小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第20話 HOLIDAY Part3


アゲハ
『レナがいなくなったって、どういうことだ!!』

オレは急いでグレイに問い詰める。

グレイ
「ナツを探している途中、レナがトイレに行きたいって言い出したんだ。そのときにちょっと目を放したらいつの間にか……すまねえ、アゲハ」

レナは何も言わずにいなくなるようなやつじゃねえ。ということは、まさか…

アゲハ
『急いで探さねえと!!アイツ何か厄介なことに巻き込まれたかもしれねえ!』

ハッピー
「ええ━━!!?」

ナツ
「何だって!?それなら早く見つけねーとヤベェじゃねえか!!」

ミラ
「グレイ、エルザはどこにいるの?」

グレイ
「エルザはもうレナを探しに行ってる。オレはお前らへの連絡役としてここに残ったんだ」

アゲハ
『分かった、すぐに探しに行くぞ!!お前らはまずエルザと合流してくれ』

ミラ
「アゲハはどうするの?」

アゲハ
『オレの場合、一人で探した方が効率がいい、先行ってるぞ!!』

早く見つけてやんねぇと……

オレはライズを発動して走り出そうとする。

ミラ
「待って!!」

アゲハ
『ミラ!?』

走り出そうとするオレをミラが呼び止めた。

ミラ
「何かに巻き込まれても、無茶はしないでね」

アゲハ
『………分かった』

オレはミラの言葉に頷くとレナを探すため走り出した。

とりあえず高いところに登って周りを見渡す。

アゲハ
『くそ、見当たらねえ!!』

それらしい人影は見つからなかった。
風導八卦白蛇【ホワイト・フーチ】を使って探そうにも今手元にはレナの持ち物はない。
手当たり次第探すしかないってことだ。

アゲハ
『待ってろよ、絶対見つけ出してやる!!』

近くにはいないと判断し、オレは再び走り出した。
ライズで身体能力を上げ高速でテーマパーク内を探すが見つからない。

アゲハ
『くそっ!!ここにもいないか!!』

すでに敷地の半分は探し終えたが一向に見つからない。
焦る気持ちばかりが体を支配する。

レナ……どこにいるんだ……

キィイイイイイ

アゲハ
『!!?』

突然頭の中にノイズが響く。

アゲハ
『何なんだこの音は!!?』

〈夜科アゲハ……〉

声が……!!!

脳に直接誰かが話しかけてくる。
この感覚は……

アゲハ
『テレパシーか…!!!』

〈ご名答、さすがだな〉

アゲハ
『そんなことより誰だテメェは!!』

〈そう焦らなくても教えてやる。私はお前の妹を誘拐した者だ〉

アゲハ
『なっ!?』

〈レナ…という名前だったかな?返してほしければこちらの指定する場所へ一人で来い〉

アゲハ
『テメェ…!!!』

この声の主がレナを……!!

〈来たくなければ来なくてもいい、そのときはお前の代わりにこいつをもらっていくだけだ〉

アゲハ
『ふざけんな!!レナに傷一つでもつけてみろ…!!
地の果てまでテメェを追いかけてぶっ殺してやる…!!!』

〈お前がこちらの要求に素直に応じれば手は出さない。こちらの狙いはお前一人だしな〉

アゲハ
『分かった、すぐに行く。場所はどこだ?』

〈現在立ち入り禁止となっている、来年テーマパーク内にできるホテルの建設予定地のあるエリアだ。
そこでお前の妹を預かっている。詳しい事はそこで話す〉

ここまで話してレナをさらった犯人は通信を切断した。

オレはすぐに地図で指定された場所を確認し、全速力でそこへ向かった。

アゲハ
『待ってろよ……レナ…!!』



数分後、オレは指定された場所にたどり着いた。

アゲハ
『ここか……レナはどこに……』

オレは辺りにレナがいないか周りを見渡して探す。
結構広いな、さすがにホテルの建設予定地、ってか?
レナを探して歩き回っていると遠くから声が聞こえてきた。

レナ
「アゲハ兄!!」

アゲハ
『レナ!!』

声のした方へ向かうと、檻に閉じ込められているレナを見つけた。
すぐさま檻から出そうと駆け出す。

???
「止まれ!!」

アゲハ
『!!!』

突然レナの目の前に白衣を着た黒髪ロン毛の男が現れ 、オレに止まるよう命じる。
レナに危険が及ぶかもしれない以上従うしかなかったので仕方なく止まる。

アゲハ
『お前が犯人か!!』

???
「そうだ、私の名はヴァイス・クロイツバルト。このテーマパークのオーナーだ。
以後よろしく、夜科アゲハ君」

オレに自己紹介する犯人、ヴァイス・クロイツバルト。

アゲハ
『テメェが何者かなんてどうでもいい!!
何でこんなことをする!!レナをさらって何をするつもりだ!!』

オレは声を荒げヴァイスに問いかける。

ヴァイス
「こんな小娘に用はない。私の目的はさっきも言った通りお前だよ、夜科アゲハ」

アゲハ
『オレ……!?』

ヴァイス
「そうだ。私は魔導士であると同時に研究者でもあってね、今は究極の魔導師を作る研究をしているのだよ。
そしてその研究の実験材料として白羽の矢が立ったのが……」

そう言ってオレを指差すヴァイス。

アゲハ
『オレ…というわけか』

ヴァイス
「そうだ。お前の力は素晴らしい。高い潜在魔力に加えてPSIと呼ばれる力。そして戦闘センス。
最高の素材だ。お前を手に入れれば私の研究は一気に完成へと近づく。
しかし問題があった。私の力ではお前を捕らえることはできない」

アゲハ
『だからレナを人質にとったのか…!!!』

オレは怒りを露にしてヴァイスを睨み付ける。
しかしヴァイスはそんなもの意に介さないかのように話を続ける。

ヴァイス
「その通り。まともにやり合っても勝ち目はないのでね、餌に使わせてもらった」

アゲハ
『クズが…!!』

ようやくレナが拐われた原因が分かった。
こんな下らねえことにレナを巻き込むやがって、ただじゃ済まさねぇぞ!!

レナ
「ごめん、アゲハ兄。私が捕まったりしなければ……」

檻の中で自分を責めるように言うレナ。

アゲハ
『気にすんな、すぐに助けてやるからよ』

テレポーターでアイツの後ろに回り込んでぶっとばしてやる。

ヴァイス
「くくく、できるものならやってみろ。こちらには人質がいるのだからな」

うるせえ、その自信へし折ってやる!!

オレがテレポーターを発動しようとしたそのとき、

アゲハ
『がぁああっ!!?』

PSIを発動するイメージの段階で体に強烈な電流が駆け巡った。
あまりの痛みに思わず膝をつく。

レナ
「アゲハ兄!!!」

ヴァイス
「はははははははは!!!
どうした?すぐに助けるんじゃなかったのか?ん?」

ヴァイスが笑いながらオレの方を見てくる。
一体、何が起こったんだ…!?

アゲハ
『テ、メェ…!!何…しやがった……!?』

オレは手放しそうになった意識を繋ぎ止めヴァイスに問う。

ヴァイス
「フフフ、お前の事は色々と調べさせてもらった。PSIという力についても詳しくな…
お前はPSIを使う際に強いイメージを創り上げるのだろう?
私はお前が強いイメージを創り上げるのに反応して強力な電流が流れるようお前に魔法をかけたのだ」

アゲハ
『何だと!!?』

いつの間に……!?こいつは今までオレに一度も直接接触はしていないはずだ。
一体どうやって…!?

ヴァイス
「フフフ、困惑しているな?どうやって自分に魔法を仕掛けたのか疑問に思っていることだろう。
腕を見てみろ、答えがわかる」

アゲハ
『腕……?…………っ!!これは…!!』

レナ
「アゲハ兄の腕輪が光ってる…?」

このテーマパークに入場する時に着けた腕輪が鈍い光を放っている。

アゲハ
『この腕輪は…入場するときに着けた……』

ヴァイス
「そうだ、その腕輪に私は魔法を仕掛けておいた。私の半径200メートル以内にお前が入ると発動するようなっている。
さらにその腕輪には魔力を押さえる機能もついている」

アゲハ
『入場の際、腕輪を着けるよう言っていたのはこの為か…!!』

ヴァイス
「その通り。もっとも今このテーマパーク内でお前と同じ腕輪をつけている人間はお前とお前の仲間だけだがね」

アゲハ
『他のは全部ダミーって訳か、オレらだけに狙いを絞ったな?』

ヴァイス
「ご名答。お前たちを我がテーマパークに招待し、部下にお前たちが来た際には今お前の着けている腕輪を渡すよう言っておいた。
そして今!お前は私の目の前にいる。PSIも魔法も使えず、何もできない状態で。
すべては計画通りだ!!」

つまりミラに懸賞の無料券が送られてきたときからこの計画は始まっていたってことか…!!
くそ!!まんまと踊らされた……!!

ヴァイス
「さて、種明かしもすんだことだし、そろそろ我々についてきてもらうぞ」

アゲハ
『ハッ!だーれがお前らなんかについて行くかよ!!』

ヴァイス
「無駄な抵抗はよせ。この人数を相手に逃げ切れると思っているのか?」

ヴァイスがパチン、と指を鳴らすと、数十人の男たちが現れた。

レナ
「アゲハ兄!!私のことはいいから早く逃げて!!」

レナがオレに逃げろと叫ぶ。
確かに一度退いて体勢を建て直した方がいいのかもしれない。
でもなレナ……お前を置いて一人だけ逃げるなんてオレにはできねぇよ。

オレは目の前にたたずむヴァイスとその部下たちを睨みつける。

強くイメージすると体に電流が襲いかかる。
なら、無意識でもなんとか発動できるライズに頼るしかねえ。
バーストを使えねえのは痛いがやれるだけやってやらぁ!!

アゲハ
『行くぞぉおおおおお!!!!』

ヴァイス
「殺さないよう引っ捕らえろ!!」

「「「「おおおおおおおお!!!!」」」」

ヴァイスの命令にしたがって男たちがオレに向かってくる。

アゲハ
『うおおおおおお!!!』

オレは真正面から男たちを迎え撃った。








ヴァイス
「素晴らしい……力を使えない状態でこれほどの人数を倒すとは」

ヴァイスが何か呟いたが今のオレにはほとんど聞こえていなかった。

ヤベェ、頭がくらくらする。
もう……立っているのもキツイ。
多分、何本か骨も折れてんな。

さすがに無意識に発動するライズだけじゃ敵のすべての攻撃を防ぐことはできなかった。

大半は倒したんだけどな、まだ少し…残ってるか……
オレの目の前には、倒れているヴァイスの部下たちがいた。
大体は倒したが、まだ何人か残ってる上に……もう、体が動かねえ。
血を流しすぎた。もう意識を保てねえ……

レナ
「アゲハ兄ぃ、もうやめてよ……
これ以上戦ったら、本当に死んじゃうよ!!」

レナ、心配いらねえよ。オレはアクノロギア相手に生き残ったんだぜ?
これくらいじゃ死なねえよ。
だから……泣くな…レナ

「いい加減……くたばれ!!」

ゴッ!!

オレは倒し損ねたヴァイスの部下に鈍器で殴られ、意識を手放した。




━Side レナ━

アゲハ兄が殴られて倒れた。

私のせいで……私が捕まったりしなければ、こんなことにはならなかった。
私がもっと強ければ……

ヴァイス
「夜科アゲハをつれて戻るぞ!」

アゲハ兄が連れてかれるなんてことにはならなかったのに……

「このガキはどうするんで?」

部下らしき人がヴァイスに問う。

ヴァイス
「放っておけ。どうせ何もできまい」

そう言ってヴァイスはアゲハ兄を連れていこうとする。

嫌だ、嫌だ!!アゲハ兄が連れてかれるなんて!!
アゲハ兄のおかげで私は救われた。
アゲハ兄のおかげで私はお父さんが死んじゃっても幸せに暮らすことができた。
私を救ってくれたアゲハ兄を救いたい!!
でも……私にはアゲハ兄を助けられるだけの力がない。
もう嫌だ。何もできずにただ見ているだけなんてもうしたくない!!

そんな間にもヴァイスはアゲハ兄を連れてここから離れようとしている。
もう時間がない。

レナ
「お願い!!神様でもなんでもいい!!
私に…アゲハ兄を救う力をください!!」

私が自分の願いを叫んだ瞬間私のからだが紅い光に包まれていった。
腕輪がなぜか壊れていく。
そして、私のからだが完全に光に包まれた瞬間……

ドォオオオオオン!!!

ヴァイス
「何っ!?」

私は檻を壊して外に脱出した。

ヴァイス
「何だ……その姿は……?
まるで……紅い…天使……」

振り返ったヴァイスが見たものは、背中から深紅の羽を生やした……私の姿だった。


レナ
「アゲハ兄を…返して!!」


今、この瞬間……私は…戦う力を手に入れた。

-21-
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