小説『主人公総受け物語〜アニポケ編〜』
作者:天の河()

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第26.5話『マサトの日常』

前書き

ここでまた、閑話休題な話です。


メインはハルカの弟・マサトと、自作のオリキャラの2人です。微妙にサトハル風味かも…





 ここは、ホウエン地方のトウカシティ。ハルカの故郷であり、そのハルカの父であるセンリがポケモンジムを構えている小さな都市である。


マサト「それで、お姉ちゃんは世界一のトップコーディネーターになるために、『ワールド・チャンピオン・フェスティバル』への出場することにしたんだ。今は、僕も一緒に旅をしたことのあるサトシの故郷、カントー地方で特訓の旅をしているんだ。」


???「やっぱりすごいわ、マサト君のお姉さんは。でも、お姉さんの周りには、たくさんのライバル・コーディネーターがいるんでしょ? 世界一への道のりは、かなり険しいんじゃないかしら?」


マサト「うん。僕も旅先で出会ったことのあるシュウ、ハーリーさん、サオリさん。それに、お姉ちゃんはミクリカップで出会ったヒカリやノゾミって人もライバルだって言ってたよ。」


???「ヒカリさんとノゾミさんって、かつてシンオウのグランドフェスティバルのファイナルで壮絶なコンテストバトルを繰り広げた2人よ。前から思っていたんだけど、いくつものポケモン・リーグで好成績を収めたサトシさんと言い、かつてのジムリーダーのタケシさんとカスミさんと言い、ハルカさんとマサト君ってしばらく見ないうちに幅広い人脈を持つようになったんだね。」


マサト「うん。はぁ〜、僕もサトシやタケシに会いたいなぁ。」


 トウカジムの前では、ハルカの弟・マサトと彼と同じくらいの年齢の少女・リュウカが仲良く会話をしていた。その会話の内容は、先日カントー地方へ旅立った姉・ハルカについて、マサトが一緒に旅をしたことのある仲間についてのことだった。


リュウカ「そういえばこの前、ハルカさんからサトシさんのことを聞いたことがあるんだけど、その際とても嬉しそうな表情で話していたわ。まるで、恋人のことを話すかのように。ひょっとして、ハルカさんはサトシさんの事…。」


マサト「うぅ、お察しの通りだよ。リュウカちゃん。」


リュウカ「? 急に表情変えて、どうしたの?」


 ハルカがサトシに対して好意を抱いていることをマサトに聞き出そうとしたその時、突然マサトの表情が一変する。今まで楽しげな表情で話していたのだが、今は苦笑いを浮かべているようにも見える。


マサト「お姉ちゃんがサトシに対してそういう思いを抱いているのは分かっただろ?」


リュウカ「うん。」


マサト「確かに、お姉ちゃんがそうなるのは分かるんだ。サトシは誰にだって分け隔てなく優しく接してくれるし、お姉ちゃん自身サトシに何度も助けられていることもあったんだ。サトシも、お姉ちゃんのことは大切な仲間として思っているもの。」


リュウカ「それなら時間さえかければ、サトシさんとハルカさんが両想いになれることだってあるんじゃない? 前にハルカさんからサトシさんはかなりの恋愛に関しては無関心だって聞いたけれど、それも次第にサトシさんもそういうことを意識し始めるんじゃないかしら? それとも、マサト君は2人が両想いになることに不満でもあるの?」


マサト「いや、むしろその逆でお姉ちゃんを応援したいくらいだよ。ただ、さっきも言ったけど、サトシは誰にでも優しく接する性格だって言ったでしょ? 誰にでもって。」


リュウカ「誰にでも? …ま、まさか。」


 マサトが2度『誰にでも』と強調して言ったので、リュウカもマサトが何を言いたいのか察したようだ。リュウカは実際の年齢とはかけ離れた勘の鋭さをお持ちのようである。


マサト「正解。お姉ちゃんのような思いを持っている女性の人は、他にもいるってことだよ。僕が知っている限りでは、カスミもそうだったよ。まだ会ったことはないけれど、恐らくヒカリやノゾミって人もそうなんだろうと思う。」


 マサトは今までの体験とサトシの真っ直ぐな性格から、サトシに好意を抱く人物は他にもいるだろうと予想。マサトの予想はほぼ完全に当たっているのである。


マサト「ふぅ〜、僕が旅をしていた時でもこのことで一触即発になる場面があったからね。あぁ、カントーで一体どんなふうになっているのかと思うと胃が痛い思いだよ…。」


リュウカ「マサト君、そんなストレスが溜まりに溜まったサラリーマンみたいなこと言わないでよ(汗)」


 ガクッと項垂れるマサトを見て、何だか哀れな気持ちになったリュウカ。


リュウカ「あっ、そろそろジムへ戻らなきゃいけないんじゃない?」


マサト「おっと、そうだった。まだ、ジムのポケモンの世話の途中だった。」


 リュウカが機転を利かせて話題をすり替えて、マサトもすぐに気持ちを切り替える。2人はセンリから頼まれていたジムのポケモン達の世話の続きに取り掛かることにした。その後、トウカジムにてポケモン達の世話にしばらく取り組んだ。その後、ポケモン達の世話を終えた2人はセンリとともに、ハルカとマサトの自宅へと移動した。


ミツコ「リュウカちゃん、大変だったでしょ。とりあえず、ゆっくり休んでいってね。」


リュウカ「ありがとうございます。でも、これもポケモン・ブリーダーになるための試練だと思って取り組めば楽しいものですよ。」


センリ「そういえば、リュウカちゃんはポケモン・ブリーダーを目指しているんだったよな? それなら沢山勉強もしなくちゃいけないし、実戦で感覚を養っていかなくちゃならないだろう。」


リュウカ「えぇ、覚えることは山ほどありますが、頑張ります!」


 リュウカはポケモン・ブリーダーを目指しているようだ。以前、ミツコからハルカやマサトと一緒に旅をしていたタケシのことを聞き、一度会ってみたいという願望を抱くほどポケモンの育成には興味がある。あらゆるタイプのポケモンと接っしなければならないポケモン・ブリーダー。並大抵の努力ではなるのは難しいが、リュウカは至って前向きである。その後も、彼らの会話は弾んでいく。


ミツコ「そうだったわ! マサト、今度ハナダシティで水中ショーが開催されるのは知ってるわよね?」


マサト「定期的に開催されているあれでしょ? 一緒に旅をしたことのある仲間の晴れ舞台だから、いつもチェックしているよ。」


リュウカ「雑誌やテレビでも取り上げられるくらい、有名ですものね。」


 ハナダでの水中ショーは、ホウエン地方にも話題が浸透しているようだ。ただ、マサトは姉を持つという同じ境遇からか、カスミのことに関してはいつも気に掛けていた。水中ショーのことも、例外ではない。


ミツコ「実はパパと2人で観に行くつもりだったんだけど、パパが急に都合が取れなくなってしまってね。だから、マサトとリュウカちゃんと一緒に行こうと誘ってみたのよ。どうかしら?」


 ミツコは本来、センリと夫婦水入らずで観に行く予定だったハナダの水中ショーに、代わりにマサトとリュウカは見に行かないかと誘う。


マサト「僕はもちろん行きたいけれど、リュウカちゃんは?」


リュウカ「私も是非。あっ、でもママに聞いてから…。」


ミツコ「大丈夫よ。リュウカちゃんのママとは、さっき買い物帰りに会ってこのことを話しておいたから。心配しなくてもいいわ。」


リュウカ「そうですか。それなら、一緒に行きます。」


 マサトとリュウカ、ミツコと一緒に水中ショーを見に行くことがあっさり決まった。ミツコはリュウカの母親に話をつけて承諾を得たのだが、実はこの2人は子供のころからの知り合いで気心知れた仲である。


センリ「ミツコ、マサト、リュウカ、本当に済まない。」


ミツコ「別にいいわよ。最近、あなたが忙しいのは熟知しているから。」


マサト「でも、身体には気を付けてね。」


リュウカ「センリさんは、自分のお仕事を頑張ってください。」


センリ「あぁ、みんな恩にきるよ。この埋め合わせは絶対にするからな。」


 今回、ミツコと一緒に行けなくなったことを詫びるセンリ。ただミツコは、センリの気持ちを察してか、あまりそのことに関しては咎めなかった。そして翌日、ハナダシティへ向けて出発の時が来る。


ミツコ「2人とも、準備はいいわね。」


マサト「うん。」


リュウカ「もしかしたら、ハルカさんにも偶然会えるかもしれませんね。」


 これから観に行く水中ショーに期待を持ちながら、マサトとリュウカはミツコに連れられてトウカシティを出発した。この後到着したハナダシティにて、ハルカが水中ショーのゲストとして呼ばれていることを知って驚くのだが、それはまた後の話。


続く





後書き

閑話休題の話で、こんなに長くなるとは(汗)

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