小説『主人公総受け物語〜アニポケ編〜』
作者:天の河()

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第56話『ふたご島と待ち構える人物』


前書き

今回、新たなオリキャラが登場します。


かつての旧版で一度登場し、そのまま再登場することなく打ち切りとなってしまった人物です。





 アンズから貰ったふたご島行き連絡船のチケットを手にして、セキチクの波止場へとやって来たサトシ達。波止場のスタッフにチケットを見せて、その連絡船へと乗船していく。


カスミ「ん〜、海風が心地良いわ〜」


ヒカリ「ホント、こういう風情のあるのって良いものだわ」


 現在サトシ達は、セキチク湾沖に吹き付ける海風に当たりながら船旅を満喫している。この連絡船をはじめとしてここ最近のセキチクシティは観光都市として開発を推進している。セキチクジムはもちろん、サトシ達が大量にポケモンをゲットした『パルパーク』、そしてこのセキチク湾岸。こうした地域資源を活かした官民一体の取り組みで、地域開発に取り組んでいる。


マサト「あっ、あれがふたご島だね」


マサト「二つの岩の洞窟が隣り合わせになっているね。正に名前通りの島だよ」


ベル「ふたご島の本島には、この連絡船が泊まれるような波止場がないの。だから、この連絡船が行くのは近くの東グレン島ってところ」


アイリス「この連絡船の行き先は分かったけれど、肝心のふたご島にはどうやって行くの?」


 この連絡船は名目上ふたご島行きとなっているが、正確にはふたご島近くにある東グレン島とセキチクシティを往復する連絡船である。


ベル「まず東グレン島のポケモンセンターに行って、そこである人物と落ち合う予定よ。その人にふたご島まで、ボートで連れて行ってもらうの」


タケシ「そういうことか」


 ベルによれば、東グレン島にあるポケモンセンターにてある人物がベルの到着を心待ちにしているとのこと。その人物がふたご島でのガイドを担当するようだ。


ベル「さぁ、島にも上陸したことだし、早速ポケモンセンターに向かいましょう」


 セキチクシティの波止場を出港して十分余りで、サトシ達は東グレン島に到着する。ここ東グレン島はポケモンセンター以外は民家が数軒あるくらいで特に目ぼしいものはないが、古くから漁業が盛んな島である。サトシ達は船から降りて島に上陸すると、すぐに島のポケモンセンターへと向かう。とは言っても、波止場から目と鼻の先にあるのだが…


ベル「うーん、あっ、いたいた」


 ポケモンセンターに入って辺りを見回したベルはお目当ての人物を見つけ、その人物のもとへと向かう。その人物は背丈はタケシとデントと同じくらいで、髪型はブラウンのロングヘアー、グラマラスのモデル体型の女性である。


サトシ(ん? あの人、どこかで会ったことがあるような…)


 遠目からその女性を見ていたサトシは、その女性に僅かながらではあるが見覚えがあった。ベルと話し込んでいるその女性もサトシ達の姿に気づき、


???「あら? サトシじゃない!」


サトシ「えっ、俺の名前…」


 サトシが言い終わる前にサトシの名を呼んだその女性は駆け足でサトシの下へと向かっていき、


ギュッ!


サトシ「!?」


ヒロインズ「「「「!?」」」」


ベル「えっ、えぇぇぇぇぇ!?」


 いきなりサトシに抱き着く。あまりに突然の出来事にサトシはもちろんことながら他の面々(特に女性陣)も驚きを隠せなかった。


???「会いたかったわ〜、サ・ト・シ!」


サトシ「う、うぅぅぅ…」


ヒロインズ「「「「……」」」」


ベル「い、一体どどどどうなってるの!?」


 サトシに抱き着いた女性は余程サトシに会えたのが嬉しかったのか、自らの腕によりさらに力を入れて、サトシを抱きしめる。女性に抱き締められているサトシは女性の豊満な胸に顔を埋める形で苦しそうにもがき、ヒロインズは恨めしそうに女性を睨み付け、ベルは未だ事態が把握できず、タケシ、デント、マサト、リュウカに至っては二次被害を受けないように離れて様子を伺っている。


???「随分と大きくなったわね、サトシ」


サトシ「え、えっと…」


???「やだ、あたしの事忘れちゃったの? マサラタウンでよく遊んであげたじゃない」


サトシ「…!? ひょっとして、ミドリお姉ちゃん!?」


???「ふふふ、やっと思い出してくれたわね」


 女性の名前はミドリ。彼女の話す内容から、サトシと同じマサラタウンの出身のようである。


サトシ「驚いたなぁ、ベルの言っていた待ち人がミドリお姉ちゃんだったなんて」


ミドリ「それはこっちのセリフよ。アララギ博士から紹介してもらったベルちゃんがサトシと一緒に来るなんて思いもしなかったわ」


ベル「あ、あたしもびっくりした。これから会う人がサトシ君と知り合いだったなんて、普通思いもしないわ」


リュウカ「まぁ、確かに…」


 しばらくサトシはミドリに抱き着かれるという状況に立たされていたが、今こうして解放されて以降は他の面々も交えてこうして他愛もない会話を楽しんでいる。


ヒカリ「ところで、ミドリさんはサトシとどういった御関係で?」


ハルカ「サトシと同じマサラタウン出身だってことは分かりましたけど、さっきの『ミドリお姉ちゃん』って…」


ミドリ「実際に血のつながりはないけれど、あたしとサトシは幼いころからの仲なのよ。他にもあたしの幼馴染の二人がサトシと仲良かったのだけれど、サトシは特にあたしの方になついていたわ。あたしも悪い気はしなかったから、サトシの事を弟のように可愛がっていたのよ」


デント「つまり、幼き頃からの関係が姉弟のように深きものだということだね。ん〜、なんとも仲睦まじい光景が目に浮かんで来るよ」


サトシ「そういや、ヨウ兄ちゃんやエン兄ちゃんも今頃どうしているかな…」


ミドリ「あたしも最近あの二人とは連絡取っていないけど、アイツ等なら大丈夫よ。それにしてもあたしのことは忘れていたのに、ヨウとエンのことは覚えていたのね。なんだか悲しいわ…」


サトシ「う、うわぁ、ごめん、ミドリお姉ちゃん!」


ミドリ「ふふふ、冗談よ♪ やっぱり、サトシっていつまで経っても可愛いわ〜」


サトシ「もう! からかわないでよ!」


 このシーンからも分かるように、ミドリはサトシの事を自らの弟のように可愛がっている。ミドリの他にも二名ほどサトシと仲の良かった人物がいるのだが、それはまた後の展開で。


カスミ(ミドリさんって、かなりサトシのこと気に入っているのね)


ハルカ(わたしとマサト以上に仲良しかも)


ヒカリ(でも何だか、妬けてきちゃうわ)


アイリス(サトシももう少し、こういうのは成してくれればよかったのに。ホント、子供なんだから)


ベル(でもビックリしたわ。だってミドリさん、サトシ君の顔を見るなりいきなり抱き着くんだもの…)


 サトシとミドリの関係を大まかに理解して、何故か内心一安心した様子のヒロインズとベル。


ミドリ(ふふふ、もしかしてあのコ達ってサトシのこと…)


 ミドリは勘の鋭い性格をしているのか、自らに対するヒロインズとベルの反応を見るなり、彼女たちのサトシに対する好意を汲み取ったようだ。あまり敵には回したくない人物である。


ミドリ「みんなはるばるここまでやって来て、疲れているでしょ。今日はゆっくり休んで、明日からがんばりましょうね」


ベル「えっ、あっ、はい」


またしばらく会話を楽しんだ後、明日からふたごじまの探索をすることにして、本日はサトシ達の疲労も考えてゆっくり休養を取ることにした。


ミドリ「(ボソッ)あたしがサトシの事を好きなのは、あくまでも弟のような人としてだからね。だから心配しなくてもいいわよ、ふふふ」


ヒロインズ+ベル「「「「「!?」」」」」


 解散間際、ミドリが女性陣(リュウカ除く)に対して呟き、彼女たちを赤面させたというのは別の話。ミドリの登場により、これからもある意味波乱含みの展開になりそうである。


続く





後書き

カントー編もそろそろ佳境に入っていきます。

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