小説『主人公総受け物語〜アニポケ編〜』
作者:天の河()

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第30話『友情と絆のパフォーマンス〜後編〜』

前書き

友情と絆が織り成す、水の祭典。ここに在り…


横文字をカタカナ表記にするか、アルファベット表記にするかで悩み中…(今のところは、カタカナ表記ですが…)





 カスミの点呼とともに、颯爽と登場したハルカ、ヒカリ、ノゾミ。中央の台座及びプールサイドにいる彼女たちが出すポケモンは、


ハルカ「カメール、ステージ・オン!」


カメール「カメェェェェェル!」


ヒカリ「ポッチャマ、チャーム・アップ!」


ポッチャマ「ポチャア!」


ノゾミ「カメール、レディ・ゴー!」


カメール「カメェ!」


 ハルカはミクリ・カップでも活躍したカメール、ヒカリはパートナーポケモンのポッチャマ、ノゾミは新たにゲットしたであろうカメールをショーの出演者として選ぶ。


カスミ「それじゃあ、あたしも! マイ・ステディ、スターミー!」


スターミー「フゥ!」


オォォォォォ!


 カスミは昔からの腐れ縁的存在であるスターミーを選ぶ。出てきたスターミーは自らの特性の『発光』を使い、観衆を魅了させる。


カスミ(それじゃあ、いくわよ! みんな!)


ハルカ・ヒカリ・ノゾミ(((オーケー!)))


 ハルカ、ヒカリ、ノゾミにアイコンタクトでスタートの合図を送るカスミ。ここから、友情と絆が織り成す創作パフォーマンスが始まる。


ハルカ「カメール、あわ!」


カメール「カァァァメェェェェェ!」


ヒカリ「ポッチャマ、バブルこうせん!」


ポッチャマ「ポォォォチャアアアアア!」


 カメールはあわ、ポッチャマはバブルこうせんを発射。会場の周りに無数の泡が浮かび上がる。観衆は無数の泡に釘付けである。


ポッチャマ「ポチャア!」


カメール「カメェ!」


 泡を出し終わったポッチャマとカメールは、水中へと姿を消す。


カスミ「これから、水中の魔術師のアートをお楽しみください。スターミー、サイコキネシス!」


スターミー「フゥ! フゥゥゥ!」


 スターミーはサイコキネシスで、空中に散らばった無数の泡をコントロールできる状態にする。そして、それらを様々な形に成形して、いろんなアート作品を作っていく。


デント「ん〜、ポッチャマとカメールが出した泡とスターミーのサイコキネシスが織り成す素敵なマリアージュ。」


リュウカ「打ち合わせや練習の時間なんて、そうそう取れなかったでしょうに…。」


タケシ「4人とも初対面の時期はバラバラなのに、ここまで意気がピッタリなのは大したものだな。」


 サトシ達をはじめ、観衆はそのアート作品に魅了されている。ここまで魅力的なのもさながら、4人は出会った時期がバラバラだとは思えないくらい意気が合っている。そのことが、より良いパフォーマンスにつながっているのは言うまでもない。


スターミー「フゥ! フゥ! フゥ!」


 スターミーはさらに泡をかき集めて成型し、大きな泡のアーチを作る。


パチパチパチ!


 泡のアーチが完成すると、観衆は拍手を送る。


カメール「カメェ…。」


 次に、ノゾミのカメールがプールの水面に顔を出す。


ノゾミ「カメール、アクアジェット!」


カメール「カメェ! カァァァメェェェェェル!」


 カメールは一度水中に潜った後、アクアジェットで水中から勢いよく飛び出し、泡のアーチ目がけて突進していく。


カメール「カメッ!」


 泡のアーチまで間近に迫ったところで、走り高跳びの技能の一つである背面跳びの要領で泡のアーチを飛び越える。飛び越えた後は水面に向かって突進し、再び水中に身をひそめる。それを見た観衆からは、「オォォォ!」とどよめきの声が発せられる。


ポッチャマ「ポチャ!」


カメール「カメェ!」


 続いて、ポッチャマがカメールに乗って水面に顔を出す。今度はポッチャマとカメールで、アーチの高跳びに挑戦するようだ。


ノゾミ「カメール、アクアジェット!」


カメール「カメェェェェェ!」


 カメールは先ほどのように一度水中に潜り、ポッチャマを乗せたままアクアジェットで水面から勢いよく飛び出した。ただ、ポッチャマの重さが加わっているせいか、アーチを飛び越える高さまでには足りていない。


ポッチャマ「…ポッチャマ!」


 すると、ポッチャマがタイミングを見計らってカメールを踏み台にジャンプをする。そして、お得意の回転パフォーマンスでアーチの高跳びを披露。飛び越えた後は再びカメールの背中にしがみつき、カメールとともに水中へと身をひそめた。


アイリス「ポッチャマのあの身のこなし方、凄い…。」


サトシ「ポッチャマにとって、あの回転は得意技みたいなものだからな。俺もバトルで結構使わせてもらったし、バトルにも使えるんだ。」


ピカチュウ「ピカ! ピィカ!」


 サトシの言うとおり、この身体を回転させるパフォーマンスはバトルにも応用できる。これで攻撃技を回避したり、急所を外したりと、サトシのポケモンはいろんな場面で使ってきた。このほかにも、『カウンター・シールド』というヒカリお得意のパフォーマンスがあるが、それに関してはまた後日。


ポッチャマ「ポォチャ! ポチャポチャポチャポチャ!」


 先ほどまで高跳びに使っていた泡のアーチを、カメールに乗ったポッチャマがドリルくちばしで後始末をする。ちなみに、カメールは泡のアーチに沿ってアクアジェットで移動している。


ポッチャマ「ポチャ!」


カメール「カメェ!」


 全て泡を処理し、中央の台座で決めポーズをとる2体。だが、


ポッチャマ「ポチャ!?」


カメール「カメェ!?」


 どこからか、割れ残りの1つが出てきた。ポッチャマとカメールは一瞬慌てたが、


カメール「カメェル!」


 そこを今まで水中に潜りこんでいたハルカのカメールがアクアテールでその割れ残りの1つも処理した。ちょっとしたハプニングも他のポケモンでカバー、見事な連係プレーである。


ポッチャマ「ポチャポチャ…。」


カメール「カメメェ…。」


 ポッチャマとノゾミのカメールは、申し訳なさそうにハルカのカメールに感謝をする。その瞬間、会場にどっと笑いが起きる。このようなユーモラスな展開を魅せながらも、ショーは進行していく。そして、最後の演目まで差しかかる。


ウィィィィィン!


マサト「? 一体、何をするつもりなのだろう?」


 突然、先程まで様々なポケモンのパフォーマンスを魅せてきたプールがせり上がる。そして、ある程度の高さまでくるとそこで停止する。


カスミ「観衆の皆様方、本日は本当にお越しいただき誠にありがとうございます。最後に今回出演したポケモン達総出演のフリー・パフォーマンスをお楽しみください。」


 カスミのアナウンスが終わるとともに、せり上がったプールに次々と水ポケモン達が入っていく。当然、ゲスト出演のポッチャマ達もフリー・パフォーマンスに参加している。


ポッチャマ「ポチャ! ポチャア〜!」


カメール(2体)「「カァメ! カメェ!」」


スターミー「フッ、フゥ!」


 各々、水中で自由に踊り舞うポケモン達。人の指示を介さずに自分たちの意思で行動するそのさまは、ポケモン達が独特の楽しさを引き出しているように見える。


パチパチパチ!


 水ポケモン達が踊っている間に、度々観衆からの拍手が巻き起こる。自由気ままな光景が、観衆の心を引きつけているようだ。


ポッチャマ「ポォ〜、ポチャア!」


カメール「「カメェ!」」


スターミー「フゥ!」


 その後も、ポケモン達が自らの技を駆使して文字を作ったり、それらを組み合わせて来場した観衆に向けた感謝の意を伝えるなど、ショーは上々の出来で幕を閉じた。観衆からは惜しみない拍手が送られた。そして時間は流れ、非常に大盛況で幕を閉じたショーの夜のこと。


アイリス「…。」


 ここはカスミ宅。アイリスは庭に出て、外の柔らかな風に当たっていた。


アイリス「…キバゴ、寒かったら言ってね。」


キバゴ「キバキバ。」


 アイリスはキバゴを心配し声を掛けるが、キバゴはアイリスに心配かけまいと大丈夫だと強調する。


カスミ「アイリス、少し隣良いかしら?」


アイリス「あっ、カスミ。えぇ、良いわよ。」


 そんな時にカスミが庭に出てきて、アイリスに声を掛ける。その後カスミは、アイリスの左隣に移動し、二人は並んで風に当たる格好となる。


アイリス「カスミ、今日の水中ショー素敵だったわ。お疲れ様。」


カスミ「ありがとう。ただ今回は、観衆に向けたアナウンス、ゲストのパフォーマーといろいろと新しい試みをしたから、こんなに上手くいくなんて思ってもみなかったわ。」


アイリス「ハルカ、ヒカリ、ノゾミが出て来た時はどうなるかと思ったけど、最初から最後まで見逃せなかったわ。」


カスミ「その様子だと、ハルカ達が出て来た時はそこまで驚かなかったようね。」


アイリス「まぁ、午後の部の前にハルカ達がいない時点でおかしいなとは思っていたし、ハルカ達が登場する直前にはほとんど気づいていたの。」


カスミ「本当はサトシ達をびっくりさせようと秘密にしていたんだけど、上手くいかなかったみたいでそこだけが唯一の失敗かな。」


アイリス「ハハハ…。」


 ハルカ、ヒカリ、ノゾミ登場時のサトシ達の反応が思ったのとは違うものだったので、カスミはその点が心残りだった。ただ、パフォーマンス自体はそのことを払拭させるものだったのはここで言っておきたい。


アイリス「カスミは凄いわ。ジムリーダーで、さらには水中ショーのこなしているんでしょ。おまけに短い調整の間で、ハルカ達とあんなに意気ピッタリのパフォーマンスを魅せるなんて。ハァ…。」


カスミ「ん? どうしたの?」


キバゴ「キバァ?」


 アイリスがカスミを褒め称えつつ溜息を吐いたので、カスミは首を傾げながらアイリスに問いかける。そばにいたキバゴも首を傾げながら、アイリスに声を掛ける。


アイリス「カスミ、アタシが言う事聞いてもらってもいい?」


カスミ「えぇ、もちろんいいけれど…。」


 アイリスはカスミに確認を取った後、さらに話を続ける。


アイリス「実はね、アタシ。ソウリュウジムのジムリーダー・シャガさんから次のジムリーダー候補に指名されているの。」


カスミ「凄いじゃない、アイリス! ジムリーダー直々に後継者として指名されるなんて、滅多にないことよ。」


アイリス「うん、ありがとう。でも、今自分がどうするべきか迷ってるんだ。もちろん、ドラゴンポケモン専門のジムのジムリーダーになることは、アタシにとって光栄よ。でも、まだ心の準備ができてなくて。」


カスミ「…。」


 アイリスの話を黙って聞くカスミ。そのまま、アイリスは話をさらに続ける。


アイリス「それでね、今日の水中ショーを見て改めて思ったんだ。カスミをはじめ、ジムリーダーっていろんな人がいるんだなぁって。その時、アタシには何があるんだろうとも…。カスミにデントにタケシ、それにスズナさんとアタシの周りにはジムリーダー経験者がいる中で、上手くやっていけるのかなぁ…。」


キバゴ「キバァ…。」


 アイリスは、ソウリュウシティでシャガに次期ソウリュウジムのジムリーダーについて聞かされて以来、そのことで多少の不安があった。それを今日、カスミに打ち明けたのだ。それを聞いたカスミは、


カスミ「アイリス。あたしがこのハナダジムのジムリーダーになった時、最初から自身に満ち溢れていたと思う?」


アイリス「えっ?」


カスミ「あたしもね、ジムリーダーになった当初は不安でいっぱいだったの。ジムに挑戦してくるトレーナーにどうしたら失礼のないバトルが出来るのかとか、ジムリーダー自身にとってもトレーナーにとっても実になるバトルをするにはどうすればいいのかとか、いろんなこと考えちゃってね。」


 今度は逆に、カスミの熱弁をアイリスが聞いている。カスミはさらに話を続ける。


カスミ「でも、それも数をこなしていくうちに慣れて来たわ。あとは、アイツとの出会いがきっかけかしら。」


アイリス「アイツって?」


カスミ「ほら。今あたし達と一緒に旅をしている。」


アイリス「あぁ、サトシね。」


カスミ「あたしもかつては、不安だったのに加えて自意識過剰なところもあった。でもサトシや他の仲間達と旅をしていく中で、いろんなことを学ばさせられたわ。特にサトシは、お子ちゃまなところもあるけれど、あたしや仲間がピンチの時は力になってくれたりと、何だか憎めないのよね。」


アイリス「確かに。サトシって子供だって思うときあるけれど、いざというときには力になってくれる太陽みたいな存在だわ。」


カスミ「だからね、アイリス。あなたの周りには助けになる人たちがいる。頼りすぎるのはよくないことだけど、自分一人じゃ解決できないことならあたし達はよろこんで協力するわ。もちろん、今のジムリーダーの話は、あたし、タケシ、デント、スズナさんと経験者の立場として協力する。それにポケモン達も少なからず力になってくれるわ。」


 カスミは、自分を含めてアイリスをできる限りのことは協力すると自信満々に答える。


アイリス「…カスミ。」


キバゴ「キバァ!」


アイリス「…キバゴ。」


 カスミの熱弁を聞いたアイリスはしばらく考えた後、


アイリス「カスミ、ありがとう。アタシ、気負い過ぎて知らぬ間に抱え込んじゃった。そうよ。別に一人で考え込まなくてもいい、周りを頼っても別に罰は当たらない。」


カスミ「そうよ、アイリス。その意気よ。今焦らなくてもゆっくり自分を高めていけばいいんだから。」


アイリス「はぁ〜、なんだかスッキリしたわ。カスミ、改めてありがとう。そして、これからもよろしくね。」


カスミ「あたしのほうこそ。」


 カスミのおかげで、自分の心の奥底にあった不安が少し和らいだアイリス。2人はお互い笑いあいながら、屋内へと戻っていった。水中ショーも無事に終わり、仲間同士の絆もさらに深まっていった面々。ここから、さらに一歩踏み出すのである。


続く






後書き

これで、第三章『ハナダシティで… の章』は終わりです。


執筆してみて、カスミ大活躍の章になった…

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