小説『主人公総受け物語〜アニポケ編〜』
作者:天の河()

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第32話『学園都市・タマムシシティ』

前書き

タマムシシティにある『ポケヴェール女学院』へ向かうサトシ御一行。


そこで、彼らを待ち受けるものとは一体…





 タマムシシティにある小中高一貫教育の私立学校『ポケヴェール女学院』の広報部長・アリアが、カスミ宅を訪問。その目的は、先日水中ショーにて見事なパフォーマンスで観衆を魅了したカスミを、自らの学院へ招待することだった。サトシ達も、アリアの機転で一緒に行くこととなった。


カスミ「まさか、タマムシの超有名私立学校からお呼びがかかるなんて…。今でもびっくりしているわ。はぁ〜、あたしみたいなのが本当に来て大丈夫なのかしら?」


ハルカ「カスミだけじゃないわ。わたしだって、ドキドキしているもの。」


ヒカリ「全国に知れ渡っているくらい有名な場所から招待されただけじゃなく、コンテストの世界では知らない人はいないあのエリーサ様にも注目されるなんて…。やっぱり、カスミはすごいわ。」


アイリス「あたし、その学校についてはよく知らないけれど呼ばれた本人だけじゃなく周りが緊張するくらいに凄いことなんだ…。」


ヒカリ「そりゃあもう、『ポケヴェール女学院』と言ったら、全国のトレーナーやコーディネーターを目指す女の子が憧れる学校よ。」


 アリアの訪問からしばらくして、カスミ宅を出てタマムシシティを目指すサトシ達。特にイッシュ組を除く女性陣は若干の緊張感はあるが、目的地の『ポケヴェール女学院』の話題で盛り上がっていた。ただ、アリアが言っていた学院内の『サトシ・ファンクラブ』の件になると、


カスミ(ポケヴェールに、サトシのファンクラブが出来ていたのも驚きだったわ。)


ハルカ(これは、確実にライバルが増えるかも…。)


アイリス(一緒にサトシと旅をしているとはいえ、うかうかしていられないわ…。)


ヒカリ(今はこういうことには興味なさそうだけど、サトシだって年頃の男の子。いつ、サトシがなびく様な女の子が出てこないとは限らない。油断大敵ね。)


ベル(……。)


 ポケヴェール女学院は日本全国の女子の憧れの学校であると同時に、とにかく美少女揃いの学校でも有名である。入試の際の選考基準に外見の良し悪しは含まれてはいないが、何故かそういった評判が出回っている。ちなみに、カスミ宅を訪問したアリアもその部類に入るとか。ただ、アニポケヒロインズの面々はそこまで悲観していないようだ。同じサトシLOVEなベルが黙り込んでいるのは若干気になるが…


タケシ「ポケヴェールには沢山のお姉さま方もいらっしゃる。俺も行ってみたかったんだが、俺にはタマムシでやらなければいけないことがあるんだ。」


サトシ「タケシは、一緒に来ないのか?」


タケシ「あぁ、俺はタマムシ大学でポケモンドクターに関する資料を探さなきゃいけないんだ。それと、あるポケモンドクターの専門家に呼ばれていてな。そういうわけで、俺は一緒に行けないんだ。」


デント「それなら、仕方ないね。」


ヒカリ「タケシもあたしやサトシと別れてから、頑張っているのね。」


タケシ「あぁ、俺の夢は世界一のポケモンドクターになることだからな。みんな、本当に済まない。」


 タケシがタマムシへ行くのは、元々の目的があってのことだった。タケシは途中で抜けることをサトシ達に詫びつつ、そのことを伝えた。


ベル「…あの、タケシ君に続いて申し訳ないんだけど、あたしも用事があって一緒に行けないの。」


アイリス「えっ、ベルも?」


ベル「うん。この前、ニビシティでふたごじまの話をしたでしょ。そのふたごじまの事を調べるのに、タマムシ図書館にいかなきゃいけないの。急で申し訳ないんだけど、そういうことであたしも抜けていいかしら?」


サトシ「別に構わないよ。タケシもベルも、あとで落ち合ってくれればいいよ。」


デント「それに、ふたごじまの件は僕たちも一緒に行くって合意していたしね。」


ベル「みんな、ありがとう。そして、ホントにごめんなさい。」


 タケシに続いて、ベルもサトシと一旦別れて別行動をとることとなった。ベルは、これからサトシ達が向かう予定のふたごじまについて調べものがあるようだ。しばらく歩いてタマムシシティに到着した後、タケシとベルはそれぞれの目的を果たすためにサトシ達から離れる。付き添いで、マサトはタケシと、リュウカはベルと同行することも急きょ決まる。残された面々はポケヴェールに向けて再び歩き出し、またしばらく歩いて本来の目的地の『ポケヴェール女学院』に到着した。


アリア「! あっ、皆様お待ちしておりました!」


カスミ「こんにちは、アリアさん!」


 校門の前では、アリアが出迎えていた。サトシ達の姿に気づいたアリアは、早速サトシ達に声を掛ける。


アリア「あれ? お二方ほど姿が見えないのですが…。」


カスミ「あぁ、タケシはタマムシ大学へ、ベルはタマムシ図書館へ行きました。」


ヒカリ「2人とも、調べ物があるそうです。」


アリア「そうでしたか。ここは学園都市・タマムシシティ。街のあらゆる施設には学術的な文献が揃っておりますからね。」


 行政の方針により、ここ近年で『学園都市創造計画』なる都市計画がタマムシシティで遂行されている。タマムシシティは古くから学問の都として有名で、多くの学校教育機関ならびに公的研究機関が設置されている。中でも、タマムシ大学は国の最高学府として有名で、全国ないしは世界中から研究者が来訪するほどその名は知れている。また、入学試験は超が幾つもつくほど難関で、校門の前では受験者の多くが涙を流すという光景も見られる。


アリア「さて、立ち話もなんですし、エリーサ様が皆様をお待ちかねです。私が生徒会室へ案内します。」


カスミ「あっ、はい。」


 アリア誘導のもと、サトシ達は校門をくぐり学院の敷地内へと入っていく。校庭には、仲良く談笑する者、いかにも難しそうな書物を読むことに没頭する者、自らの自慢のポケモンを披露する者など各々の時間を楽しんでいる光景が広がる。サトシ達がしばらく歩いると、中世ヨーロッパ風の建築構造の地上7階はあろう大きな校舎が目の前に見えた。サトシ達はその荘厳さに圧倒されつつも、校舎内へと入っていく。


ヒカリ「さすがはポケヴェール女学院。校庭もさながら、校舎内も豪華なつくりね。」


アリア「えぇ。私たちの学校は1つの建物だけでも、数十億円はくだらないですよ。」


カスミ「た、建物だけで数十億円!?」


サトシ「す、すげぇな(汗) じゃあ、横にあるこのポケモンのオブジェとかも…。」


アリア「そのオブジェには、30カラット以上の厳選されたダイヤモンドが装飾されているのです。確か、百億はゆうに超していますよ。」


デント「イッツ・アンビリィバブル・タァイム! た、建物より高いとは(激汗)」


アイリス「あ、アタシ、なんだか目まいが…。」


ヒカリ「あ、アイリス、しっかりして!」


アリア「ふふふ、面白い方たちですね。見ていてこっちも楽しくなってきます。」


カスミ「あ、アリアさん(汗)」


 アイリスが目まいを起こすほど、この『ポケヴェール女学院』は敷地内全体で荘厳かつ豪華な構造だった。普段こういった場所に歩きなれていないせいか、サトシ達はかなり神経質に歩いていてぎこちなかった。アリアはその様子を楽しんでいるようだが、果たしてこんな感じで大丈夫なのだろうか…。


ヒカリ「あ、アイリス、大丈夫?」


アイリス「う、うん、なんとか…。」


アリア「私も少々悪ノリが過ぎましたわ。失礼しました。気を取り直して、生徒会室へ向かいましょう。」


 この一連の出来事で、サトシ達は改めてアリアを敵に回してはいけないと決心したとか。


アリア「こちらが、生徒会室です。」


 サトシ達は、生徒会室へ到着した。そして、アリアが扉をノックする。


アリア「広報部長のアリアです。ハナダシティのカスミ様をお連れしました。」


『わかりました。どうぞ中へ。』


 アリアが生徒会室へ来た用件を言うと、扉越しからどこか威厳ある女性の美しい声が聞こえてきた。恐らく、この声の主が『コンテスト界の若き女帝』のエリーサであろう。


アリア「それではまず、カスミさん。私と一緒に中へ入りましょう。他の方々はもうしばらくお待ちください。」


カスミ「はい。」


サトシ「分かりました。」


 アリアが生徒会室の扉を開け、彼女に促されるがままにカスミは部屋の中へと入っていく。サトシ達は次の指示があるまで待機のようだ。生徒会室にいるであろうエリーサ。一体、どんな人物なのだろうか…


続く







後書き

アリア、エリーサ、そしてこれから登場予定のポケヴェールの学生は、今後の物語の進行でも重要なキャラになっていきます。

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