小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第27話 ハコベ山へ


━Side アゲハ━


アゲハ
『ナツ!!!』

オレはハコベ山に向かおうとするナツとハッピーの後ろ姿を見つけ、呼び掛ける。

ナツ
「アゲハか…………
止めんなよ、オレは誰が何と言おうがマカオを助けに行く」

ナツは決意のこもった目でオレを見据えて言った。

アゲハ
『誰が止めるなんて言ったよ?オレも行く』

ナツ
「アゲハ……」

ナツは少し呆気にとられているように見えた。

アゲハ
『ロメオをレナの二の舞にはさせたくねぇからな。いいだろ?』

ナツ
「おう!もちろんだ!!」

ナツは笑顔で了承してくれた。

アゲハ
『じゃあ早速馬車でハコベ山に行くぞ』

ナツ
「何━━!!やっぱ馬車なのか!?トリックルームは!?」

アゲハ
『ハコベ山にはまだ行ったことねぇからな。トリックルームは行ったことがない場所にはあまり遠くまで転送できねぇんだ……我慢しろ、ナツ』

ハッピー
「諦めよ、ナツ。元々馬車で行くつもりだったんだから」

オレが無理だと言うとナツは絶望したような表情を浮かべた。ハッピーが慰めているがまだ立ち直れていないようだ
ま、今のは嘘だけどな。本当は行ったことない場所でも四十キロぐらいの距離までなら転送できる。でもそれだとルーシィがオレらオレらと一緒に行く展開にならないからな。なるべく原作通りに進ませねぇと……

ナツ
「くそ━━━っ!!!馬車に乗らなくてすむと思ったからついてきていいって言ったのに━━━━っ!!!」

アゲハ
『おい……お前にとってオレの存在意義はトリックルームだけか……』

ナツ
「何言ってんだ。んな訳ねぇだろ、アゲハは大事な仲間だ。マカオもな。だからオレはマカオを助けに行くんだ」

先程から一転して真面目な雰囲気になったナツ。

アゲハ
『そうだな。じゃあマカオを助けるためにも馬車にも嫌がらずに乗るって事だな。だったら早く行くぞ』

ナツ
「あぁあああああああ!!!!しまった、はめられたぁ━━━━っ!!!」

ハッピー
「今のはナツが自分で言ったことだよ。はめられた訳じゃないと思うけど…」

ハッピーがツッコんだがなおも叫び続けるナツ。
しょうがねぇな……

アゲハ
『はぁ、分かったよ。テレキネシスかなんかで浮かべてやるからおとなしく馬車に乗れ』

ため息混じりにオレが言うと、

ナツ
「ホントか!?よっしゃ!!早く行くぞお前ら!!」

オレの言葉を聞いて急に元気になったナツは早速馬車の停留所へと向かっていく。

アゲハ
『ホントに現金だな、ナツは』

オレがナツの後ろ姿をあきれたように見ていると、

ルーシィ
「ナツ━━!!アゲハ━━━!!」

ルーシィが手を振りながら駆け寄ってきた。




数時間後 馬車の中


ハコベ山に向かう馬車の中にはオレとナツにハッピー、そして原作通りなぜかついてきたルーシィがいる。

ルーシィ
「でね!!あたし今度ミラさんの家に遊びに行くことになったのー」

頬に両手を当てながら言うルーシィ。

ハッピー
「下着とか盗んじゃダメだよ」

ルーシィ
「盗むかー!!」

ハッピーのボケにくわっ、と効果音がつきそうな勢いでツッコむルーシィ。
いやー、ルーシィがいるとわざわざオレがツッコまなくていいから助かるわー

ナツ&ハッピー
「「てか何でルーシィがいるんだ」」

見事にハモりながら言うナツとハッピー。

ルーシィ
「何よなんか文句あるの?」

ナツ
「そりゃあもういろいろと……」

ハッピー
「あい」

そうナツたちがルーシィに言うと、ルーシィがオレたちについてきた理由を話し始める。

ルーシィ
「だってせっかくだから何か妖精の尻尾の役に立つことしたいなぁー、なんて」

ハッピー「(株を上げたいんだ!!絶対そうだ!!)」

ハッピーの心の声が聞こえてきそうだ。何とも分かりやすいな、ルーシィ。

ルーシィ
「それにしても何でナツは浮いてんの?アゲハもこの前浮いてたわよね」

ルーシィは目の前で空中に腰かけるナツに向かって言った。

アゲハ
『だから浮いてるんじゃなくて、オレが大気を圧縮して作ったPSIブロックを空中に固定してそれに腰かけているだけだ』

今ナツはマテリアル・ハイで作ったブロックに腰かけているおかげで乗り物酔いしていなかった。

ルーシィ
「意味わかんないんだけど」

ルーシィが訳が分からないといった表情を浮かべる。

アゲハ
『ルーシィ、目の前に手を伸ばしてみろ』

ルーシィ
「手を?」

ルーシィは疑問に思いながらも目の前に手を伸ばす。

コツン

ルーシィ
「あれ?何かある?」

ルーシィの指が何もないはずの空間にぶつかった。

アゲハ
『それがPSIブロックだ。そのブロックを空中に固定してその上に立ったり、防御、攻撃な使うこともできる。それがオレのPSI能力のひとつ、マテリアル・ハイだ』

そう言いながらオレはルーシィの目の前に作ったマテリアル・ハイを解除する。

ルーシィ
「へぇーそういうカラクリだったんだ。便利な能力ね。てかアゲハって何種類ぐらいの力を使えるの?」

アゲハ
『何種類だろ?オレもわかんねぇ。でも少なくとも20は越えてると思う』

ルーシィ
「20!!?」

ルーシィが驚きの声をあげる。

ハッピー
「アゲハはすごいんだよ。テレパシーとかテレキネシスとかもできるし……」

ナツ
「空間移動もできるしな」

ルーシィ
「な、何でもできるのね……」

アゲハ
『何でもできるって訳じゃねえよ。出来ないこともあるしな』

ガタン

そこまで言ったところで急に馬車が止まった。

ナツ
「着いたのか?」

「す…すんません……これ以上は馬車じゃ進めませんわ」

外を見たルーシィは絶句した。外では猛吹雪が吹いている。

ルーシィ
「何コレ!!?いくら山の方とはいえ今は夏季でしょ!!?こんな吹雪おかしいわ!!!」

オレたちは馬車からハコベ山に降り立つ。

ルーシィ
「さ…寒っ!!!」

ルーシィはものすごく寒がっていた。まぁ、常人にはきついよな。

ナツ
「そんな薄着してっからだよ」

ルーシィ
「あんたも似たようなモンじゃないっ!!!」

ナツはいつも通りの格好だったが 、全然平気だった。ナツは火の魔導士だからな。オレはライズを使っているので平気。

「そんじゃオラは街に戻りますよ」

それだけいうと馬車の親父は帰って行った。

ルーシィ
「ちょっとォ!!!帰りはどーすんのよ!!!キィ━━ 」

ナツ
「あいつ…本当うるさいな」

ハッピー
「あい」

アゲハ
『結構元気じゃねーか』

まぁ何はともあれ、マカオ探しが始まった。


ルーシィ
「その毛布貸して…」

ナツ
「ぬお」

しばらく歩いていると、ルーシィはナツが背 中に背負っている毛布を無理矢理とり、

ルーシィ
「ひひ…ひ…開け……ととと…時計座の扉、 ホロロギウム!!!」

ナツ
「おお!!」

ハッピー
「時計だぁ!!」

時計座の星霊、ホロロギウムを召喚した。コレ見てみたかったんだよな。パイロクイーンを使ってルーシィを暖めることもできたけど、そうしなかったのはこのためだ。

ホロロギウム
「【あたしここにいる】と申しております」

ナツ
「何しに来たんだよ」

ルーシィホロロギウムの中に閉じこもってしまった。ナツが哀れみの目でルーシィを見る。

ホロロギウム
「【何しに来たと言えばマカオさんはこんな 場所に何の仕事をしに来たのよ!?】と申しております」

マカオの仕事内容を知らないままついてきた ルーシィはここでようやくオレたちに仕事内容を聞いた。

ナツ
「知らねえでついてきたのか?」

アゲハ
『マカオの仕事は“バルカン”っていう凶悪 モンスターの討伐だ』

ルーシィ
「!!!!」

ここで初めて仕事内容を知ったルーシィはし ばらく黙ったあと、

ホロロギウム
「【あたし帰りたい】と申しております」

ナツ
「はい どうぞと申しております」

ハッピー
「あい」

そんなルーシィを無視しナツたちは奥ヘ進んで行った。
ルーシィ、お前そんなんでこの先大丈夫か?
オレもルーシィを置いてナツたちを追った。

ナツ
「マカオー!!!いるかー!!!バルカンにやられてまったのか━━━!!!」

ナツが大声をあげてマカオを探す。オレはPSI能力でマカオの生命反応を探っている。

ばっ!!

「『!!!』」

突然上から崩れた雪と、白い猿がおちてきた。
オレとナツはをとっさにその場から離れ、体制を立て直す。

「バルカンだ━━!!!」

ハッピーが叫ぶ。どうやらこの白い大猿がバルカンのようだ。ホントにエロそうな顔してんな、こいつ。生で見るのは初めてだ。

バルカン
「ウホ」

ナツ
「ぬぉ」

『あ……ヤベ…』

バルカンはオレたちを無視して通り越して 行った。ま、いっか。あいつの住家の方が逃げ場なくて仕留めるの楽そうだし。

ルーシィ
「!?」

バルカン
「人間の女だ。うほほ━━!!」

ルーシィ
「キャ━━!!」

バルカンが向かった先はルーシィのところだった。バルカンはホロロギウムごとルーシィをさらって逃げた。

ナツ
「しゃべれんのか」

ナツが手から火を出して気合いを入れる。

ホロロギウム
「【てか助けなさいヨォオオオ!!!!】と申しております」

ルーシィ相変わらず面白いリアクションだなー、っといけねぇ。一応助けてやんねーとな。

アゲハ
『追うぞ、ナツ、ハッピー』

ナツ
「おお!!」

ハッピー
「あい」

オレたちはバルカンを追って走り出した。

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