小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第21話 HOLIDAY Part4



━Side レナ━


気づいたら、私の背中から深紅の羽が生えていた。

なんだろう、すごい力を感じる。この羽から…なのかな……?
今なら、どんなことでもできそうだ。

レナ
「今助けるからね、アゲハ兄」

私はヴァイスたちを見据える。

ヴァイス
「バカな……!こんな10歳ぐらいの小娘が腕輪で押さえきれないほどの魔力を持っているだと!?
……フ、ハハハハハ!面白い、お前も連れていくことにしよう。
今日はラッキーだ。素晴らしい素材が二つも手に入るのだからな。あの小娘を捕らえろ!!」

ヴァイスの命令にしたがってアゲハ兄が倒しきれなかった男たち10人ほどが私を捕らえようと向かってくる。

レナ
「フェザーショット」

私は紅い羽からいくつかの羽根の弾丸を打ち出した。羽根は目では追えない程のスピードで男たちに襲いかかる。

「ぐぁっ!!」

「な、何だ!?羽根っ!?」

「避けらんねぇ!!うわぁっ!!」

男たちの半数はフェザーショットをくらって動けなくなった。
殺傷能力は低いから全員生きてる。でもしばらくは動けないはず。

レナ
「すごい……!!意のままに操れる。
まるで昔からずっと使っていたかのような不思議な感覚」

今日、初めてこの力を使うはずなのに自由自在に操れる。

レナ
「これならいける…!!行くよ!!」

私は残っているヴァイスの部下たちに向かっていく。

「っ!!消えた!!?」

「どこだ!!」

レナ
「フェザースラスト!!」

「「「うあああああああああ!!!」」」

私は羽を刃物のように変化させ男たちを切り伏せる。
この魔法…すごい。私の思いに勝手に答えてくれるみたいだ。
私がしたいと思う動きを自動的にしてくれる。男たちの攻撃などものともしなかった。

レナ
「はぁあああああああ!!!」

男たちは次々と倒れていった。

しばらくして、この場所に立っているのは私とヴァイスだけになった。

レナ
「残っているのはあなただけだよ。観念してアゲハ兄を返して」

ヴァイス
「観念?夜科アゲハを返す?ふはははは、何を言っているんだ。
忘れたのか?私も……魔導士だということを……」

レナ
「え…!?」

ヴァイスは私に向かって手をかざし、何かを放った。

ドン!!

レナ
「きゃっ!!」

私は体に強い衝撃を受けて、吹き飛ばされた。魔法は使えるようになったけど肉体は弱いままだったので、今の衝撃で私の体はボロボロになった。

レナ
「かはっ!!ゲホッゲホッ!!な、何…?今の……?」

ヴァイス
「なに、ただ魔力を凝縮して放っただけだ。
これでも昔は魔導士ギルドに所属していてね。
少なくとも戦闘経験の全くない今のお前には負けんよ」

レナ
「そ…んな……!!」

今の私じゃアゲハ兄を助けられないの?
せっかく戦う力を手に入れたのに……
また、何もできずに……

ヴァイス
「さて、そろそろお前も捕らえさせてもらう。抵抗できないように適度に痛め付けるか」

ヴァイスが私に近づいてくる。
このままじゃアゲハ兄も私も連れ去られてしまう。そんなの……嫌だ!!

レナ
「まだ…負けてない!!フェザースラスト!!」

私は最後の力を振り絞ってヴァイスに向かって攻撃する。

ヴァイス
「確かに魔力だけなら私を軽く越えている。しかしそれだけで勝てるほど魔の道は甘くないのだよ」

ヴァイスは私が放った斬撃をすべて避け、再び私に手をかざした。

ヴァイス
「はぁっ!!」

レナ
「きゃあああああああ!!!!」

ヴァイスの掌から放たれた衝撃波が再び私を襲う。
私は悲鳴をあげて地面に倒れた。

もう、今にも意識を失ってしまいそうだ。
ごめん、アゲハ兄……

アゲハ
『レナ……』

!!!アゲハ兄…!?

意識を必死に繋ぎ止め、倒れているアゲハ兄の方を見る。
アゲハ兄はうっすら目を開けて私を見ていた。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



アゲハ兄がパクパクと口を動かし私に何かを伝える。

レナ
「!!!」

アゲハ兄の意図を理解した私は頷き、最後の力を振り絞ってある一点に狙いを定める。

そんな私の様子にヴァイスが気づいた。

ヴァイス
「どこを狙って……
!!!貴様…まさか!!」

ヴァイスが私のやろうとしていることに気づく。
慌てて止めようとするヴァイス。

レナ
「もう遅いよ、フェザーショット・ソニック」

私は一枚の羽根にのみ力を注ぎ込み、勢いよく放った。

放たれた羽根はアゲハ兄の腕輪に当たり、腕輪を破壊した。

ヴァイス
「しまった!!腕輪が……!!!」

ヴァイスが焦ったように言った。

レナ
「あとは頼んだよ、アゲハ兄」



ゴォオオオオオオオオオ



アゲハ
『ああ、ありがとな、レナ。後は任せとけ』

私は最後に巨大なオーラと共に立ち上がるアゲハ兄を見て、意識を手放した。



━Side Out━




━アゲハSide━


レナの悲鳴が聞こえた。一度手放した意識が急浮上する。
目を開けた、オレが見たものは紅い羽を出してヴァイスに攻撃しているレナだった。

レナ…お前…その姿……魔法が使えるようになったのか?いや、そんなことよりボロボロじゃねえか!!
くそ、体が言うことを聞かねえ、せめてこの腕輪さえ外れれば……
でもどうやって…!?

レナ
「きゃあああああああ!!!!」

レナがヴァイスの魔法をくらって倒れた。

レナ!!くそ、何とかしてこの腕輪をはずさねぇと……

不意にレナの背中に生えている紅い羽が目に入った。

もう、これしかねぇ

アゲハ
『レナ……』

オレは力を振り絞ってレナに呼び掛ける。
オレの声に気づいてくれたようだ。レナがオレの方を見る。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


オレはヴァイスに気づかれぬよう、口の動きだけでオレの腕輪を壊してくれ、とレナに頼んだ。
レナはオレの意図に気づいたようでオレに向かって頷き、羽を構えた。

ヴァイス
「どこを狙って……
!!!貴様…まさか!!!」

気づかれた!?
くそ、間に合ってくれ!!

レナ
「もう遅いよ、フェザーショット・ソニック」

レナの放った羽根はまさに音速とも言えるスピードで放たれ、オレの腕輪を破壊した。

ヴァイス
「しまった!!腕輪が……!!!」

よくやったな、レナ。こんなにボロボロになるまでよく頑張った。

レナ
「あとは頼んだよ、アゲハ兄」

レナ……すぐに治療してやる。だからちょっとの間だけ待っててくれ。
すぐに終わらせるから……

オレはゆっくりと立ち上がり、魔力とPSIを一気に解放した。



ゴォオオオオオオオオオ



ヴァイス…テメェはぜってぇ許さねぇ!!!


アゲハ
『ヴァイス……』

オレはヴァイスを睨み付ける。

ヴァイス
「くくくくく、やはり素晴らしい。その魔力、そしてPSI。お前は最高の研究材料だ。
必ず手に入れてやる。
いくらPSIが使えるようになったからといってその怪我ではなにもできまい。お前は結局私に捕らえられる運命なのだよ。
フハハハハハハハハ」

アゲハ
『言いたいことはそれだけか?』

ヴァイス
「何?……ぐはぁっ!!!」

オレは一瞬でヴァイスの懐に入り込み、渾身の力でヴァイスの腹に拳を打ち付けた。

アゲハ
『うおおおおらぁあああっ!!!!』

ドカァン!!

オレに殴られて吹き飛んだヴァイスは数十メートル吹っ飛んでようやく止まった。

ヴァイス
「な、何だこの力は!!あの怪我でこれ程までの力が出せるはずが……なっ!!!」

ヴァイスはそこまで言って言葉を失った。
オレはそんなヴァイスの目の前に立つ。

アゲハ
『驚いたか?』

ヴァイス
「怪我が治っている…?」

ヴァイスが見たものは怪我ひとつないオレの姿だった。

アゲハ
『あの程度の怪我ならライズで治癒能力を上げりゃすぐに治る』

オレはPSYREN終盤の影虎さんと同じように超再生能力で怪我を治した。

ヴァイス
「そんな馬鹿な……」

ヴァイスは驚愕して目を見開いている。

アゲハ
『覚悟しろよ。こんなもんじゃ済まさねぇぞ!!
ヴァイス!!!!』

ドゴォン!!

オレはヴァイスの顔面を思いきり殴り飛ばした。

ヴァイス
「ぐはぁっ!!」

再び吹き飛ばされたヴァイス。
しかしすぐに受け身を取り、立ち上がる。タフな野郎だ。

ヴァイス
「ぐっ!!まさかここまでの力を持っていたとはな。ますますお前が欲しくなった。
奥の手を使わせてもらう」

アゲハ
『奥の手?』

ヴァイス
「フハハハハハハ!!もう貴様は逃げられんぞ!!
召喚!!来たれ、我が僕たち!!」

ヴァイスが何かを唱え、手を地面につけると突然ヴァイスが煙に包まれた。

アゲハ
『何だ!?』

煙が晴れて、オレの視界に入ったのは何体もの魔獣たちとそれらを率いるヴァイスだった。

ヴァイス
「もうお前に勝ち目はない」

アゲハ
『なんだと…?』

ヴァイス
「行け!!召喚獣共!!」

ヴァイスが召喚獣たちに命令を出し、召喚獣たちが一気にオレに襲いかかってきた。

ヴァイス
「こいつらは私の魔力で魔水晶【ラクリマ】から作り出した魔獣たちだ。一体一体がかなりの強さを持つ。
これで終わりだ、夜科アゲハ!!!」

召喚獣たちが襲いかかってくる中、オレは気を集中させる。

アゲハ
『暴王の月【メルゼズ・ドア】』

オレはPSIの力を集中させ、黒いバーストでできた球体を作り出す。

グォオオオオオオオオオオ!!!!

召喚獣の一体がオレに噛みつこうとしてくる。

アゲハ
『遅ぇよ』

ドン!!

オレに襲いかかってきた召喚獣は一瞬で体を暴王の月に喰われ、消滅した。

ヴァイス
「バカな!!?私の召喚獣が一瞬でやられただと…!!?」

ヴァイスはオレの暴王の月を見て驚愕の表情を浮かべる。

アゲハ
『ヴァイス…お前は絶対に手を出しちゃならねぇものに手を出した。これからお前に絶望ってもんを教えてやるよ』

オレは暴王の月を操り、次々と召喚獣たちを消滅させていく。

アクノロギアとの一戦で自分の力のパワー不足を痛感したオレは、暴王の月の状態のまま力を使いこなす特訓をしていた。
最初は全然手におえなかったが魔力をイメージの段階で練り込みその魔力を完璧にコントロールすることでオレの意のままに暴王の月を操れるようになった。
そのおかげで暴王の流星よりも大質量の魔力を喰らい尽くすことができるようになった。

ギャオオオオオオオオオオオオ

召喚獣が光線を放ってきた。

アゲハ
『無駄だ』

バシュウウウウウ

光線は暴王の月に飲みこまれた。

そのまま光線を放った召喚獣を倒す。

アゲハ
『残り一体……!!』

最後の一体はオレから少し離れた位置にいた。
それを確認したオレは暴王の月を解除する。

アゲハ
『これで終わりだ。暴王の流星【メルゼズ・ランス】』

黒い流星が放たれ、召喚獣の体を貫く。

ビィン

ズバッ

最後の召喚獣が倒れ、この場に立っているのはオレとヴァイスのみとなった。

ヴァイス
「そ…そんな……私の召喚獣たちが…全滅……」

アゲハ
『ヴァイス……オレはお前に言ったよな?
“レナに傷ひとつでもつけてみろ。地の果てまで追いかけてテメェをぶっ殺してやる”と』

オレはヴァイスに向かってゆっくりと歩き出す。

ヴァイス
「ヒィ!!く、来るな!!やめろ、助けてくれ!!」

さっきまでの威勢はどこへ行ったのか急に狼狽え出したヴァイス。
助けを乞うても無駄だ。
オレはお前を許さない。

アゲハ
『にもかかわらずテメェはレナを傷つけた!!今ここでその報いを受けろ』

ヴァイスの目の前に立ったオレは右腕にバーストエネルギーを纏わせ、ライズを全開にして振りかぶる。

アゲハ
『っらァあああああ!!!』

ドゴォオオオン!!!

振り下ろした拳はヴァイスの顔面に直撃し、地面に叩きつける。
その衝撃で地面にクレーターができた。
ヴァイスは気を失い、倒れた。

殺しはしない。こんなやつでも人間だからな。

ヴァイスとその部下たちが全員動けないのを確認して、オレはレナの元へ駆け出した。

オレはレナの隣につくとすぐに治療を始めた。

アゲハ
『勝ったぞ、レナ。お前も…よく頑張った』

そう呟くと、レナの口許が微かに笑った気がした。




これで一件落着だな

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