小説『主人公総受け物語〜アニポケ編〜』
作者:天の河()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

第29話『友情と絆のパフォーマンス〜前編〜』

前書き

水中ショー、午後の部開演! カスミやゲスト出演するハルカ、ヒカリ、ノゾミは、今回のショーで何を得ることが出来るのだろうか!?


今回の話では、彼女達の友情と絆の強さに重きを置いています。ですので、ショー自体は簡素に感じるかもしれません。ですが、温かい目でお願いします。





 午前の部が終わり、昼の休憩時間を挟んで午後の部開演の時間が迫っていた。午後の部は主演のカスミと水ポケモンに加えて、ハルカ、ヒカリ、ノゾミがゲストとしてショーを盛り上げる予定となっている。このことは観衆には知らされておらず、当事者の4人とハナダ美人三姉妹の間だけの秘密事項である。


サトシ「あれ? ヒカリは?」


マサト「そういえば、お姉ちゃんもいない。」


スズナ「ノゾっちもいないわ。」


 その頃、サトシ達はハルカ、ヒカリ、ノゾミがいないことに気が付く。


ベル「いったいどうしたんだろう?」


デント「何事もなければいいけど…。」


 当然、仲間のサトシ達にも彼女たちがショーにゲスト出演をする話は知らせていない。


ミツコ(なんとなく、ハルカ達が何をするのか分かった気がするわ。)


スズナ(不思議とあたし達が楽しくなるようなことになりそう…。)


 だが、事実は知らなくとも、母親と長年の付き合いの勘は核心まで迫っていた。そんな中、水中ショーの午後の部は、開演を迎える。


カスミ「みんな、準備は良い?」


ヒカリ「えぇ。引き受けたからには、最高のパフォーマンスでいかないと。」


ハルカ「わたし達は、ポケモン達を信じて指示を出す。」


ノゾミ「ここまで来たからには、もう開き直っていくしかないね。」


 ショーに出演する面々には並々ならぬ緊張感が漂っているが、同時に物事の成功に向けて突き進む気合も感じられる。ちなみに、4人は今回のショー用に用意されたTシャツを着用している。


カスミ「ここで最終確認するわね。まずあたしが中央のステージに立って、観衆に向けて来場への感謝の意を伝える。その後、ハルカ、ヒカリ、ノゾミのことを説明するから、それが終わったらプールサイドまで出てきてね。」


ノゾミ「了解。」


ハルカ「なんだか、さらに気合が入って来たわ。」


ヒカリ「ダイジョーブ! あたし達なら出来る!」


 カスミから午後の部の振興手順を聞かされ、異論なく同意するハルカ、ヒカリ、ノゾミ。その後4人は円陣を組みお互いに中央で手を合わせて、午後の部のパフォーマンス成功を誓った。


カスミ「スゥー、ハァー。よし!」


 4人の先発として登場するカスミは、会場へ出る前に深呼吸をして気持ちを整える。そして、勢いよく会場へかけていく。


カスミ「行くわよ! マイ・ステディ!」


 観衆の前に出る手前のところで、あらかじめ用意していたモンスターボールに手をかけてそれをプールに向かって投げる。モンスターボールの中から、雄叫びを上げながらギャラドスが出てきた。カスミはすぐにギャラドスに乗り、プールを自由に遊泳する。


観衆A「キャアァァァ、カスミちゃんよ!」


観衆B「今日も可愛いなぁ…。」


 カスミの登場とともに、会場じゅう歓声が響き渡る。午前の部でもカスミは登場したが、それとは比べ物にならないくらいの盛り上がりだ。


カスミ「ご苦労様、ギャラドス。」


 しばらく観衆の声に答えながらギャラドスとともにプールを泳いだ後、中央の台座へと移動する。次に役目を終えたギャラドスを労い、ボールの中へと戻す。そして、カスミは台座の中央に移動して、観衆に向けた挨拶を始める。ちなみに、カスミはピンマイクを装着している。


カスミ「本日、この水中ショーの会場にお越しいただき、誠にありがとうございます。観衆の皆様が声援を送ってくださったおかげで、私カスミと水ポケモン達のパフォーマンスがより素晴らしいものになりました。」


 カスミが来場した観衆に感謝の意を述べると、会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こる。今日までカスミ一人で努力してきた部分もあったが、その陰には自分の姉達や地元ハナダ市民、さらには遠くからはるばるやってきた人たちなど多くのサポーターの支えもあったということは、カスミ本人忘れてはいない。


カスミ「実は私、この水中ショーに専念するまではカントー、オレンジ諸島、ジョウトと様々な地方を旅してきました。その中で多くの仲間と出会い、そして助け合い、そして笑いあい、そして時にはぶつかり合ったりと、友情と絆の大切さを学びました。」


 カスミはサトシ達との旅で経験したことを思い出し、旅で学んだことを会場の観衆に向けて述べる。観衆は思いに更けながら、カスミの話を真剣に聞く。


カスミ「そして本日のこの水中ショーにも、来場してくださった皆様をもっと楽しませるために、3人の仲間が名乗りを上げてくれました。」


 カスミのこの一言は、会場じゅうをどよめかせる。


タケシ(成る程、そういうことか…。)


デント(カスミの言う3人の仲間…。もう確定だね。)


 タケシとデント、この後に起こるであろう展開が分かったようだ。ここでは触れてはいないが、タケシとデント以外の面々も気づいているようである。


カスミ「それでは、まず一人目。コンテスト発祥の地が生んだ『ホウエンの舞姫』、ハルカ!」


ハルカ(今ね!)


 カスミの名前の発表の後、ハルカは勢いよくプールサイドに出てきた。ハルカの登場とともに、会場はさらなるどよめきに包まれる。


カスミ「続きまして、二人目。北の大地からは『シンオウの妖精(フェアリー)』、ヒカリ!」


ヒカリ(よし! ダイジョーブ!)


 カスミから自分の名前が紹介され、ハルカに続きプールサイドへと出ていくヒカリ。


カスミ「最後に、ヒカリと同じく北の大地からは『シンオウのノウブル』、ノゾミ!」


ノゾミ(ついにこの時だね!)


 そして、最後にノゾミがプールサイドに出てきた。コンテストでかなり名の知れた3人の登場に、会場はこれまでにないくらいどよめきに包まれる。


サトシ「ハルカにヒカリにノゾミ。一体どんなショーを魅せてくれるのだろうなぁ。」


デント「彼女たちが水ポケモン達とどんなマリアージュを創り出すのか、とてもアメイジングな気分になるね。」


タケシ「ハルカ、ヒカリ、ノゾミは、コンテストで積み上げたものをどこまで活かせるかが、今回のパフォーマンスに影響するだろうな。」


ベル「ん〜、今から楽しみ〜!」


 特に驚きはしなかったものの、登場した4人を見て、これから彼女たちが魅せるパフォーマンスに期待を寄せるサトシ達。


カスミ「これから私達が織り成す『友情と絆のパフォーマンス』、とくとご覧ください!」


 現在、カスミを中心にして三方向にハルカ、ヒカリ、ノゾミがちらばるという位置関係である。彼女たちは観衆に向けて笑顔で深く一礼をする。その時、観衆からは期待と興奮の入り混じった拍手が送られる。果たして、彼女たちが織り成すパフォーマンスは観衆の目と心にどう響くのだろうか…


続く





後書き

午後の部は長いので、前後編に分けました。


カスミのアナウンスの部分は、かつて放送されていた『ポケモン放送局』の司会進行力から思いついた箇所です。

-33-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




ポケットモンスターホワイト2
新品 \3200
中古 \2658
(参考価格:\4800)