小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第40話 化け物が増えた━━━━━!!!!


━Side アゲハ━


キュン


アゲハ
『ただいまー』

ミラ
「アゲハ!!?」

ギルドに直接テレポートしたため、いきなり現れたオレに驚くギルドの面々。

アゲハ
『おっすミラ、用事終わったぜ』

ミラ
「もう、急に帰ってくるからビックリしたじゃない」

アゲハ
『あははは、わるいわるい』

ミラ
「全くもう……まぁそれより無事でよかったわ。おかえり、アゲハ」

アゲハ
『ただいま。それよりなんかいつもより静かだな。どうしたんだ?ジイさんもいないみたいだし』

いつもいる位置にジイさんがいない事と、いつもより騒ぎの規模が小さいギルドを不思議に思って聞いてみる。

ミラ
「マスターは定例会でクローバーに行ってるわ。ギルドが静かなのは多分ナツとグレイがいないからじゃないかな」

アゲハ
『ああ、なるほど。そりゃ静かになるわけだ。
ん?ってことはナツとグレイが同じ仕事に行ったのか?珍しいな……』

ミラ
「あ、その事なんだけど実はエルザが帰ってきたのよね」

アゲハ
『え、マジで…?』

ミラ
「うん。それでね、帰ってきたエルザがナツとグレイとチームを組んで仕事に行ったのよ!!」

おいおい、まさかそれはララバイ編じゃないですかい?オレがいない間にそこまで話が進むとは……一日だけでずいぶん話が進んだなあ……

アゲハ
『へぇー珍しいこともあるもんだな。ルーシィやハッピーも付いていったのか?』

ミラ
「ええ、あとレナも一緒に行ったわよ」

アゲハ
『何だって!!?』

まさかレナがついていくとは思わなかった。鉄の森【アイゼンヴァルト】の野郎共…レナに傷を負わせたらただじゃ済まさねぇぞ…!!!
注)レナは傷1つ負ってません。

アゲハ
『こうしちゃいらんねぇ!!オレ今からジイさんトコに行ってくる!!』

ミラ
「え?ア、アゲハ!?」

アゲハ
『行ってきまーす!!!』


キュン!!


オレは再びテレポートを発動して定例会場へと向かった。

ミラ
「え、何でマスターのトコ……?」

ミラがオレがナツ達の所ではなくジイさんの元へ向かったことに疑問を浮かべていた事をオレは知らない。


━Side Out━



━Side レナ━


レナ
「いた!!」

ララバイを奪って魔導四輪で定例会場へと向かったカゲを追いかけた私たちは今まさに笛を吹こうとしているカゲとその前に立つマカロフのじいちゃんを見つけた。

ナツ
「じっちゃん!!!」

エルザ
「マスター!!!」

ナツたちも急いでじいちゃんを助けようとする。しかしそんな私たちを遮るように手が現れた。

ボブ
「しっ、今イイトコなんだから見てなさい」

私たちの行く手を阻んでいたのは変な格好をしたおじさんだった。こーゆー人を“オカマ”というのだろうか?うん、きっとそうに違いない。だってあの顔で女言葉でしゃべってたし……
うわ、ナツたち口説かれてる。ものすごい嫌そうな顔してるなぁ……ご愁傷さまです。

ルーシィ
「な…何この人!?」

エルザ
「青い天馬【ブルーペガサス】のマスター!!!」

レナ
「えっ!!マスターなの、この人!!?」

ボブ
「あらエルザちゃん。大きくなったわね」

衝撃の事実に私は目を見開いてオカマさんを見た。不思議なこともあるもんだ。
気をとりなおして私はじいちゃんとカゲに視線を戻す。

マカロフ
「どうした?早くせんか」

じいちゃんがカゲに早く笛を吹けと促す。
じいちゃん……大丈夫かな……

マカロフ
「さあ」

じいちゃんが威圧を込めた目で再び言った。

カゲ
「……!!!(吹けば……吹けばいいだけだ。それですべてが変わる)」

マカロフ
「何も変わらんよ」

ゾッ

じいちゃんの言葉に動揺するカゲ。自分の心の内を読まれたみたいだ。

マカロフ
「弱い人間はいつまでたっても弱いまま、しかし弱さの全てが悪ではない。一人じゃ不安だからギルドがある。仲間がいる。」

カゲは固唾を飲んでじいちゃんの言葉を聞いている。

マカロフ
「強く生きる為に寄り添いあって歩いていく、不器用な者は人より多くの壁にぶつかるし遠回りをするかもしれん。しかし明日を信じて踏み出せばおのずと力は湧いてくる。つよくいきようとわらっていける。そんな笛に頼らなくても、な」

ニヤ、と笑いながら言うじいちゃんはいつもよりもかっこよく見えた。いつもこうだったら威厳があるのになぁ、普段はただの酒飲みじいちゃんだもんね。

カゲ
「(!!…さすがだ……すべてお見通しだったか…)」

カゲは笛を落とし、膝をついた。

カゲ
「参りました」

すごい……戦わずに相手を諭した。さすが妖精の尻尾のマスターだね!!

エルザ
「マスター!!」

ナツ
「じっちゃん!!」

グレイ
「じーさん!!」

マカロフ
「ぬぉおぉっ!?なぜこの三人がここに!?」

ナツ、グレイ、エルザが茂みから飛び出し、その後に私とルーシィが続く。じいちゃんはエルザたちがここにいることに驚いていた。多分ミラさんからエルザたちがチームを組んだって聞いて慌てていたに違いない。

エルザ
「さすがです!!今の言葉、目頭があつくなりました!!」

マカロフ
「痛っ」

エルザがじいちゃんを抱き寄せる。だけどやっぱり鎧だからかじいちゃんも痛そうに短い悲鳴をあげた。

ナツ
「じっちゃんスゲェなァ」

マカロフ
「そう思うならペシペシせんでくれい」

レナ
「見直したよじいちゃん。ただの酒飲みじいちゃんじゃなかったんだね!!」

マカロフ
「レナ……お主ワシの事をそんな風に見ていたのか……(泣)」

私の言葉にショックを受けた様子のじいちゃん。そんなじいちゃんを見ていると……

ララバイ
「カカカ…どいつもこいつも根性のねェ魔導士どもだ」

え?今どこからしゃべった?まさか……この笛から……なんてまさか…ねえ?

ララバイ
「もうガマンできん。ワシが自ら喰ってやろう」

聞き間違いじゃない!!やっぱり笛から声が聞こえる!!

ルーシィ
「笛がしゃべったわよっ!!ハッピー!!」

ハッピー
「あの煙……形になっていく!!!」

ララバイ
「貴様等の魂をな……」

エルザたちが
「な!!!」


「「「「怪物━━!!」」」」


ズシィンと大きな音をたて、怪物が姿を現す 。

レナ
「な、何!?この化け物!!?」

ゴールドマイン
「こいつァゼレフ書の悪魔だ!!!」

私の問いにサングラスをかけ、帽子を被ったおじさんが答えた。ゼレフ書の悪魔!?何それ!?

ララバイ
「腹が減ってたまらん。貴様等の魂を喰わせてもらうぞ」

ナツ
「なに━━━っ!!魂って食えるのか━━━!?うめえのか!?」

グレイ
「知るか!!」

ナツが驚愕してグレイに聞く。ナツ、そんな事言ってる場合じゃないでしょ。そもそも魂なんて食べられないし……

ルーシィ
「一体…・どうなってるの?何で笛から怪物が…」

ゴールドマイン
「あの怪物がララバイそのものなのさ。つまり生きた魔法。それがゼレフの魔法だ」

エルザ
「生きた魔法…」

グレイ
「ゼレフ!?ゼレフってあの大昔の!?」

ボブ
「黒魔導士ゼレフ、魔法界の歴史上最も凶悪だった魔導士……何百年も前の負の遺産がこんな時代に姿を現すなんてね……」

ララバイ
「さあて…どいつの魂から頂こうかな……………決めたぞ、全員まとめてだ」

ララバイが口に魔力を収束させる。


「いかん!!!呪歌【ララバイ】じゃ!!!」

「早く逃げ…」


キュン


みんながここから離れようとした時だった。突然ララバイの上に人が現れた。あれは…!!

レナ
「アゲハ兄!!!」

アゲハ
『あーらよっと!!!』


ドゴォ!!!!


テレポートしたアゲハ兄の踵落としが見事に決まり、ララバイは地面にめり込んだ。

アゲハ
『よっ!!ケガねえか、お前ら?』


「「「「アゲハ!!!!」」」」


みんなが驚愕する中、何食わぬ顔で私たちに話しかけるアゲハ兄。

レナ
「何でここに?」

アゲハ
『いや、ギルドに帰ったらミラからお前らがチーム組んで仕事行ったって聞いたからよ、急いで追いかけてきたんだ。魔力探ってな…』

レナ
「そうだったんだ……」

アゲハ
『それで?今どういう状況な訳?』

エルザ
「今お前が踵落としを食らわせた化け物が暴れそうだったんだよ」

私の代わりにエルザが答えた。

アゲハ
『おお、エルザ!!久しぶりだな!!』

エルザ
「そうだな。だが今は悠長に話している場合ではない。早くあの化け物を倒さなくては」

アゲハ
『ふーん、あの化け物をねぇ………なあ、こいつの相手、オレにやらしてくんねぇ?』

レナ
「えっ!?」

ルーシィ
「ちょ、ちょっと待ってよ!!もしかしてあんなでっかい怪物一人で相手するつもり!?」

ルーシィが心配してアゲハ兄に言った。

アゲハ
『まぁな、少し試したいこともあるし。それにお前ら見たところ結構魔力消費してんだろ?ここはオレに任せとけって』

ルーシィ
「でも……」

エルザ
「アゲハなら大丈夫だ、ルーシィ。ここは下がっておこう」

ルーシィ
「………分かった」

ルーシィは渋々ながら納得したのか、おとなしく安全な場所まで下がった。
その直後、先ほどアゲハ兄に踵落としを食らったララバイが起き上がってきた。

アゲハ
『さあ、かかってきな!!オレが相手してやるよ』

ララバイ
「一人でワシと戦うつもりか?面白い。まずは貴様の魂から食ってやろう」

アゲハ
『生憎だがこの戦闘でお前に攻撃のターンは来ない!!いくぞ!!』

アゲハ兄はポケットに手を突っ込み、中から赤い玉をいくつか取り出した。何だろう、アレ?

アゲハ
『創造【クリーチャーズ】』


シュワアアアァァ


赤い玉から煙が吹き出し、形を変えていく。

アゲハ
『ギーガー1号、2号、3号、発進!!』

アゲハ兄の取り出した赤い玉を核とした巨人が三体現れた。

ルーシィ
「ヒィイイイイイイイイイ!!!」

ハッピー
「化け物が増えたぁ━━━━━━!!!!」

ナツ
「スッゲー!!なんだアレ!!?」

マカロフ
「こりゃたまげたわい」

アゲハ
『ゆけっ!!ギーガー1号、2号、3号!!』

アゲハ兄の命令で巨人たちはララバイへと向かっていく。意外と早い!!てかアゲハ兄ノリノリだね。目がキラキラしてるよ。

ララバイ
「ぐぅっ!!何だこいつらは!!」

巨人たちは次々とララバイに攻撃していく。ララバイは押され気味だ。しかしまだ倒すまでには至っていない。

アゲハ
『うーん、まだ使うの初めてだからな。まだまだ弱いな。仕方ないアレを使うか』

アゲハ兄はさっさとケリをつけたいのかまた何やら仕掛けようとしていた。
アゲハ兄はギーガー1号の上に飛び乗り、ギーガー1号の頭に手をつける。

ズズズズズズ………

アゲハ
『生命融合【ハーモニウス】』

ギュアアアアアア

ギーガー1号が叫び声をあげる。そしてギーガー1号の周りに2号、3号が集まってきた。

アゲハ
『細胞隔壁破壊…そして融合』

ギーガー1号が2号、3号を吸収してさらに大きくなった。

アゲハ
『いっけぇえええええ!!!』


ゴアアアアアアアア!!!!


アゲハ兄が突撃命令を出し、強化版ギーガー1号がララバイに攻撃を仕掛けた。先ほどとは比べ物にならないパワーとスピードだ。ララバイはもう既にグロッキーだった。

アゲハ
『これで止めだ!!』


ドガァッ!!!


ララバイ
「ぐおおおお!!!」

最後の一撃が決まり、ララバイは倒れた。

アゲハ
『こんなもんかな』

アゲハ兄はもう一度ギーガー1号に手をつける。すると、次の瞬間にはギーガー1号の姿は消え、元の赤い玉に戻っていた。

レナ
「アゲハ兄!!」

ナツ
「アゲハ!!」

私たちはアゲハ兄が一息ついたのを見て、アゲハ兄の元に駆け寄った。

アゲハ
『おう、みんな。どうだ?驚いたか?』

レナ
「うん!!一体何なの、アレ?」

アゲハ
『ああ、アレはな…………、ッ!!!』

アゲハ兄は説明を始めようとしたが、勢いよく振り返った。振り返った先には満身創痍ながらも再び立ち上がったララバイの姿があった。

ララバイ
「こんなガキに……やられてたまるかぁああ!!!!」

ララバイが息を吸い込み、呪歌を奏でようとする。
しかし呪歌が聞こえることはなかった。黒い流星がララバイを貫いていたからだ。

アゲハ
『暴王の流星【メルゼズ・ランス】』

暴王の流星は二段階目のホーミングをし、ララバイの本体を真っ二つに引き裂いた。ララバイは今度こそ完全に倒された。

ルーシィ
「な、何……?あの黒い魔法…?」

ハッピー
「暴王の流星【メルゼズ・ランス】……すべての魔力を喰らい尽くす、アゲハの狙撃型のバーストだよ」

ルーシィ
「す、すごい……これがアゲハの実力…」

「ゼレフの悪魔がこうもあっさり……」

「こりゃたまげたわい」

他のギルドマスターたちもアゲハ兄の実力に驚いてるようだ。でもアゲハ兄の全力はこんなものじゃないよ。

マカロフ
「どうじゃ━━━━!!!すごいじゃろ、うちのアゲハは!!!」

じいちゃんがアホ面でアゲハ兄の事を自慢している。でもね、じいちゃん……浮かれてる場合じゃないよ……

ゴールドマイン
「いやあ、いきさつはよくわからんが妖精の尻尾には借りができちまったなァ」

マカロフ
「なんのなんのー!!ふひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」

調子に乗るじいちゃんの目にやっとあの光景が映る。

マカロフ
「ひゃ…は…」

そろー、と逃げ出そうとするじいちゃんを不思議に思ってみんながじいちゃんが見ていた方向を向く。

アゲハ
『あー、やっべ。やっちまった』

視界に入ったのは先ほどの戦いで粉々になってしまった定例会場だった。

ナツ
「ははっ!!見事にぶっ壊れちまったなァ」

レナ
「あの巨人で暴れすぎたせいだね。普通に戦ってれば被害もなくすぐに終わらせられたのに、遊んでるからだよ」

アゲハ
『はは、悪ぃ悪ぃ』

私があきれたように言うと、アゲハ兄は笑って返した。うん、絶対反省してない顔だ。

「捕まえろ━━━━っ!!!」

他のギルドマスターたちが私たちを捕まえようとする。

ナツ
「おし、まかせとけ!!!」

「おまえは捕まる側だ━━━!!!」

捕まる側だと言うのに捕まえる側になろうとしているのでツッコまれていたナツ。やっぱりバカだよね、ナツって。

アゲハ
『悪いなジイさん。新しい力試したくなっちゃってつい……』

マカロフ
「いーのいーの、どうせもう呼ばれないでしょ?」

私たちは走ってその場から逃げたのだった。

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