小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第31話 オレ一人の方が実際早ぇよな……




スタッ

アゲハ
『着いたぞ』

ルーシィ
「ア、アンタ本当に何でもできるのね」

アゲハ
『前にも言ったろ、何でもできるわけじゃない』

オレたちは今、エバルーの屋敷の上にいる。ナツはハッピーの翼で、オレはルーシィをテレキネシスで浮かせて屋根まで移動した。え?何で屋敷の中にトリック・ルームで直接移動しなかったかって?そりゃもちろんエバルーたちにオレの能力バレたくないからに決まってんだろ?
つーかオレ誰に向けてしゃべってんだ?異世界トリップ旅行の主催者か?

ナツ
「なんでこそこそ入らなくちゃいけねぇんだ?」

オレが自問自答していると、窓ガラスで中を覗きながらナツが言った。

ルーシィ
「決まってるじゃない!依頼とはいえ、どろぼーみたいなモンなんだから」

ルーシィがナツにあきれつつ説明する。どろぼーと分かっていて侵入するお前もどうかと思うぞ、ルーシィ。オレも人のこと言えないけど……

ナツ
「作戦Tってのはな、突撃のTだ。正面玄関から入って邪魔な奴は全員ぶっ飛ばす」

ルーシィ
「ダーメ!!!」

ナツ
「で……本を燃やす」

ルーシィ
「だからそれじゃダメなの!!!
あんたらが今まで盗賊退治やら怪物退治やらいくつの仕事をしてきたは知らないけどね、 今回のターゲットは町の有力者!
ムカつく変態オヤジでも悪党じゃないのよ。下手なことしたら軍が動くわ」

こそこそと潜入することに納得がいかない様子のナツにルーシィが説明する。

ナツ
「何だよ、オマエだって“許さん!!”って言ってたじゃんか」

アゲハ
『どーせしょうもない悪戯しか考えてねーんだろ?靴を隠すとか、キッチンの調味料を入れ換えるとか』

ルーシィ
「ギクゥッ!!そそそそ、そんな訳ななな、ないでしょ!!」

アゲハ
『やっぱりか……めちゃくちゃ動揺してんぞ』

ナツ
「うわ……小っさ…」

ハッピー
「あい」

ナツの言う通り器ちいせぇな、ルーシィ。そんなんじゃ彼氏できねーぞ?

ルーシィ
「とにかく暴力だけはダメよ。暴力だけはね」

ナツ
「…………………」

ルーシィがナツに注意するがナツは何食わぬ顔をして無視している。その事に怒ったのか、

ルーシィ
「何よその顔!!!」

ビシィ、とナツの頭をチョップした。

ナツ
「おまえ、言ってることとやってる事違うぞ?」

アゲハ
『カルシウム不足じゃねーのか?牛乳でも飲めば?』

ルーシィ
「イライラしてんのはアンタらのせいだっての!!!」

そんなこんなで話は進み、早速潜入の準備にはいる。

じゅううううううううう

ナツ
「よっと」

ルーシィ
「さすが火竜【サラマンダー】ね」

アゲハ
『火竜と関係あるかそれ?』

ルーシィの発言にツッコんだがとりあえず皆で屋敷の中に入っていく。

ルーシィ
「ここは物置か何かかしら?」

ハッピー
「ナツ、見てー」

ナツ
「お! 似合うぞハッピー」

アゲハ
『いや気味悪ぃぞ、それ』

オレは骸骨がハッピーな声でしゃべるのが気味悪くて仕方なかった。

ルーシィ
「そこの扉から出れそうね。慎重に行きましょっ!」

ハッピー
「ねぇ、ルーシィも見てー」

ハッピー
「うっさいネコ!!」

ルーシィたちが扉から出ていく。オレも後に続こうとしたがふいに思い出したことがあったので紙を見つけ文字をすらすらと書いていく。振り返り、置いてある狐の置物に先程文字を書いた紙を張り付けた。

アゲハ
『あんま人の事覗くもんじゃねーぞ?ブス専さんよ』

オレは置物にそう言い放ち、物置を出て行った。

ギィイイイイ キョロキョロ

ハッピー
「誰もいないよ」

ハッピーが廊下を確認して言う。

ルーシィ
「それとりなさいよ。気味悪いから」

ルーシィがハッピーに骸骨をとるように言う。ルーシィの言ったとおりにしようぜ、釘宮ボイスがその骸骨から放たれると寒気がする。
まあ、それは置いといて、オレたちは地道に部屋の中を探していく。

ナツ
「オイルーシィ。まさかこうやって一個一個部屋の中を探してくつもりなのか?」

ルーシィ
「トーゼン!!」

ナツの疑問に即答するルーシィ。 だけどこれ効率悪いだろ。今さらだけどオレ一人の方が実際早ぇよな。潜航師【ゾーンダイバー】使えばバレねぇだろうし。

ナツ
「誰かとっつかまえて本の場所聞いたほうが早くね?」

ハッピー
「あい」

アゲハ
『ぶっちゃけもう飽きた』

ナツやオレがそんな隠密行動出来るわけがない。口々に不満を言うオレたちにルーシィが口を開いた。

ルーシィ
「見つからないように任務を遂行するのよ。忍者みたいでかっこいいでしょ?」

ナツ
「に………忍者かぁ」

おいおい、何でそんなまんざらでもねぇような顔してんだよ。忍者なめんな!!ナツなんかにできるわけねぇだろ!!
ナツが忍者なんて無理だ、と思っていると…

ゴゴゴゴゴゴ もこっ

屋敷内に音が響き渡る。見てみれば目の前の床がもこっ、と膨らんでいた。

ズボオオっ!!!!

バルゴ
「侵入者発見!!!」

地面から世界最醜のメイド部隊が現れた。

ナツ
「うほおおおぉおおおぉっ!!!!」

ルーシィ
「見つかったぁ━━━っ!!!」

驚くナツたち。ハッピーに至ってはショックで骸骨が脱げた。よっしゃ、これで元のハッピーに戻った、今回だけナイス!!キモメイド部隊!!

バルゴ
「ハイジョ シマス」

ナツ
「おおおおおっ 忍者ぁっ!!!!!」

ゴリラのバルゴ、バルゴリラ(あ、これいいんじゃね?)に捕まる前に、ナツが足に炎を纏って全員を蹴っ飛ばした。

ルーシィ
「はいいいいっ!!!?」

驚くルーシィ。ま、隠密行動って言ったのにあれだけ派手に暴れりゃな。

ナツ
「まだ見つかる訳にはいかんでござるよ。にんにん」

アゲハ
『見つかったから襲われたんだろーが』

ルーシィ
「これのどこが隠密行動よ……」

忍者の真似をしているナツとハッピーに呆れるオレたち。

ルーシィ
「いけない!! きっと誰か来るわ!!! どっかの部屋に入りましょっ!!」

数瞬後、ルーシィは我に返り、ナツを引っ張る。もうバレてるけどな。監視されてたし。

ナツ
「来るなら来いでござる!!」

アゲハ
『見つかるわけにはいかないんじゃなかったのか?』

ナツ
「それはそれ、これはこれだ」

ルーシィ
「いいから隠れるのっ!!!」

バタム!

近くにあった部屋の中に入ると、そこには大量の本があった。あの変態の頭にこんだけの情報絶対入らねぇだろ。とりあえずオレは適当に目的の本を探していく。

アゲハ
『ねぇなぁ、“日の出【デイ・ブレイク】”。あるのはエロ本ぐらいだな、しかもブス専用の』

オレがエバルーの変態度具合に呆れを覚えているとナツの叫び声が聞こえた

ナツ
「日の出【デイ・ブレイク】!!!」

ハッピー
「見つかったーっ!!!」

ルーシィ
「こんなにあっさり見つかっちゃって言い訳!!?」

アゲハ
『早っ!!もう見つけたのか』

ナツたちを見ると金色に光り輝いている本を手にしている。 オレはナツたちの元へ歩いていった。近づくと本を燃やそうとするナツをルーシィが止めている。

ルーシィ
「こ……これ……作者 ケム・ザレオンじゃない!!!あたし大ファンなのよ━━━!!! うっそぉ!!!? ケム・ザレオンの作品全部読んだはずなのに━━━!!!! 未発表作って事!!!? すごいわ!!」

アゲハ
『おいおい、仕事中だぞ』

ナツ
「いいから、早く燃やそうぜ」

目を輝かせるルーシィに構わず本を燃やそうとするナツ。しかしルーシィは……

ルーシィ
「何言ってんの!!?これは文化遺産よ!!!燃やすなんてとんでもない!!」

ハッピー
「仕事放棄だ」

やはりと言うかルーシィは本を燃やすことを嫌がった。

ルーシィ
「大ファンって言ってるでしょ!!!」

ナツ
「今度は逆切れか……」

ナツにまで呆れられるって相当わがままだよなぁ。

ルーシィ
「じゃあ燃やしたってことにしといてよ!! これはあたしがもらうから!!!」

ナツ
「嘘はやだなぁ」

ルーシィ
「聞いたでしょ!? この世に一冊って…燃やしちゃったら二度と読めないのよ!!!」

アゲハ
『とりあえず持ち帰ろうぜ。ここにいるといずれ見つかるぞ』

オレがそう言った直後、

エバルー
「なるほどなるほど。ボヨヨヨヨヨ……貴様らの狙いは“日の出【デイ・ブレイク】”だったのか。泳がせておいて正解だった!! 我輩って賢いのう。ボヨヨヨヨ」

例によって、エバルーが床を破って登場してきた。そういえばこいつ魔導士なんだっけ?まるで劣化版“潜航師【ゾーンダイバー】”だな、この魔法。

ナツ
「ホラ……もたもたしてっから!!!」

ルシィ
「ご……ごめん」

ハッピー
「この床って、どうなってるんだろ?」

怒るナツに謝るルーシィ、そして床について疑問に思っているハッピー。うーん、シュールだ。

エバルー
「ふん……魔導士共が何を躍起になってさがしているかと思えば……そんなくだらん本だったとはねぇ」

エバルーが着地しつつ言った。

ナツ
「くだらん本?」

エバルーの言葉に疑問を持つナツ。そんな中、ルーシィは全く違うことを口にする。

ルーシィ
「も…もしかして、この本もらってもいいのかしら?」

ルーシィ…オレは事情知ってるからスルーしてるが……本来ならもう燃やしてるからな?

エバルー
「いやだね。どんなにくだらん本でも我輩の物は我輩の物」

ルーシィ
「ケチ」

エバルー
「うるさいブス」

アゲハ
『小学生かお前ら!!?』

オレ本来ならボケキャラなんだけどなぁ、この世界の登場人物たちはツッコみ所が多すぎる!!

ナツ
「燃やしちまえばこっちのもんだ!」

ルーシィ
「ダメ!! 絶対ダメ!!!」

ナツ
「ルーシィ!!! 仕事だぞ!!」

おおう、ナツが真面目に仕事しようとしてるよ。こりゃビックリ。

ルーシィ
「じゃ、せめて読ませて!!!」

ナツ
「ここでかっ!!?」

アゲハ
『おい…せめて他のとこで読めよ』

ルーシィお嬢様だからな。多少のわがままはいつも許してもらえてたんだろう。

エバルー
「ええい、気に食わん!! 偉ーい我輩の本に手をだすとは!!!来い!!!バニッシュブラザーズ!!!」

エバルーが叫んだその瞬間、本棚が左右に開き、そこから二つの人影が現れた。

「やっと仕事(ビジネス)の時間(タイム)」

「仕事もしねぇで金だけもらってちゃあ、ママに叱られちまうぜ」

「グッドアフタヌーン」

「こんなガキ共があの妖精の尻尾の魔導士かい?そりゃあママも驚くぜ」

顔に上下左右と書かれた男にバンダナを巻いた男。これから二人の事を上下左右とバンダナと呼ぼう。これ決定事項。文句は受け付けませーん。

ハッピー
「あの紋章!!傭兵ギルド南の狼だよ!!」

ナツ
「こんな奴等雇ってたのか!?」

エバルー
「ボヨヨヨ!!!南の狼は常に空腹なのだ!!!覚悟しろよ」

みんなが真剣な表情を浮かべる……と思いきや本に夢中になっているルーシィがいた。

「「「「「おい!!!」」」」」

オレ以外の全員がルーシィにツッコんだ。

上下左右
「なんとふざけた奴等だ」

バンダナ
「これが妖精の尻尾の魔導士か……」

顔に怒りマークを入れている二人。ちょっとからかってやるか。

アゲハ
『いやー、怒ってますなぁ。いけませんぞ、短気は損気ですからな。ハッハッハ』

オレのおちょくりにさらに怒ったのかエバルーが本を取り返すように命令する。ふとルーシィを見ると、気付いたみたいだな。

ルーシィ
「ナツ!! アゲハ!! 少し時間をちょうだい!!!」

ナツ
「!!!」

ルーシィ
「この本にはなんか秘密があるみたいなの!!!」

ナツ
「は?」

エバルー
「秘密っ!?」

アゲハ
『OK!!行ってこい!!』

どこかで読ませて、と言って部屋を飛び出したルーシィ。ナツは若干呆れている。
エバルーはケム・ザレオンが財宝の地図でも隠したのではないかと思い目を輝かせていた。キモッ!!

エバルー
「作戦変更じゃ!! あの娘は我輩が自ら捕まえる!!! バニッシュブラザーズよ!!! そいつらを消しておけっ!!!!」

ナツ
「ルーシィあっちだぞ」

エバルーは廊下に出ていったルーシィを追いかけるのになぜか地面に潜っていった。

上下左右
「やれやれ身勝手な依頼主は疲れるな……」

バンダナ
「まったくだ……」

ナツ
「めんどくせぇことになってきたなぁ……ハッピーはルーシィを追ってくれ」

ナツがハッピーに頼む。そういえばナツ、原作と違ってルーシィが戦ってるトコ見たことねぇもんな。オレのせいで……
ハッピーは最初はナツを心配していたがナツの自信満々な発言を聞いてルーシィの元へ飛んでいった。

アゲハ
『そんじゃ、オレもルーシィんトコ行くわ。こんな奴等一人で十分なんだろ?』

ナツ
「ああ!!また後でな」

アゲハ
『おう。さーて、オレも地面に潜って行くか』

「「「は!?」」」

アゲハ
『“潜航師【ゾーンダイバー】”』

トプン

オレは地面と同化して地面の中に溶け込む。そしてオレは首だけ出してナツの方を向く。さらに腕を10本ほど壁や地面から出してその全部の腕で手を振った。

アゲハ
『そんじゃな』

ナツ
「あ、ああ………」

「「…………………!!!!」」

ナツが驚いている。上下左右とバンダナの野郎共も。そういえばまだ見せてなかったっけ?この能力。初見じゃ気味悪いよな。ま、いっか。
オレはルーシィがいる下水道へと向かった。


あとで聞いた話だとオレの能力にビックリしてあの後ナツも南の狼の二人も数分間動けなかったらしい。

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