小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第39話 扉の向こう


━Side アゲハ━


ビュオオオオ

アゲハ
『大気が凍てつく前にこのオレを殺すべきだったな』

PSYREN原作のグリゴリ03号の台詞を再現したことから分かるだろうけど、今オレは“氷碧眼【ディープフリーズ】”で洞窟内の禁人種【タヴー】たちを氷結させている。禁人種たちはもうほとんど全滅だ。

アゲハ
『修行の成果でこの力をほぼ完璧と言っていい域まで使いこなせるようになった。お前ら程度じゃ勝てねえよ』

個人的に好きな能力だったから重点的に鍛えていると、いつの間にかとんでもなく強くなっていた。この能力応用効きすぎ!!訓練すればBLEACHの氷輪丸の技とかも使えんじゃねえか?

ギュアアアアアアアアアア!!!!

アゲハ
『お、デッケエのが残ってるじゃねえか』

今の雄叫びを発していたのは巨人のような姿をした禁人種だった。

アゲハ
『ちょうどいい、少し実験してみるか』

オレは巨大な禁人種(以下ギーガー1号と呼ぶ)に向かって、手の中にある雰囲気を出すために作った氷輪丸に似せた氷の刀をかざした。

アゲハ
『いくぞ……』

ギーガー1号の周りを取り囲むようにいくつもの巨大な氷柱が現れる。その氷柱一つ一つが鋭い刃の形をしている。

アゲハ
『千年氷牢』

オレが呟いた次の瞬間、ギーガー1号を無数の氷柱が覆い尽くした。今頃ギーガー1号は氷解の中で切り刻まれているだろう。
しかし今はそんな事はどうでもいい。重要なのは………

アゲハ
『出来ちゃったよ、おい……』

マジかよ!!結構あっさり出来ちゃったぞ!!?これでいいのか千年氷牢!!?

アゲハ
『うん、マジパねぇわ“氷碧眼”。まさか氷輪丸の技まで再現できるとは……』

PSI恐るべし……!!もしかして他のPSIでも別の漫画の技使えたりして………

アゲハ
『帰ったら真面目にやってみようかな、別の漫画の技の特訓……』

うん、魔法も使えることだし、不可能なんてないんじゃないか?本気でやってみよう………
まぁでもやっぱりメインで使うのはPSYRENの技になるんだろうけど……

アゲハ
『っと……そういやあの扉の奥に何があるのか調べねえと』

オレは“氷碧眼”を解除し、扉へと向かう。あ、もちろんライズは使ってるぜ。いくら自分が使ったものとはいえ生身じゃ凍え死ぬからな。あとでサラマンドラで溶かしておこう……

アゲハ
『それにしても………デケェ扉だなぁー』

扉の目の前に立ったオレは思わず声を漏らす。こんなデケェ扉、何のために作ったんだろうな……

アゲハ
『ま、入ってみれば分かることか………んじゃ、おっ邪魔しま━━━っす!!!』

オレは巨大な扉に手をつけて、力を入れて押し開けようとする。

アゲハ
『ぐっ…!!結構重いな……!!』

扉は思った以上に重かったが少しづつだが開いていった。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

アゲハ
『……っらぁっ!!!』

ゴゥン!!

やっとの事で人が通るのに十分なぐらいに扉を開け、オレは中へと入った。

アゲハ
『これって……研究所…?』

扉の中を見た第一印象は“研究所みたい”だった。なんせビーカーや資料、研究書もある。まんまグリゴリの研究機関みたいだった。しかし、人が使っているとは思えないほど荒れていた。所々ヒビや傷があるし、資料なんかはそこら中に散らばったり破れていたりしている。もしかしてここにはもう人はいないのかもな。禁人種に荒らされたか……
それにしてもずいぶん近代的な物が多いな。コンピューターもある。こんな物この世界に来てから初めて見たぞ。

アゲハ
『この世界ではまだ機械はあまり発達していないのに……どういうことだ?』

とりあえず中を捜索。ここが何なのか調べなくては……
しばらく扉の中を捜索しているとひとつの部屋を見つけた。中にはいかにも研究書っぽいものが散らばっている。一つ拾って表紙を見てみる。題名は“人間の脳が持つ可能性”だった。

アゲハ
『脳……まさか、ここにいた奴等は…PSIについて研究していた……?』

洞窟内に出現する禁人種の事もあり、オレはもしかしたらこの世界はオレがトリップした影響でPSIが存在する世界に変化したのかも知れないと思った。オレは部屋の中を手当たり次第に調べていった。

アゲハ
『絶対に誰か禁人種を作り出した奴がいるはずだ……どこかに禁人種を作り出す装置みたいなものがあるはず……絶対に探し出さねえと』

もし、このまま禁人種が量産され続けたら大変なことになる。さっきはサクッと倒していたけどいったい一体の戦闘力は決して低くない。深淵の洞窟内に住み着いている内はまだいいが大量に外に出たりしたら大変なことになる。ラハールの話じゃ、実際に一体洞窟から出てきたらしい。そのときはなんとか仕留めたと言っていたけど……

アゲハ
『この世界の禁人種は太陽光を浴びても大丈夫みたいだからな。騒ぎになる前に全部始末しとかねぇとな』

他の部屋も見回って調べたが、どこで禁人種を作り出しているのかさっぱりわからなかった。

アゲハ
『あぁーもう!!何で見つからねぇんだよ……』

オレはもうお手上げ状態だった。頭を抱えて座り込むオレ。どうすればいいんだ………いや、こんな時こそ落ち着かねば……
オレは深呼吸をして冷静に考え直す。
禁人種を作り出してるってことは十中八九PSIが関わってる……それならどうにかしてPSIの波動を探ることができれば………あっ!!!

アゲハ
『そうだよ!!何で忘れてたんだ!!シャオの力があるじゃねえか!!』

オレは早速エリア・サーチでPSI波動を探っていく……この近辺には反応がない。もっと下…?

アゲハ
『地下か!!』

そうと決まりゃあ後は簡単だ。

アゲハ
『一気に行くぜぇ!!』

オレはライズで身体能力を極限まで底上げし、バーストエネルギーを体に纏わせる。そして地面に向かっておもいっきり拳を振り抜いた。

ドゴォオオオオオン

見事に地下まで貫通し、オレは地下の研究施設に降り立った。

アゲハ
『到着♪』

地下に降り立ったオレの目に映ったのは大量に保管されているイルミナと気味の悪い人形たちだった。

アゲハ
『何だこりゃ?』

イルミナは形と色からして間違いないだろうけど、この気味悪い人形はなんなんだ?原作では禁人種作るのには人間を使っていたけど……
もしかしてこの人形禁人種の材料!?確かめなくっちゃな……どっかに研究資料とかないかな。

アゲハ
『お、これってもしかして……』

部屋を探し回っているうちにあるモノを見つけた。どうやら研究日誌のようだ。

アゲハ
『“PSIについての研究の記録”……ビンゴだったな』

やはりここではPSIについて研究されていたようだ。施設の荒れようから見てもうここに生きている人間はいないのだろうと判断した。生命反応もなかったしな……

アゲハ
『何があったのか、これを読めば分かることか……』

オレは研究記録を読み始める。

〈我々一族は古来よりある能力について研究を重ねてきた。その力の名はPSI。人間が遥か昔に使い方を忘れてしまった力である〉

やっぱりPSIの研究をしていたみたいだな。研究記録を読み進めていくうちに、ここで研究をしていた奴等は元々はこの大陸の出身ではないことがわかった。彼等のいた国の名はジパング。魔法ではなく科学が発展した国だったようだ。……………って、昔の日本の名前じゃねぇか!!ふざけてんのか!?修正が適当すぎるにもほどがあんだろ!!
ハッ!!あまりに設定がふざけすぎていたせいで興奮してしまった。落ち着け、オレ……くーるだうん、くーるだうん。

アゲハ
『ふう、なんとか落ち着いたぜ。それより何でパソコンとかの文明の利器がこの世界にあるのかは分かった。ジパングには魔法がなかったから科学を発展させるしかなかったんだな』

魔法に頼っているフィオーレ王国では科学があまり進歩していないからな。進んでるとこは進んでたんだな。多分現代日本ぐらいの科学力はあるだろうな。

アゲハ
『でもこいつらがPSIを昔から研究していたってんならやっぱりこの世界はPSIが存在する世界に変化したんだな』

オレだけがPSIを使えるのはおかしいからつじつまを合わせたってことか……けどこの研究記録を見る限りサイキッカーらしいサイキッカーはいないみてえだな。グリゴリみてぇに色々実験していたみたいだけど。

アゲハ
『そういえばこいつら何でフィオーレで研究なんかしてたんだ?ジパングですりゃいいものを……』

オレの疑問の答えはすぐに見つかった。すぐ側の机の上に夜科アゲハについての報告書、と書かれた書類があったからだ。
内容はフィオーレ王国にPSIが使える子供がいるという噂を聞いた研究員がオレを探しだし、観察した経過を報告する、といったものだった。PSIを自在に使える子供なんていなかったからだろう。研究所もフィオーレに作ったようだった。

アゲハ
『なるへそ。原作の一年前にトリップしたからそれまでのオレの人生は向こう(異世界トリップ旅行主催者側)が適当に決めたんだろう。じゃなきゃ三歳のオレの記録なんてあるわけねぇからな』

自分の知らない自分を他人に観察されていたと思うと妙な気分になる。何にもされてないよな?オレ……
一応書類に目を通したが、研究所に連れていこうとしたが撃退されたと書いてあった。
さすがオレっ!!

アゲハ
『ま、続きを読むか』

自分についての書類から目を放し、さらに研究記録を読み進める。すると、イルミナの製造方法、禁人種を作ったことまで書いてあった。どうやらPSIを使える生物兵器を作り出そうとしていたらしい。しかし、増えすぎた禁人種たちに自分達が殺されてしまった、というトコだろうな………
PSYREN原作では禁人種が自分で仲間を増やしていたからな……これ以上禁人種を増やさないためにもオレは禁人種の製造を止めるため、製造が行われている実験室へと向かった。

アゲハ
『うわ、イルミナと禁人種の人形がうじゃうじゃしてるな……キモッ!!』

見張りの禁人種を瞬殺して早速実験室の破壊に取りかかろうとしたところであるアイデアが頭に浮かんだ。

アゲハ
『ここのイルミナ持っていける限りもらっていこうっと』

そう、イルミナさえあれば創造【クリーチャーズ】で禁人種を生み出すことも、それを使って生命融合【ハーモニウス】を使うこともできる。研究員様様だね!!
オレは研究室にあったバッグを拝借(借りパク)し、それにイルミナを詰め込めるだけ入れた。

アゲハ
『よし、これでOK!!そんじゃ、破壊活動といきますか!!』

バッグを背負い、オレは爆塵者【イクスプロジア】で実験室を破壊した。ついでに他の部屋も念のため爆破しておいた。これでもう禁人種は増えないだろう。
オレは最後の仕上げにエリア・サーチで禁人種たちの居場所を探り、殲滅していった。

アゲハ
『これでラスト!!五行爆華【フィフスフィンガーボムズ】!!』

ドゴォオオオン

最後の一体の禁人種が灰になって消え去った。

アゲハ
『うっし、クエスト完了!!』

評議院からの依頼である深淵の洞窟に巣くう魔物(禁人種)の退治は終わった。
いやー、久々におもいっきり戦ってスッキリしたぜ!!思わぬ収穫もあったしな。

ピシピシ……!!

オレが一息ついていると何やら嫌な予感が……
ふと天井を見ると、ヒビが入っているではないか!!どうやらおもいっきり戦いすぎたせいで洞窟が耐えられなかったらしい。

アゲハ
『ヤベ!!早いとこここ出ねえと!!……って、焦る必要ねーじゃん。テレポート使えるんだから』

不足の事態に焦ったオレだが冷静に考えてみれば脱出くらいわけない事に気づき、オレはさっさとテレポートして深淵の洞窟から脱出した。

洞窟の外に出ると、ラハールが洞窟の前に立って待っていたので声をかける。

アゲハ
『よっ!』

ラハール
「ア、アゲハ殿!!無事でしたか」

アゲハ
『あったりめえだろ!ちゃんと魔物は一体残らず倒しておいたから安心しな』

ラハール
「そ、そうですか…(我々が苦戦した魔物たちをこの短時間ですべて倒すなんて……どれだけ強いんだ、この男は?)」

ラハールが驚いたような目でオレを見る。

アゲハ
『んじゃ、これで解散でいいよな?依頼はもう達成したし』

ラハール
「あ、はい。上への報告は私がやっておきます。お疲れさまでした」

アゲハ
『おう、んじゃな!!』

オレはラハールに手を振って、別れた後でギルドにテレポートした。

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