裕がないので、発電所職員の説明は一部省略します。


ノゾミ「怪しい人影、それが今回の停電と何か関わりがあるっていうことは間違いないね。」


ハルカ「しかも、二人組がよく見かけられる…。」


ヒカリ「二人組...。あまり、いい思い出がないわ…。」


ジュンサー「? あなた達、何かあったの?」


ヒカリ「あっ、いえいえ! こっちのことです(汗)」


カスミ「ジュンサーさんが気にすることじゃありません(汗)」


ジュンサー「?」


 ヒカリが思わず口に出した一言。この意味は、説明するまでもないだろう。アニポケシリーズではおなじみのあの2人組と、たまに出てくる類似品(笑)である。


発電所職員「はぁ〜、立て続けに起きるこの騒動に所長はカンカンで…。しかも、「犯人を見つけたら、このわしの自慢の電気ポケモンで懲らしめてやる!」と言い出す始末ですし…。」


 カスミ達に状況の詳しい説明をした職員は、かなり疲れているようである。今回の騒動で怒り心頭の発電所所長を必死で抑えたり、停電がなるべく狭い範囲で抑えようと全力で職務についているのだ。無理もない。


ジュンサー「一刻も早く、私達も全力で解決に努めます。」


カスミ「あたしも、ハナダシティのジムリーダーとして街の危機は放っておけません!」


ハルカ「カスミだけじゃありません。わたし達も、出来る限りのことはつくします!」


ヒカリ「だから、あまり気を落とさないでください。」


ノゾミ「全員で力を尽くせば、絶対解決できます。」


発電所職員「みなさん、ありがとうございます…。」


 一同が、この停電騒動に全力で解決に努めることを決意したその時だった。





ブー! ブー! ブー!


ヒカリ「!? 何、今の警告音!」


発電所職員「第2制御室にて、何かトラブルがあった模様です。」


ジュンサー「第2制御室、今からそちらへ向かいましょう。あなた達も、ついてきて!」


カスミ・ハルカ・ヒカリ・ノゾミ「「「「はい!」」」」


 カスミ達とジュンサーはすぐに、警告音が指し示す第2制御室へと向かう。その頃、その第2制御室では…


???「おい! 少しマズイことになったんじゃねぇか?」


???「えぇ。さっさと終わらせてここからずらかるわよ!」


 どうやら、警告音が鳴ったのは、この怪しい2人組のようだ。ちなみに、前々回の終盤で出てきた2人組と、この2人組は同一人物である。


ジュンサー「あなた達、そこで何をしているの?」


???「マズイ!! 見つかったわ!」


 そこへ、カスミ達とジュンサーが駆けつける。


カスミ「! あ、アンタ達は!?」


 カスミ達が駆けつけた第2制御室にいた怪しい2人組とは一体…


続く





後書き


怪しい2人組…。その正体やいかに!?

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