小説『主人公総受け物語〜アニポケ編〜』
作者:天の河()

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第28話『ハナダに舞い降りた人魚姫』

前書き

人魚姫と書いて、マーメイドと読む。


水中ショーは、午前の部と午後の部に分けて行う設定です。






 会場内が観衆で大盛況の中、サトシ達は観客席で水中ショーが開幕するのを今か今かと待っていた。


ハルカ「それにしても、ママ達に出会うなんて思いもしなかったわ。」


サトシ「ホント、びっくりしたよなぁ。」


リュウカ「ミツコさんの言った通りですね。皆さん、驚いています。」


ミツコ「ふふふ、そのようね。」


 再会の面々、初対面の面々も含めて、ミツコ達の登場には驚きを見せていた。


ミツコ(でも、一度はまたサトシ君の顔を見ておきたかったのよね。もしかしたら、ハルカの未来のお婿さんになるかもしれない人だもの。)


 後付けではあるが、ミツコにはこういった思惑もあるというのは別の話。


マサト「へぇ〜、アイリス、デント、ベルはイッシュ地方から来たんだね。」


デント「そうだよ。イッシュにはこのカントー、ジョウト、ホウエン、シンオウにはいないポケモン達が生息しているんだ。」


アイリス「あたしやデントも、サトシとの旅を通して沢山のポケモンをゲットしてきたわ。」


ベル「このショーが終わったら、見せてあげようか? マサト君。」


マサト「うん! 見たい見たい! イッシュ地方のポケモンかぁ…。どんなポケモン達がいるんだろう。」


 マサトはイッシュ組との会話を通して、イッシュ地方に生息するポケモン達(特にイッシュ地方固有のポケモン)に興味を湧かせていた。





ブー!


 そして、ショーは開幕の時を迎える。まずは、ポケモン達によるシンクロナイズドスイミングである。


トサキント「トサキィン!」


タッツー「タッツゥ!」


 数匹のトサキントとタッツーが水上に顔を出す。トサキントは尾ひれと背ひれを巧みに扱い、タッツーは優雅に泳ぎながら、観客を魅了する。


タッツー「タッツゥ!」


 しばらく泳いだ後、タッツーは水中に潜って煙幕を繰り出す。


トサキント「トサキン! トサキィン!」


 タッツーから放たれた煙幕を、トサキントがこれもまた尾ひれと背ひれを巧みに扱いながら、水上で成型していく。すると、水上にはある文字が浮かび上がる。





Welcome to aqua stage in Hanada


パチパチパチ!


 文字が浮かび上がった文字を見た観衆は、拍手喝さいを送る。まずは、上々の掴みを得た格好だ。


ガタン!


 すると、次の演目に入るために一度会場じゅうの照明が消され、会場は暗闇に包まれる。再び照明に明かりが灯った時には、先程までシンクロナイズドスイミングショーが行われていたプール中央に大きな台座が出現、その上には巨大なシャコ貝が置かれていた。尚、プール中央の台座はジム戦時にバトルフィールドとして使われているもので、状況に応じて上げたり下げたり出来るようになっている。


ヒカリ(あの、シャコ貝。一体なんだろう?)


デント(なんだか、ミステリアスなテイストの予感だね…。)


 突如現れた巨大シャコ貝に息をのむ観衆。会場は再び暗くなっていき、スポットライトが巨大シャコ貝を集中的に照らす。照明の色もさながら、なかなかの幻想的な雰囲気を醸し出している。しばしの沈黙の後、シャコ貝は開き始め、煙とともに中から水ポケモン達が出てきた。出てきたポケモン達は、台座の上でダンスを踊ったり、アクロバットなパフォーマンスを魅せたりと、会場を魅了させる。





ガタン!


 巨大シャコ貝を集中的に照らしていたスポットライトが消され、会場は再び暗闇と静寂に包まれる。そして...





ガタン! プシュー!


 再びシャコ貝がスポットライトで照らされ、そこには人魚姫に扮したカスミの姿があった。


オォォォォォ!


 カスミの登場とともに、会場は本日最大の盛り上がりを見せる。


ハルカ「あっ、見て! カスミよ!」


タケシ「人魚姫に扮するとは…。カスミらしい演出だな。」


 会場じゅうの歓声が止む間もなく、カスミの乗る台座は降ろされる。水面に浮かぶ格好となったカスミは、水面で水ポケモンを誘導しながら自らも『お転婆人魚』の名にふさわしく元気いっぱいに泳ぐ。時々水中に潜っては、水面の水ポケモン達が集まった所に顔を出すといった演出も魅せる。水ポケモン達が集まった所とは別の場所に間違って顔を出して観客の笑いを誘うなどユーモアな演出も織り交ぜながら、水中ショーは進んでいく。尚、カスミはパフォーマンス中、決して笑顔を絶やすことはなかった。こうして、午前の部は評判通りの盛り上がりを見せた。


サトシ「やっぱ、すげぇな。水ポケモンを活かすことに関しては、カスミには敵わないぜ。」


アイリス「うんうん。極めるポケモンのタイプは違うけれど、同じ一つのタイプを極める者として一際輝いていたわ。」


デント「水ポケモンのキュートでビューティフル、時折ユーモラスさを織り交ぜたパフォーマンス。実にいろんなテイストを味わえたよ。」


 サトシ達は、午前の部のパフォーマンスだけで酔いしれていた。


ノゾミ(なんだか、カスミは楽しそうにやっていたね。型にはまった規則正しいパフォーマンスというより、本当に水ポケモンの意思を引き出した自由気ままなパフォーマンスって感じだったね。)


ヒカリ(あたしたちも、こんな風に自由にやって行けば…。)


ハルカ(成功するかも…。)


 ゲスト出演の面々は、思ったよりも楽しく自由な感じだった午前の部のパフォーマンスを見て、だいぶ緊張が解れたようだ。3人はお互いにアイ・コンタクトで、これから自分たちが行うパフォーマンスに関する意思疎通を図る。


スズナ(ノゾっち達、何か企んでいるわね。ふふふ、一体どういうことなのかしら?)


ミツコ(ハルカ、一体何をするつもりなのかしらね。)


 一応、ハルカ、ヒカリ、ノゾミがショーにゲスト出演する話はサトシ達には秘密だが、一部勘付いているのもいるようだ。さて、午後の部では一体どんなパフォーマンスが見られるのか!? そして、ゲスト出演する3人はショーの観衆を楽しませるパフォーマンスが出来るのか!?


続く





後書き

次回、友情と絆の午後の部の開演!



水中ショーよりアクア・ショーに名前を変えた方がいいのではと思ったのは、別の話w

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